高志森微博 第14回ゲスト:許冠文

2012.05.12 Sat

『高志森微博』による冠文先生のインタビュー
まだまだ続きます・・・。(笑)

『高志森微博』の第
14回目、
『生活感應錄(生活“感応”録)』と言うコーナーに
またまた登場された許冠文先生。

※感応(かんのう)・・・外界からの刺激によって心が深く感じ動くこと。


今回は、前回に引き続き『半斤八兩(Mr.Boo! )』、そして、
合家歡(ミスター・ココナッツ)』の製作秘話が飛び出しました!
番組で使われた対談の映像は僅か
6分足らずの短いものですが、
非常に濃い内容だと思います!(収録日は一緒みたいですが・・・)

※過去のインタビューはこちら⇒第1回第5回



◆高志森微博(第
14集)
部ゲスト:許冠文(マイケル・ホイ
案内役:高志森(クリフトン・コウ)
収録日:20111222
放送日:20120331
TV 2538


オープニング

高:
コメディ映画の撮り方には、実は様々なスタイルがあり、技法もそれぞれです。
さきほど(第一部で)我々が語ってきた『家有囍事』の撮影スタイルは、
“真剣且つ厳かに、大袈裟でデタラメなことをやる”、と言うものです。
これとは別に、もう一つのスタイルがあります。
またそれは香港コメディを代表するもので、
つまり、“許冠文(マイケル・ホイ)映画のスタイル”です。
彼のやり方は、日常の生活から深く心に感じた事・・つまり、
“生活感応”に重点を置いたものです!



生活“感応”録


高:私が手掛けた映画の中には、マイケルと共同制作した作品が幾つかあります。
その中には、制作中マイケルの家を何度も訪れては
一緒に知恵を搾り出していた日々もありましたね。ハハ〜ッ!
では、アイディアを捻出する過程についてなのですが、
巨匠とはどういうものか!ある巨匠は、このように仰ったのです。

「アイディアを考える時、ある所に達すると、突然、

今あるシーンの次の展開が全く見えてこなくなる事がある。

すっかり茫然としてしまい、いったいどうしたら・・・
頭の中に何一つとしてインスピレーションが浮かんでこない、
ピタリと停止してしまった状態・・・
これこそ、アイディアが閃く最も良い瞬間なんだ!」


許:(ニヤリ)
高:
この言葉を、私はすごく覚えているんです。
あなたが言ったんですよね、巨匠!

許:
近頃の観客は、求めるものが極めて高いので、
必ず新しいものを作り出さなければなりません。誰かのマネをしてもダメなんです。

では、新しいものを生み出す最良の方法は何か。
どうすれば、“あの場所”で創作をすることができるのか。
たいていは、何も思いつかなくなり、途方に暮れてしまうと・・・
つまり、“あの場所”へ行くと、何もやる事がないんです。やる術がないのです。
でも、これでいいんですよ!
なぜなら、何も思い浮かばない時と言うのはですね、
観客もあなたと一緒なんですよ。観客だって思いつかないんです。
それに、観客が最も期待している事は、
彼ら自身も思いつかないストーリー展開なのですから!
じゃあ、彼らが思いつかないストーリー展開と言うのは何なのか?
それは、あなたが思い浮かばない時・・・の後に閃いたアイディアなんです。
だからですね、創作に最も適しているのは苦しい時、
アイディアが浮かばず、もっとも苦悩している時、
この時こそが一番イイんですよぉ〜♪
(ニタ〜っと笑って嬉しそうな表情を見せるマイケル)
高:ハハハ〜!
許:その時はまず、落ち着くことです!今からは絶対に諦めてはならないんだと。
実は、人間が生きることも同じことです。

高:人間が生きることも・・・
許:そうです!人間は、最も困難な状況にぶち当たった時こそ閃くものなんです。
まさにその瞬間が最高に素晴らしいんです!(嬉しそうなマイケル)
脚本だって、人生だって、スタンダップコメディだってそうです。
だから私は、考えが浮かばない時、まず立ち止まってみるんです。
数分ほど外に出たりして・・・それでまた何か無いかなぁって・・・。
私の場合はいつも、何かちょっとしたものを掴むと発揮できるんですよ。
それが興味深いんです。自分でも面白いなぁって思うんですよ。
だって、“新しいもの”なんですから!!
クリエイターがつまらないと思うのは、
自ら新しいものを生み出さないからです。
何をしても結局は堂々巡り。
では、如何にして新しいものを生み出すか、
それは自分自身を超えることです。

