【追記】許冠文的喜劇人生 (下) 

2012.02.04 Sat

前回ご紹介した『明報周刊』のマイケル特集、
許冠文的喜劇人生()』の中から、
本文以外の貴重な秘話をここに補足しておきます。

※『明報周刊第2256期』 P129、P131より

以下訳文になります。


娘の夢、父の一撃でぶち壊される

  『神探朱古力(新Mr.Boo!香港チョココップ)』に纏わる思い出の中で、
梅艷芳(アニタ・ムイ)以外にもう一人、マイケルにとっては忘れられない
“役者”と言えば、間違いなく当時10歳だったマイケルの愛娘、許思行であろう!

「私の娘はずっと、キレイな服を着たスターに憧れていました。
その夢を、まさか実の父親の一撃でブチ壊される事になるとはね!」


  実を言うと、マイケルは娘の演技を評価していた。ただ、
作品を総合的に見るとイマイチ溶け込んでおらず、全体の流れを考慮すると、
残酷ながらも娘の全出演シーンをカットせざるを得なかったのだ。

「私は、娘がメディアに顔を出す事には、これまでずっと反対してきました。
第一に、子供に自由を失って欲しくないから。
第二に、思考力の土台がまだ不十分な時に演技をすると言うのは
とても危険な事ですから。
第三に、物質的満足を得るのは簡単な事ですが、
精神的満足を得るのは、もっと重要な事だからです」

彼が娘の出演を許可したのは、それもまた「教育」に基づいての事だと言う。

「撮影が終わると、私はメモを書いた紙を娘に渡し、プロデューサーに
報酬を貰うようにさせていたんです。日給は、12ドル8セントです。
娘が報酬を受け取ると、私は彼女にこう聞くんです。
“この間買ってあげた玩具は幾らだった?”彼女は、“30ドル”と答えます。
30ドルの物を買うには、何日働かなければならないのかな?”
彼女はちょっと考えてから、こう言います。“二日とちょっと!”」


  当初、マイケルは、自分の教育方法は成功だと思っていた。
ところが思いがけない事に、その後、監督 陳欣健の娘も出演する事になり、
彼女の日給が、なんと120ドルだったのだ!

「ギャラが跳ね上げられたものだから、
私の娘は“ストライキ”騒動を起こしたんですよ!」



通り過ぎた
2大名作

  93年、冼杞然(スティーヴン・シン)が企画監督した『西楚覇王
(項羽と劉邦/その愛と興亡)』は、キャスト選びに難航していた。
最終的には、主役の劉邦役に張豊毅(チャン・フォンイー)が選ばれたのだが、
嘗ては、尊龍と言う話も出ており、ひいては、当初は思いも付かないような、
許冠文の名前も挙がったと言う!

  「当時、私はコメディ以外の作品は断固として撮りたくなかったので、
数多くのチャンスを見送りました。」


マイケルは笑いながら語った。

「『秋天的童話(誰かがあなたを愛してる)』の主役(船頭尺役)、
本来は私にオファーが来ていたんですよ。でも、私は、
自分とヒロイン(鍾楚紅)が真剣に恋愛をする姿を思い描く事ができなくて・・・
だって奇妙でしょう!」


※最終的に、『秋天的童話』の主役は、周潤發(チョウ・ユンファ)に決まった。

もう一つの見送った作品だが、これもまた上手い具合に、
周潤發(チョウ・ユンファ)がキャスティングされることに。

「『賭神(ゴッド・ギャンブラー)』だって、私は断りますよ。
確か、向華強に誘われたんですよ。彼はこう言いました。
“『賭神(ゴッド・ギャンブラー)』で君を選ばずして、他に誰がいるんだ?”
私は言いました。“ギャンブラーだったら、
『鬼馬雙星(Mr.Boo!ギャンブル大将)”』で演じてますよ?”
彼は、ギャンブラーとゴッドギャンブラーは別物だと言うのですが、
私はキャラクターが重複するのはどうしても嫌なので、断ったんですよ。」


  マイケルに体よく断られたその2作品は、どちらも共に、
香港映画史に残る名作となった。彼は、素直にこう語る。

「『賭神(ゴッド・ギャンブラー)』は、それほど惜しいと言う程でもないですよ。
『秋天的童話(誰かがあなたを愛してる)』に関しては、ちょっと残念ですがね。
もし、タイムトンネルがあるのなら、私はオファーを受けますよ。
だって、あの作品は確かに良い作品ですからね。
たとえ私の演技が周潤發(チョウ・ユンファ)には及ばなくても、
まぁ悪いようにはならないでしょう!」

(日訳:管理人Baakkei


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