高志森微博 第14回ゲスト:許冠文

2012.05.12 Sat

『高志森微博』による冠文先生のインタビュー
まだまだ続きます・・・。(笑)

『高志森微博』の第
14回目、
『生活感應錄(生活“感応”録)』と言うコーナーに
またまた登場された許冠文先生。

※感応(かんのう)・・・外界からの刺激によって心が深く感じ動くこと。


今回は、前回に引き続き『半斤八兩(Mr.Boo! )』、そして、
合家歡(ミスター・ココナッツ)』の製作秘話が飛び出しました!
番組で使われた対談の映像は僅か
6分足らずの短いものですが、
非常に濃い内容だと思います!(収録日は一緒みたいですが・・・)

※過去のインタビューはこちら⇒第1回第5回



◆高志森微博(第
14集)
部ゲスト:許冠文(マイケル・ホイ
案内役:高志森(クリフトン・コウ)
収録日:20111222
放送日:20120331
TV 2538


オープニング

高:
コメディ映画の撮り方には、実は様々なスタイルがあり、技法もそれぞれです。
さきほど(第一部で)我々が語ってきた『家有囍事』の撮影スタイルは、
“真剣且つ厳かに、大袈裟でデタラメなことをやる”、と言うものです。
これとは別に、もう一つのスタイルがあります。
またそれは香港コメディを代表するもので、
つまり、“許冠文(マイケル・ホイ)映画のスタイル”です。
彼のやり方は、日常の生活から深く心に感じた事・・つまり、
“生活感応”に重点を置いたものです!



生活“感応”録


高:私が手掛けた映画の中には、マイケルと共同制作した作品が幾つかあります。
その中には、制作中マイケルの家を何度も訪れては
一緒に知恵を搾り出していた日々もありましたね。ハハ〜ッ!
では、アイディアを捻出する過程についてなのですが、
巨匠とはどういうものか!ある巨匠は、このように仰ったのです。

「アイディアを考える時、ある所に達すると、突然、

今あるシーンの次の展開が全く見えてこなくなる事がある。

すっかり茫然としてしまい、いったいどうしたら・・・
頭の中に何一つとしてインスピレーションが浮かんでこない、
ピタリと停止してしまった状態・・・
これこそ、アイディアが閃く最も良い瞬間なんだ!」


許:(ニヤリ)
高:
この言葉を、私はすごく覚えているんです。
あなたが言ったんですよね、巨匠!

許:
近頃の観客は、求めるものが極めて高いので、
必ず新しいものを作り出さなければなりません。誰かのマネをしてもダメなんです。

では、新しいものを生み出す最良の方法は何か。
どうすれば、“あの場所”で創作をすることができるのか。
たいていは、何も思いつかなくなり、途方に暮れてしまうと・・・
つまり、“あの場所”へ行くと、何もやる事がないんです。やる術がないのです。
でも、これでいいんですよ!
なぜなら、何も思い浮かばない時と言うのはですね、
観客もあなたと一緒なんですよ。観客だって思いつかないんです。
それに、観客が最も期待している事は、
彼ら自身も思いつかないストーリー展開なのですから!
じゃあ、彼らが思いつかないストーリー展開と言うのは何なのか?
それは、あなたが思い浮かばない時・・・の後に閃いたアイディアなんです。
だからですね、創作に最も適しているのは苦しい時、
アイディアが浮かばず、もっとも苦悩している時、
この時こそが一番イイんですよぉ〜♪
(ニタ〜っと笑って嬉しそうな表情を見せるマイケル)
高:ハハハ〜!
許:その時はまず、落ち着くことです!今からは絶対に諦めてはならないんだと。
実は、人間が生きることも同じことです。

高:人間が生きることも・・・
許:そうです!人間は、最も困難な状況にぶち当たった時こそ閃くものなんです。
まさにその瞬間が最高に素晴らしいんです!(嬉しそうなマイケル)
脚本だって、人生だって、スタンダップコメディだってそうです。
だから私は、考えが浮かばない時、まず立ち止まってみるんです。
数分ほど外に出たりして・・・それでまた何か無いかなぁって・・・。
私の場合はいつも、何かちょっとしたものを掴むと発揮できるんですよ。
それが興味深いんです。自分でも面白いなぁって思うんですよ。
だって、“新しいもの”なんですから!!
クリエイターがつまらないと思うのは、
自ら新しいものを生み出さないからです。
何をしても結局は堂々巡り。
では、如何にして新しいものを生み出すか、
それは自分自身を超えることです。