『半斤八兩(Mr.Boo! )』の中のシーンなのですが、
ケチな私立探偵が、歯磨き粉がもう無くなったと言うのに、
それでもまだ足で踏み付けて、タッタッタッタッ(ジェスチャーしながらって、
あんな僅かな歯磨き粉を搾り出すと言う・・・。我々はそんな彼をケチだと思う。
実はあれ、私の師匠である李翰祥(リー・ハンシャン)から教わった事なんですよ。
彼はこう言ったんです。


「マイケル!こういうことなんだよ。
将来キミがこの創作と言う職業でやっていくとすると、
必ず周りから「お前の才能も尽きたな」と言われるだろう。
そしてキミは苦しみ悩む。歯磨き粉みたいに必死に搾り出そうとして。
でも、永遠に尽きることはないんだよ」

私は思わず、「“
NO!”時には出なくなりますよ!」って言ったんです。

「もし出なくなったら、地面に置いてダッダッダッと

足で踏み付けてやればいいんだよ」

でもどうやったって、ちょっとしか搾り出せませんよ・・・って、アハハハ!

高:
ハハハ!


高:あなたと共同制作した映画の一つで、記憶に残っているのが
『合家歡(ミスターココナッツ)』です。映画の中であなたは、
大陸から・・・あ、海南島からやって来た人物を演じていましたよね!
あれは確か、わが実の母の兄弟をモデルにしてあのキャラクターを作ったんです。
オジは、申請手続きをして香港にやって来た時、私の家に一ヶ月ぐらい滞在していたんです。
「やったぞ〜香港に来た〜!これから幸せな生活を送るんだ」って言ったものですから、
我々兄妹は、このオジに、“幸福生活”と言うあだ名をつけたんですよ。
で、あなたが演じたキャラクター・・雁歸南(ナム)ですが、
初めて香港にやって来ると、妹の家にお世話になる・・・。
この構想全てが、例の人物に基づいているんです。ただ、奇妙な事に、
この創作途中のある日、突然あなたは言いましたよね。

「志森(クリフトン)、私と一緒に

海南島に行ってみようじゃないか!一週間ばかり!」


許:それは、この先最大の映画マーケットになるのは中国だ
と言うのが
あの時既に分かっていたからです。
ちょうどあの時は、改革開放の初期段階でしたから、

将来中国と言うこの巨大なマーケットが最も重要になると。
それでちょっと試してみたくなったんです。
何か新しい題材で、中国を舞台に映画が撮れないだろうか。
私は常日頃から、新しい事をやりたいと思っていましたから。
この機会に中国へ行ってみれば、
もっと多くの
新しい題材が得られるんじゃないだろうかって期待したんです。

勿論、その当時のネタは、香港に持ち帰ってはみたものの、

香港人の多くが、その頃はまだ中国人についてよく知りませんでしたから、
面白いとは感じたみたいですけど。でも、共感する所が何も無かった。
香港人が、海南島の人の生活を知っているわけがないですからね。
今ならそれも可能ですけどね。うん、今では少しはマシになりましたね。


高:“体験”は、あなたが創作する上で、最も重要な鍵ということでしょうか?
こういう言い方が適しているのかわかりませんが・・・

許:それが“唯一”(全て)なんです。
高:唯一?
許:私の映画のストーリーの全てが、いや、一つのセリフ、
スタンダップコメディでのジョーク、その全てが、日常生活の中で私が観察して、
そこから感じ得た物事であり、面白いと思ったことですから。


高:あなたと一緒に制作した『合家歡(ミスターココナッツ)』ですが、
あの頃はまだ、「大哥大電話(デカイ携帯電話)」が流行っている時で、まるで水筒のような・・・。

それからもう一つ、マリア・コルデーロ(肥媽)のお宅に招かれたシーンがありましたね。
彼女の家には、バイキング形式の朝食が用意されていて、
そして電話が鳴ると、彼女は長いパンを手に取る。そのパンがなんと電話だった・・・ハハハ。
また、それは国際電話で、一旦席を外す彼女。そこへ再び電話が鳴る!
あなたは、用意された沢山の朝食の中から電話を探そうとする・・・


