不是帝后不聚頭(2007) ゲスト: 許冠文@

2007.04.01 Sun

『不是帝后不聚頭(2007)』は、
鄭裕玲(ドゥドゥ・チェン)がホストを務めるTVB30分番組で、
主に『香港電影金像獎(香港版アカデミー)』において、
最優秀主演男優・女優に選ばれた歴代受賞者をゲストに招き、
インタビューを行うと言うもの。
許冠文先生も嘗てご出演されたので、
その時の会話を翻訳してみました。

※動画:
TV

訳文


鄭裕玲:
香港人は皆、映画を愛しています。特にコメディとか。
映画館でコメディ映画を観ると楽しいキモチになり、
思いっきり笑うことで、どんな悩みも忘れてしまうものです。
それでは今晩のゲストですが、
彼の映画は嘗て、香港の興行記録を塗り替えました。
その人の名は、初代喜劇王、許冠文先生です。


――許冠文(マイケル・ホイ)は、1968年に芸能界入りを果たすと、
70年代には既にコメディの才能を開花させた。
自ら脚本・監督、及び出演までこなした彼の映画は、
当時、香港全土で一世を風靡したと言える。
このような独自のスタイルを持つ許冠文流の笑いは、
多くの観客に受け入れられただけでなく、
1982年には、香港電影金像奨の初代主演男優賞に選ばれた。

鄭裕玲:マイケル、こんにちは
許冠文:はい、こんにちは〜!
鄭裕玲:こうしてあなたと改まって話ができるなんて貴重だわぁ!
許冠文:えぇ
鄭裕玲:だって私たち、映画で共演したことないでしょう?
あなたが司会をしていた番組だって、私出演したことないですもの!
今回、やっとこうしてゆっくりお話ができるのねぇ!


テレビ業界に入る

鄭裕玲:テレビ、映画、そしてスタンダップコメディとあなたの歴史は実に長いけど、
最初、TVB(無線電視)の仕事に関わる事になったキッカケは何だったの?
許冠文:もう忘れてしまいましたねぇ!アッハッハ(笑)
鄭裕玲:歴史が長すぎて?(笑)
許冠文:実はですねぇ、簡単な事なんですよ。要は・・・
当時私は大学生でした。三、四年生の頃になると学費を払うお金がなくて、
バイトで講師をやっていたのですが、それでもお金が足りなかったんです。
すると、急遽ある新しいテレビ局が開局すると言うのを聞きまして。
無線電視って言うんですがね、高収入だと言うので私は弟に頼んでみたんですよ。
彼はあの時ちょうど歌手をしていましたから。
鄭裕玲:はい
許冠文:「私に仕事を紹介してくれないか?」って聞いたら、
“校際常識問答比賽(学校対抗常識クイズ大会)”の司会をする事になって、
それでこの業界に入る事になったんです。
で、引き受けてみたら、TVBの給料が非常に高い事に気づきまして、
講師の仕事をする必要もなくなり、TVの仕事に専念する事にしたんです。
TVBの給料だけで十分でしたからね。
でも、卒業が近づいてくると、卒業後は別の職業に就こうかとも考えていました。
元々芸能界でやっていこうとは思っていなかったんです。
鄭裕玲:へぇ
許冠文:でも想像もしませんでしたねぇ。実際にやり終えてみると、
意外と芸能界は私に向いている所だなと気づきましてね。
それで引き続き、『雙星報喜』などの番組に出たんです。


 
コントバラエティの世界に飛び込む

――コメディ作家になるには、鋭い観察力が必要になるが、
許冠文独自の見解によって生み出された笑いは、大人気を博した。
彼の才能は、若くして既に抜きん出ていたのである。
そんな“名馬”は、ある時“伯楽”と出会う。
許冠文は、自分の才能が買われ注目される事に、喜びを感じたと言う。