『半斤八兩(Mr.Boo! )』の中のシーンなのですが、
ケチな私立探偵が、歯磨き粉がもう無くなったと言うのに、
それでもまだ足で踏み付けて、タッタッタッタッ(ジェスチャーしながらって、
あんな僅かな歯磨き粉を搾り出すと言う・・・。我々はそんな彼をケチだと思う。
実はあれ、私の師匠である李翰祥(リー・ハンシャン)から教わった事なんですよ。
彼はこう言ったんです。


「マイケル!こういうことなんだよ。
将来キミがこの創作と言う職業でやっていくとすると、
必ず周りから「お前の才能も尽きたな」と言われるだろう。
そしてキミは苦しみ悩む。歯磨き粉みたいに必死に搾り出そうとして。
でも、永遠に尽きることはないんだよ」

私は思わず、「“
NO!”時には出なくなりますよ!」って言ったんです。

「もし出なくなったら、地面に置いてダッダッダッと

足で踏み付けてやればいいんだよ」

でもどうやったって、ちょっとしか搾り出せませんよ・・・って、アハハハ!

高:
ハハハ!


高:あなたと共同制作した映画の一つで、記憶に残っているのが
『合家歡(ミスターココナッツ)』です。映画の中であなたは、
大陸から・・・あ、海南島からやって来た人物を演じていましたよね!
あれは確か、わが実の母の兄弟をモデルにしてあのキャラクターを作ったんです。
オジは、申請手続きをして香港にやって来た時、私の家に一ヶ月ぐらい滞在していたんです。
「やったぞ〜香港に来た〜!これから幸せな生活を送るんだ」って言ったものですから、
我々兄妹は、このオジに、“幸福生活”と言うあだ名をつけたんですよ。
で、あなたが演じたキャラクター・・雁歸南(ナム)ですが、
初めて香港にやって来ると、妹の家にお世話になる・・・。
この構想全てが、例の人物に基づいているんです。ただ、奇妙な事に、
この創作途中のある日、突然あなたは言いましたよね。

「志森(クリフトン)、私と一緒に

海南島に行ってみようじゃないか!一週間ばかり!」


許:それは、この先最大の映画マーケットになるのは中国だ
と言うのが
あの時既に分かっていたからです。
ちょうどあの時は、改革開放の初期段階でしたから、

将来中国と言うこの巨大なマーケットが最も重要になると。
それでちょっと試してみたくなったんです。
何か新しい題材で、中国を舞台に映画が撮れないだろうか。
私は常日頃から、新しい事をやりたいと思っていましたから。
この機会に中国へ行ってみれば、
もっと多くの
新しい題材が得られるんじゃないだろうかって期待したんです。

勿論、その当時のネタは、香港に持ち帰ってはみたものの、

香港人の多くが、その頃はまだ中国人についてよく知りませんでしたから、
面白いとは感じたみたいですけど。でも、共感する所が何も無かった。
香港人が、海南島の人の生活を知っているわけがないですからね。
今ならそれも可能ですけどね。うん、今では少しはマシになりましたね。


高:“体験”は、あなたが創作する上で、最も重要な鍵ということでしょうか?
こういう言い方が適しているのかわかりませんが・・・

許:それが“唯一”(全て)なんです。
高:唯一?
許:私の映画のストーリーの全てが、いや、一つのセリフ、
スタンダップコメディでのジョーク、その全てが、日常生活の中で私が観察して、
そこから感じ得た物事であり、面白いと思ったことですから。


高:あなたと一緒に制作した『合家歡(ミスターココナッツ)』ですが、
あの頃はまだ、「大哥大電話(デカイ携帯電話)」が流行っている時で、まるで水筒のような・・・。

それからもう一つ、マリア・コルデーロ(肥媽)のお宅に招かれたシーンがありましたね。
彼女の家には、バイキング形式の朝食が用意されていて、
そして電話が鳴ると、彼女は長いパンを手に取る。そのパンがなんと電話だった・・・ハハハ。
また、それは国際電話で、一旦席を外す彼女。そこへ再び電話が鳴る!
あなたは、用意された沢山の朝食の中から電話を探そうとする・・・


許:
このシーンは、私が実際に海南島で目にした事なんですよ。
あの時私は海南島の三亞にいたのですが、当時はとても遅れていて・・・

魚釣りに出かけても、獲った魚を調理する所がなくて・・・。
あの時三亞にはまだホテルなんてありませんでしたし。
それで、農村で農民を見つけると、彼らから野菜を購入するんです。
ついでに料理して貰えないかどうか交渉すると、釣った魚を調理してくれて。
夜になり、私が“大きな水筒”(デカイ携帯のこと)を持っていると、
彼らは携帯なんて知りませんからね!どうして水筒から音が出るんだ?
プルルルルーッ!って、不思議に思うわけです。
彼らは私の水筒(携帯)を手に取り耳に当ててみたりして。
で、私が水筒(携帯)を持って話をしていると、コックがしょっちゅう出てきては、
アンテナを触ってみたり、光っている部分を眺めたり。

そういった光景を見ていた時に、あのシーンを閃いたんですよ!
私が演じるナムは、農村から香港に出てきた。
そして、香港人が何やら道具を持って話をしているのを見て、
ロブスターを手にしてみたり、或いは・・・
ロブスターは実は玩具だった。本物のロブスターではない。
じゃあ玩具のロブスターから何か音が聞こえるかもしれない・・・
こうやってね少しずつ考えを膨らませていったんですよ!