許:
このシーンは、私が実際に海南島で目にした事なんですよ。
あの時私は海南島の三亞にいたのですが、当時はとても遅れていて・・・

魚釣りに出かけても、獲った魚を調理する所がなくて・・・。
あの時三亞にはまだホテルなんてありませんでしたし。
それで、農村で農民を見つけると、彼らから野菜を購入するんです。
ついでに料理して貰えないかどうか交渉すると、釣った魚を調理してくれて。
夜になり、私が“大きな水筒”(デカイ携帯のこと)を持っていると、
彼らは携帯なんて知りませんからね!どうして水筒から音が出るんだ?
プルルルルーッ!って、不思議に思うわけです。
彼らは私の水筒(携帯)を手に取り耳に当ててみたりして。
で、私が水筒(携帯)を持って話をしていると、コックがしょっちゅう出てきては、
アンテナを触ってみたり、光っている部分を眺めたり。

そういった光景を見ていた時に、あのシーンを閃いたんですよ!
私が演じるナムは、農村から香港に出てきた。
そして、香港人が何やら道具を持って話をしているのを見て、
ロブスターを手にしてみたり、或いは・・・
ロブスターは実は玩具だった。本物のロブスターではない。
じゃあ玩具のロブスターから何か音が聞こえるかもしれない・・・
こうやってね少しずつ考えを膨らませていったんですよ!



高:現在のあなたは、他人の作品に純粋に役者として出演されていますが、
現場でもし監督と衝突してしまう、或いは何か閃いた場合、その感じた事を、
あなたから進んで監督に伝えたりする事はあるのでしょうか?


許:できるだけないようにしています。きわめて少ないです。
演じ方、表現の仕方に関する事を除いては・・・。
こういう風に演じてもいいですか?と監督に訊ねることはあると思います。
が、尊重しなければなりませんからね。私の方が経験があるから許される
と言うわけにはいきません。監督の考えには尊重すべきだと思います。
監督だったら、イメージが既に出来上がっているはずですから。
全てのシーンが頭の中では完成している。
そこへ、突然別の誰かが口を挟んだりしたら・・・・
もしかしたら、その別の人の意見が正しい事もあるでしょう。
でも、全ての流れが・・・

高:うんうん
許:大前提としてあるものが・・・全くそうではなくなってしまうのです。
大スターだからといって監督に注文つけてもイイなんてことありません。
あなた一人には分からないでしょうが、
あなたが変更した事によって、監督の頭の中に描かれていた
他のものにまで影響が及ぶかもしれない・・・それじゃあ台無しです。
だから私は、いつも尊重することにしています。口出しはしません。



高:人々はよくこう言います。
クリエイターの仕事には、これらの条件の内、
最低一つはクリアしなければならないと。


一つは、“
The First!
あなたが、一番最初に思いつく、と言うこと。

もしくは、“
The Best!”
同じシーンを撮るなら、あなたが一番優れていること。

或いは、あなたが他とは一番違っていると言うこと。
The Different

これが師匠の基準なのです!


高志森の顔を見ながら真剣に彼の話に耳を傾けるマイケル


高:
だから私たちは、この師匠に期待しましょう。
新しい映画がもっともっと生み出されることを!


その瞬間、“あ、キタか・・”と言わんばかりにハッっとするマイケル


高:
もっと沢山の映画を撮ってくれますように!

その言葉にマイケルは、一瞬、笑みを浮かべながらも、すっと、うつむき加減になると、
下唇をかみ締めながら、「あいよ〜」と言う顔をしておられました。
いや、頑張らなきゃイカンんなぁ〜って顔です。(笑)


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 日訳:管理人
Baakkei
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“愛”を分かち合う - 許冠文

2012.02.15 Wed

2012210日発刊の香港のフリーペーパー『AM730』に、
許冠文(マイケル・ホイ)先生の特集記事が掲載されました。

210日と言えば、マイケルのチャリティー・トークショー
『男女戦争』が勃発した日でもありました。
と言うことで内容は勿論、チャリティートークショーに纏わる話。

よって、一部、以前ご紹介した内容と重複する箇所も
あると思いますが、そこら辺はご了承ください。(笑)

m.hui20120409-1.jpg
※「AM730」より

以下訳文になります。



分享 大愛 許冠文

11は、いくらになります?」と、許冠文(マイケル)が問う。
筆者が答えに迷っていると、彼は先に自分でこう答える。
「男性は、そのまま“2”と答えるでしょう。
一方、女性は、“あなたはもう私の事を愛していないの?”
と逆に聞き返してくるハズです。女性が退屈そうにしているのが嫌だから、
こんなクダラナイ問題を投げかけるのではないかと」