鄭裕玲:あなたは、その後、『雙星報喜』と言う
コントバラエティ番組を作ってしまったわけだけど、
自分にお笑いの才能があるって、どうやって分かったのかしら?
許冠文:きっかけは、社長の言葉です!
「キミは、非常に上品だし、英語もデキル。だったら、
キミが“歡樂今宵”でインタビューをしたり、通訳をやるってのはどうだ?」
それでやってみたんです。
杜平や、肥肥(リディア・サム)、そして波叔(リョン・センポー)と言った
先輩方の喜劇を隣で見てはいつも笑っていたのですが、
そんな私に波叔(梁醒波)は、いつもこう言いました。
「キミは見るからに上品で男前で、所謂インテリなんだから、
こういう物は見なくていいんだよ。キミには一生無理だから。
“お笑い”なんて、キミには向いてないよ」
私は、「それもそうだな」と思いましたが、こう言ってやったんです。
「あなた達の喜劇には、正直面白くない所があります!
こう言う事は、こんなにハッキリ言ったらダメなんですよ。
これだって良くないですねぇ・・・」など、
彼らの喜劇について色々意見してやったんです。
その時、監督を務めていた蔡和平は、私の意見を聞いてこう言いました。
「キミは、色々と意見があるようだが、
だったらキミが幾つかネタを考えてだな、彼らに演じさせてはどうだ?
別にキミは演じなくてもいいから」
私は、「分かりました。じゃあこうした方がいいですね」と、
早速その場で幾つかネタを考えたんです。
すると、ある晩、本当にそれを演じる事になりまして・・・
私のネタは大当たりするだろうって。
恐らく、当時の私の考え方が欧米化していたからでしょう。
鄭裕玲:はい
許冠文:アメリカや、イギリス的と言いますか・・
鄭裕玲:はい
許冠文:だから新鮮に思われたんでしょうね。
でも、そのおかげで大変な目に遭ったんですよ。
それから毎日のように三つほどネタを考えるよう頼まれてしまい・・・。
当時、『歡樂今宵』は、月曜から金曜まで毎晩放送していて、
それぞれの監督から頼まれたんです。
「一日三つずつ書いてくれないか?」「二つほど・・ダメか?」って。
そんな日々が何ヶ月も続いたんです。
そりゃイヤでも身につきますよ!素早くコントを書き上げる術をね。
鄭裕玲:そう言った笑いのアイディアは、どこから来るの?
どこからインスピレーションを得ているのかしら?
許冠文:小さい頃から、ラサールスクールに通っていたからでしょう。
鄭裕玲:はい
許冠文:西洋教育を受けていた影響で、アメリカ映画や、イギリス映画も沢山観ました。
その影響で考え方が西洋化し、
ユーモアセンスも西洋チックになったのでしょうね。
そのせいか、私にとって、それまでの広東語コメディと言うのは、
テンポがゆっくりで、ダラダラしているように感じられたんです。
鄭裕玲:そうでなければ、表現がストレート過ぎるってやつね!
許冠文:そうです!それで、もし私にやらせてくれるならば、
私流のコメディスタイルを取り入れようといつも考えていました。
でもまさか、そんな私の考えが、ちょうど新しい風潮として、
その時勢に求められていたとは思いもしませんでしたが。

許冠文:周梁淑怡って言う監督がいたんですけど、今、議員をしている。
鄭裕玲:あぁあぁ、セリナですね。
許冠文:彼女がこう言ったんですよ。
「あなたはコントのネタを考えて、演技指導までしているけれど、
私はアナタが演技している様子をいつも見ていて面白いと感じていたの。
いや、アナタが演じた方がずっと面白いと思うわ。
だったら、ここは一つ我々で新年の特番でもやってみない?
タイトルは、『雙星報喜』って言うの!
アナタは、自分が面白いと思うものを自分で演じたらいいわ。
あなた確か・・・弟さんがいたわよね。許冠傑とか言う。
彼は歌が上手だから、じゃあ彼は歌を歌い、
アナタは面白い事をやる、ってのはどうかしら?」
私は、「嫌です!演技は嫌いですから」と言ったんです。
私はコントの構想を練る事が好きなのであって、それは・・・って。
しかし彼女は言いました。
「そんな事言わないで!一度でいいから私を信じて!
ちょっと遊んでみるだけじゃない。
アナタの表情と動作が合わさると、すっごく面白いのよ。ね、試してみましょうよ」
・・・それで試してみたわけです。
正月番組として放送された『雙星報喜』は大好評を博し、
すぐに多くのスポンサーがついたんです。
鄭裕玲:こうしてあの番組が生まれたわけですね。
許冠文:そうです!こうして、『雙星報喜』が始まったわけです。

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COMMENT
「英語が出来る」で思い出したのですが、記憶に間違いがなければ「半斤八兩」の脚本は英語で書かれていたと思います。確か『嘉禾電影』に「半斤八兩」の脚本を確認しているマイケルの写真があるのですが、確か英語であったように記憶してます。

一応間違っていると困るので、今度ちゃんと確認しておきます。実は311の震災のせいで、所蔵している『嘉禾電影』の整理がまだついていないものですから。
Posted by 馬場 at 2011年11月13日
★馬場さん

>311の震災のせいで、所蔵している『嘉禾電影』の整理がまだついていないものですから
それは大変でしたね。書籍以外に影響はなかったのですか?
本当にいつでも構いませんので!^^
いつも色々と教えて下さる馬場さんの温かいお気持ちだけでも
十分嬉しいですから。^^

それにしても、英語で脚本を書くって、すごい事ですね。
当時の香港ではよくあったのでしょうか?
それとも、ちょっとした盗作防止のためだったり・・・?
「香港映画には脚本はない、盗まれるからだ」と言っていた
ジャッキー・チェンの言葉が強く印象に残っているので、
毎回きちんと脚本を書かれるマイケルさんに、
実は、とても驚いている私です。
Posted by Baakkei at 2011年11月14日
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