高:現在のあなたは、他人の作品に純粋に役者として出演されていますが、
現場でもし監督と衝突してしまう、或いは何か閃いた場合、その感じた事を、
あなたから進んで監督に伝えたりする事はあるのでしょうか?


許:できるだけないようにしています。きわめて少ないです。
演じ方、表現の仕方に関する事を除いては・・・。
こういう風に演じてもいいですか?と監督に訊ねることはあると思います。
が、尊重しなければなりませんからね。私の方が経験があるから許される
と言うわけにはいきません。監督の考えには尊重すべきだと思います。
監督だったら、イメージが既に出来上がっているはずですから。
全てのシーンが頭の中では完成している。
そこへ、突然別の誰かが口を挟んだりしたら・・・・
もしかしたら、その別の人の意見が正しい事もあるでしょう。
でも、全ての流れが・・・

高:うんうん
許:大前提としてあるものが・・・全くそうではなくなってしまうのです。
大スターだからといって監督に注文つけてもイイなんてことありません。
あなた一人には分からないでしょうが、
あなたが変更した事によって、監督の頭の中に描かれていた
他のものにまで影響が及ぶかもしれない・・・それじゃあ台無しです。
だから私は、いつも尊重することにしています。口出しはしません。



高:人々はよくこう言います。
クリエイターの仕事には、これらの条件の内、
最低一つはクリアしなければならないと。


一つは、“
The First!
あなたが、一番最初に思いつく、と言うこと。

もしくは、“
The Best!”
同じシーンを撮るなら、あなたが一番優れていること。

或いは、あなたが他とは一番違っていると言うこと。
The Different

これが師匠の基準なのです!


高志森の顔を見ながら真剣に彼の話に耳を傾けるマイケル


高:
だから私たちは、この師匠に期待しましょう。
新しい映画がもっともっと生み出されることを!


その瞬間、“あ、キタか・・”と言わんばかりにハッっとするマイケル


高:
もっと沢山の映画を撮ってくれますように!

その言葉にマイケルは、一瞬、笑みを浮かべながらも、すっと、うつむき加減になると、
下唇をかみ締めながら、「あいよ〜」と言う顔をしておられました。
いや、頑張らなきゃイカンんなぁ〜って顔です。(笑)


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 日訳:管理人
Baakkei
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COMMENT
許兄弟作品のネタは、身近のささいな出来事から生まれたんですね。
「摩登保票」ではヒロインの役柄が一家で大陸から香港へ密入国したという設定で彼らの人生経験が生かされています。
この作品はいわゆるMr.BOO!シリーズで唯一脚本をマイケルさんとサムさんが共同で書いたものです(ちなみにマイケルさんの役名“周世昌”も自身のお父様の名前から拝借しました)。

でかいケータイ、懐かしいアイテムですね。
日本でもちょうど出始めのころのケータイはデカかったです。

もともとケータイは自動車電話から発展してきたみたいですし…(昔の志村けんのコントで受話器がクルマの屋根に載っているシーンがあったのを思い出しました)。

今は技術の進歩で小型化されてスマホに進化しましたね。
私も3月にこれまでの
フィーチャーホンからおしゃれなシャンパンゴールドカラーのスマホにしました。
Posted by よーこぶー at 2012年05月14日
★よーこぶーさん

またまた返事が遅くなってしまいました。
すみません。(´Д`;)

シャンパンゴールドとはまたエレガントですね♪
以前マイケルさんが、香港ではホワイトのiPhoneが最も人気が高いって
仰っていましたが、私なんて、一応スマホですが、iPhoneでもなければ、
カラーだって、本体もカバーもブラック一色です・・・地味・・・。(^_^;)

>昔の志村けんのコントで受話器がクルマの屋根に載っているシーン
>があったのを思い出しました。
へぇ〜それは知りませんでした。とっても興味深いです!^^

>マイケルさんの役名“周世昌”も自身のお父様の名前から拝借
あれは笑えましたね。(笑)
そういえば、実のお父様もご出演されていましたね。
貴重な作品ですよね〜。久々にまた観たくなりました!
Posted by Baakkei at 2012年05月22日
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