明確、且つ鋭い(的を得た)答えである。
私はすぐさま、チャールズ・チャップリンが嘗て言った言葉を連想した。

「ユーモア感のある人は、たいてい人格が人並み勝れているものだ。
自身の力を感じることができ、どんな苦境も自分独りで乗り越えられ、
人気者である。」

今、私の目の前にいるマイケルは、まさにその生き写しではないだろうか。
彼によって巻き起こされる『男女戦争(スタンダップ・コメディ)』は、
まもなく尖沙咀(チムサーチョイ)にある文化センターで行われる。

ショーの収益は全て、香港の慈善団体
『生命熱線(訳:いのちのホットライン)』に
寄付されることになっている。
と言うことは、インタビューを受けたのは、チケットの売れ行きのためなのか?
いや、そうではない。『男女戦争』のチケットは、もうとっくに完売しているのだから。
マイケルは、ただ「愛」のメッセージを皆と分かち合いたいのである。

文:Yoki Lee 写真:韓修夫@何陸陸
協力:生命熱線(2382 0000)    場所:
Gossip Pantry


■ボランティアなら喜んで!

マイケルと言えば、ジョークがお好きなのは皆もご存知の通りだが、
自身のスタンダップ・コメディを通して、慈善団体を支援するための
募金を募るのは、何も今回が初めてではない。
では今回、“寄付先団体”に協力する事になったのは、
どのような理由からなのだろうか。

「ここ数年、様々な場所でスタンダップ・コメディを行ってきましたが、
最初は、純粋に個人の趣味でした。
それが後に、自分の心境の変化に気づいたのです。
社会のために何か貢献できるような事がしたい、と。
すると偶然にも、高志森(クリフトン・コウ)が、昨年の2月、
私が赤十字のために開いたチャリティー・トークショー(※1)を観ていたんですよ。
それで、『生命熱線(訳:いのちのホットライン)』と言う
命を救うことができるボランティア団体のためにも協力できないだろうかと
聞かれたんです。私は勿論喜んでやりますよ!
そしたら、観塘(クントン)にあるオフィスまで見学に連れて行かれたんです。
オフィスの中はとても小さく、10人分ほどの座席しかありませんが、
助けを求める人の電話をボランティアの方が24時間体制で受けているのです。
また、電話を掛けてくるのは皆、生きる事に絶望を感じていたり、
もう後がないと思っているような人ばかりです。」

1・・・2011216日、マイケル・ホイは、香港コロシアムにて、

一回限りのスタンダップ・コメディ《許冠文棟篤笑2最後警告》を開いた。

奥様の誕生日プレゼントに何かイイ事をしてあげたい、と思ったのがキッカケだそうな。


「それまで“電話を受ける”と言うのは簡単な事だと思っていました。
まさか人の人生の最期を左右する要になるとは思いもよらなかったのです。
座って電話相談にあたっている方たちは皆、予め8つもの養成課程
を受けなければならないそうです。実際、助けを求めている人の多くが、
身近にいる親しい友人には苦衷を打ち明けたがりません。
一つには、解決できない問題だと思っているから。
そして二つには、相手に迷惑を掛けたくないから。それならば、
見ず知らずの赤の他人に打ち明けた方がずっと安心だと思うようです。
肝心なのは、その方たちが自ら電話で打ち明けたいと望むこと。
相談員のボランティアは、友達のように注意深くあなたの話に耳を傾け、
気に掛けてくれます。また、問題提起をする事によって、
相手の心の中に隠れた解決策を探り出すのです。そうすることによって、
相手の自殺願望を軽くし、生きる事への自信を取り戻させるのです!
また、助けを求めている人(利用者)が、ボランティアに対して何らかの感情を抱き
必要以上に頼ったり、誤解を招かれないように、毎回ボランティアは、
同じ利用者を受け持つ事のないよう注意しなければなりません。」

統計によると、生命熱線(いのちのホットライン)を求める利用者は55%を超え、
その全てが男女関係によるものだそうな。夫婦の浮気による争いだったり、
男女間の友情における騙し合いだったり、旦那の両親・嫁姑問題、父母子女(親子)、
兄弟姉妹、上司、同僚間の矛盾衝突・・・等々。こういった様々なケースによって、
インスピレーションを掻き立てられたマイケルは、『男女戦争』と言う名の
チャリティがテーマのトークショーを行う事に決めたのである。

「“聞く”と言う行為は、男女戦争において、最も効果的な対策になります。
私の場合ですと、妻の機嫌を損ねてしまいケンカが勃発する時はいつも
じっと黙って、とりあえず妻に好きなだけ砲弾を撃たせてやるんです。
思う存分鬱憤を撒き散らした彼女はいつも、自然と全てが元の状態に戻るんですよ。
だから、何かを解決する必要なんてないわけです。ここからも分かるように、
雄と雌の戦争において、女性と言うのはですね、いつも話が非論理的なんですよ。
感情だけに重きを置いて話すわけです。だから男性はですね、全て論理的思考に従い
理性を持って行動をすればよいワケなんです!」


■心理状態が、一切を決定する

「私は人と接する時であれ、何かをする時であれ、
いつ何時でも、一つの目標をあくまで貫きます。
以前なら、映画制作がそうですが、現在で言うならば、
スタンダップ・コメディもまた然りです。
先ずアイディアが浮かぶと、自分自身に面白いかどうか尋ねるのです。
その後、観た人が、映画館、或いは劇場から出てくる時に、
今日の命(人生)は、昨日よりも素晴らしいと思えるようになったかどうか、
以前よりも生きたいと思えるようになったかどうかを考えるわけです。
生命(人生)と言うのは、元々とても悲惨なものです。
ただ、自分が窮地に陥ってしまったと思った時に、考えてみるんですよ!
この世と言うのは、自分が消えてしまったからと言って変わるもんじゃない、と。
唯一つ変えられるとしたら、それは自分の“気の持ちよう”です。
ユーモア的視点で世界を見る事を覚えれば、新しい局面が見えてきます。
それはまさに、私が心理学を学んだ時に出会ったある代表的例文のように・・・。
“一杯の水があなたの目の前にあります・・・
あなたは、そのコップに入った水が、半分に満たされた状態だと思いますか?
それとも半分に減った状態だと思いますか?” 
ネっ!この事からも分かるハズです!
気の持ちようで、全てが変わると言う事ですよ。」


■スタンダップ・コメディには、公式がある

“スタンダップ・コメディのパフォーマーになるには、
必ずしも“笑い”を心得ていなければならない”と言うわけではないと
マイケルは考える。その代わり、しっかりした個人の立場があり、
独特の見解を持っている事が必要だと。
注意深く日常生活の細部を観察し、そこから興味深い面白い所を見出すのだと。

「例えばですね、毎回私の妻は、大きなバッグを提げて
ショッピングに出かけるのですが、携帯が鳴った時にはもう
大海原の中から一本の針を探すような事になるんですよ!
こう言うのは、男性には全く理解できない事で・・・・
と、まぁこう言う例がまさに創作する上での良いアイディアになるわけです。
パフォーマーは、必ずしも弁が立つ必要なんてありません。
しかし、伝えたい事を表現する能力がなければなりません。
または、できるだけ、最近起きたホットな話題をチョイスする事、
或いは、普段から皆が触れる出来事である事。
更にはそれが
78割の割合で、その範囲内であれば、最も理想と言えるでしょうね。
“財爺(あだ名)”こと、
財政長官の曽俊華(ジョン・ツァン)の
ちょっと前の広告を覚えていますか?
なぜ彼は、数字の歌を歌うだけで、何も語らなかったのか!
それはですね、
彼の任期中、最後の仕事である財政予算案ですが、
彼が何を言った所で非難されるのがオチ。だったらいっそのこと、
テキトーに数字でも口ずさみ、うやむやにケリをつけようと思ったわけですよ!」


■許冠英

許冠英(リッキー・ホイ)が昨年この世を去った。私はマイケルに聞いてみた。
今回のトークショーの中で、弟を追悼する一幕も考えているのだろうかと。
すると彼はこう答えた。

「そのような構想も確かにありました。しかし今は、それはないでしょう。
あの日からずっと、私の心情は未だに平静を取り戻していませんので。
Sam(許冠傑)が、今年コンサートを開きます。
恐らく、彼を偲んで
リッキーの曲を歌うことになるでしょう。
その瞬間は、我々三兄弟がまた、
同じステージに立つことになります。
『無情夜冷風』と言う歌、聞いたことあります?
♪無情夜冷風,吹散熱情夢………♪
リッキーの歌は、いつだって悲観的なんですよね。」

そう言って、口ずさみながら、目に一杯の涙を溜めるマイケルだったが、
直ちにまた本題に戻り、こう話してくれた。

「スタンダップ・コメディは、最初からずっと映画のようなものなんです。
私にとっては、“娯楽”と言うそんな単純なものに留まらず、社会に対する責任であり、
またそこには、メッセージを発信する意義があると思っています。
だから今日、こうやって私もボランティアの一員になれる事は、
私にとって光栄な事であり、大変誇りに思っているんです。」

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 日訳:管理人
Baakkei
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高志森微博 第五回ゲスト:許冠文

2012.02.13 Mon

前回、『高志森微博』の第一回ゲストとして
出演した
許冠文先生ですが、
実は、その続きがあったようです。

道理で前回は、
映画の内容には触れられなかったわけだ・・・。

と言うわけで、『高志森微博』の第五回目、
『影視回憶(映像回顧録)』と言うコーナーに、
許冠文先生が再びご出演されました。
(※同じ日に二本撮りしたみたいです・・・)

◆高志森微博(第五集)
第一部ゲスト:許冠文(マイケル・ホイ
案内役:高志森(クリフトン・コウ)
収録日:20111222
放送日:2012年0129


オープニング

高:私もデビューして、いつのまにか36年が経ちますが、
この30数年、多くの方に助けられ、
何人もの才能ある諸先輩方から色々な事を学ばせて頂きました。
その内の一人が、許冠文(マイケル・ホイ)さんです!


映像回顧録

高:皆さん、今日の『映像回顧録』のコーナーは、大変光栄な事に、

許冠文先生とトークできると言う事で嬉しい限りです。

私は嘗て彼と映画制作でご一緒させて頂いた事があります。

彼はボスであり、脚本家であり、役者でもあられるわけで、

そんな彼の映画の監督を務める事ができたのは、ラッキーだと思っています。


※因みに高志森が視聴者に向かって話をしている時、
許冠文先生は、急須片手に自分で湯飲みにお茶を注ぎながら、
時折、カメラを意識しながらも、マイペースにお茶を嗜まれております。(笑)

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高:マイケル!私は、あなたと合作した映画の中で
『鶏同鴨講(ホンコン・フライド・ムービー)』が一番印象に残っているんですよ。
それで今日は、特別にこのシャツを着てきたんですよ!
許:私の顔を立ててくれたわけですね!(笑)

と言いながら今度は、高志森さんにも、
お茶を注いであげるマイケル♪(笑)

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高:
そうなんです!皆さん、あの映画の中で、マイケルは
お義母様からお金を借りるシーンがあり、
最新のファッションでキメたつもりが、お義母様から“この服”はまるで、
「絵の具をひっくり返したみたいな柄ね!」なんてバカにされて・・・。
許:アハハハ


あれ?実際のストーリーと少し違うような・・・
それとも私の記憶違い?(笑)
確か、お義母さまが、
マイケル演じる“老許”にあのシャツをプレゼントした所、
“老許”の息子が、「絵の具をひっくり返したみたいな柄だね」
と言ってバカにしたような・・・

高:当時、私もマイケルと一緒にこのコメディのストーリーを考えたんですよね。
コツと言うものがあるなら、それがコメディを考える上での重要な鍵になってくるのですが、
つまり、多くのコメディにおける“笑い”と言うのは、台詞にあるんですよね。
役者の会話が面白いこと、台詞がユーモアに富んでいる事が大事で。
しかし、もう一つ大事な事があって、それは、コメディの面白さは、
ビジュアルから来るものだと言うことです。
この事について、当時もマイケルとよく話し合いましたよね。
その『鶏同鴨講(ホンコン・フライド・ムービー)』での経験談は、今になっても・・・
例えば、私が演藝学院で学生に講義する時は、あの時のマイケルの言葉を
いつも引用するんですよ!勿論、マイケルの言葉として出典を明確にして話すわけですが、
ビジュアルと、ダイアログ、視覚と聴覚の話になると、
あなたは自分の考えに揺ぎ無い自信を持っていますよね。

許:観客と言うのは、常に人が人を見ているのです。
目に見えるものが大事なのであって、台詞はそれほど重要じゃないと私は思うんです。
なぜなら、特にこのご時世、人と人の間に生まれる言葉と言うのは、殆どの場合、
ま、99%がウソなのですから。頭のいい人は、どうせ作り話なんだからと、
なんで真面目に聞かなくちゃいけないのかと思うわけです。
では、どうするのか!それは話す者の姿、眼差しに掛かってくるんですよ。
話し手に、どれだけ誠意があるのかは、その時の仕草によるんです。
それは、あなたが全く相手の目を見ずに、「アイ・ラブ・ユー」と言うのと同じです。
今日まで随分映画を観てきましたが、以前、私が市場に行くと、
野菜や魚を売っているオバチャンに、こう言われた事があるんです。
「ホイさん、私が映画を見た本数は、あなたよりも多いハズだよ!
私は、仕事が終わるとたいてい45本のDVDを観てるんだからね。
あんたどうだい?そんなに観ないだろ?」って。
「私は、あなたよりもっと観てますよ!ストーリーの事なら、
私に聞けばすぐに答えられますから」って私は言うんですけど。
普通の人の場合、こんなにも多くの映画を観る時は、
台詞がどうだの、ストーリーがどうだの、そんな事よりも、
唯一つ大事なのは、“フィーリング”なんですよ。
だから、映画の中で表現する時に、例え会話がなくても、
いや、一番いいのは、言葉なんて要らないんですよ。ラブストーリーだったら特にそうです。
何度も何度も、相手が「アイ・ラブ・ユー」と言う言葉を聞きたいですか?
必要ないでしょう!ボディーランゲージで十分伝わるんですから。
ある段階に達したら、身振りだけでいいんですよ。
これは、私がずっと信じている事なんです。だから一番いいのは、
映画を撮るなら、一番の理想は、一言も話さない事、台詞が全くない事です。
台詞なんて要りません。或いは二言三言で十分です。
最近のドラマを観たのですが、問題は台詞が多いことですね。
もうどう見ても明らかな事を、延々と喋り続けるんですよ。
もう解釈しなくてもいいからと思うのに、表情を見れば、
あなたが彼を嫌いな事ぐらい分かるのに、口に出さなくてもよいのに、
「私はあなたが嫌いだって知ってる?教えてあげるわ、私はあなたが嫌いなのよ!」
こういうのは、時間の無駄ですよ。必要ありません。
だから映画を撮っていて一番の理想は、“笑う”ことです。
高:はい
許:笑う時は、心が表れるものです。笑いたければ笑う、そこに言葉は要らない。
これが私の最高の理想なんです。映画には、起承転結の構成がありますから、
視覚だけでも理解できるように少しずつ作り上げていく事ができます。
そして、もう一つ大事なのは、我々(作り手)がこうなんだよと観客に思わせるのではなく、
観客自身が自発的にそうなんだと思えることです。見る人も心からそうだと確信できた時、
その映画を心から気に入ってくれるのではないかと私は思うんです。

高:私が思うに、最近のドラマですが、台詞があんなに多いのは、
食事の支度に忙しい主婦のためだと思うんですよ。彼女たちが鍋を振っている時、
突然TVから台詞が聞こえなくなったら、何があったんだろうって。こりゃイカンって。
ストーリーが分からなくなるわけですからね。
許:アハハハハ!
高:途中で手を止めてTVの方へ駆けて行くかもしれませんしね。

許:
しかし、映画の場合は、気をつけなければなりません。
チケットを買った後、真っ暗な室内に座り、2時間もの間ずっと
登場人物の動きだけに神経を集中させているわけですから。
髪をなでる仕草だったり、指一本一本だったり、目の動きだったり。
この人物は何をしたいのかが知りたい。何をしようとしているのかを
推測したいんですよ。仮に人物が、本当にある大事な仕草をしてみせた時、
観客にとっては、それを見たかどうかが大事なのです。
また、他の人がそれに気づいていない事が嬉しかったり。
だから、ハッキリ言ってしまうと、面白みがなくなるんですよ。


高:私がAPA(香港演芸学院)で講義をする時、
私はいつも
あなたの過去の作品を題材に使うんですよ。
例えば、名作『半斤八兩(
Mr.Boo!)』。
まず一つ目は、ニワトリで体操をするシーンです。
“偶然に誤解が生じる”と言うものですが、
あれは所謂、“勘違い(すれ違い)コント”の名シーンですからね。
二つ目は、厨房での格闘シーン。

ヌンチャクが出てくるわ、ジョーズが出てくるわ、色んな物が出てきます。
当時、この二つのシーンは・・・いや、こう言ってよいのか分かりませんが、
あなたの初期の作品に見えるこう言ったシーンは、どのようにして思いついたのですか?

許:この映画は・・・もう随分と前の話になりますね・・・。あの時は、許冠英も・・・・・・・
はぁ〜・・・いやいや、ハハ!私は、特にビジュアル効果が好きなんですよ。
先程も言いましたが、一番の理想は、台詞がないことですから。
ネタのアイディアは、いつもどこから来るのかと言うと、日常生活から得たものなんです!
あのシーンは、私はいつも自宅の書斎で脚本を練るのですが、
(私の部屋から)遠くリビングの右端にキッチンが見えるんですよ。
当時、女性の太った家政婦さんを雇っていまして、彼女は鶏料理を作るのが好きだったんです。
彼女は、ニワトリの毛をむしり取り、当時は生きたニワトリが売ってましたからね。
絞めた後は毛をむしり取るわけです。そして彼女は毎回、テレビを見ながら
ニワトリを絞めるのですが、私は心の中で思ったんですよ。毎回テレビを見ながら作業したりして、
自分が何をやっているのか分からなくなる事はないのだろうか?って。
テレビに気を取られ、失敗する事もあるんじゃないかと。
そしたら、ふと閃いたんですよ。ある日、彼女がニワトリを絞めている時、
もし、テレビで体操をやっていたとしたら、ニワトリで体操をするんじゃないか!
そしたら、面白いなぁ、と。だからあれは、日常生活から、私の家政婦を見ていて
閃いたものなんです。


高:じゃあ、あの厨房の格闘シーンは?あのシーンは、本当に、
本格的なアクション映画に見られる“武術振り付け”だと思うのですが。

許:香港のカンフー映画は、当時とっても人気がありましたが、
あの時、少しずつですが勢いが衰えていたんですよね。
新しいアイディアがなく、毎回あの幾つかのスタイルしかないですから。
私は武術の事はよく分かりませんが、あの時は、そんな時だからこそ
全ての武術を代表するような、アクションシーンを取り入れるべきだと思ったんです。
それも、コメディの視点から見たカンフーです。
私の目には、カンフーはとても幼稚なものに見えたので、
あんなに動作が多くて、実際には一撃で倒せるのに・・・って。
高:ハハハ!
許:それで、これまでに私が観てきたカンフー映画の中から、
私がこれは滑稽だと思う動きを、例えば、無駄にヌンチャクを振り回し続けたり、
そう言うのを全てミックスさせてみる事にしたんです。
あのシーンは全部で15分あったと思いますが、あれは、私なりに
コメディの視点で再現したカンフーなんですよ。ソーセージがちぎれたり、
後は覚えているのは・・小麦粉をぶっ掛けられて、でも穴の開いたオタマで遮ろうとしたがために
高:結果、粉が顔中に点々と・・・
許:あのシーンは貴重な思い出です。単に“笑える”と言う事の他に、
コメディのためにあんなに長い格闘シーンが撮られたのは、
当時の香港では初めての試みでしたから。それもそのはずです。
あの映画には、沢山のその道の達人たちが制作に関わっていたのですから!
アクション指導には、サモ・ハン・キンポー(洪金寶)が手伝ってくれましたし、
企画を手がけてくれたのは、ジョン・ウー(呉森)でした。
とにかく多くの香港の第一線で活躍する人材が、当時は皆私の映画のために
協力してくれたのです。こんなに幸運な事はありませんよ。
高:あの時は、彼らの成長期でしたからね
許:そうですね。偶然にもこんなに多くの名手が集まったからこそ、
あの特別なシーンが撮れたのだと思います。


高:私は、『鶏同鴨講』であなたと一緒に仕事が出来た事がラッキーでしたね。
『鶏同鴨講』の中に、師匠から技を盗むシーンがありますが、あれは確か
あなたのお気に入りのシーンですよね?一緒に構想を練っていた時、
あなたは、特に“中国人”を強調していましたね!師匠と言うのは、弟子に技を伝授する時、
決まってある部分を秘密にしておくものだと。その次に考えたのが、
弟子は、師匠がアヒルを焼く姿を見て技を盗もうと考える。
そこで、その様子を“動き”だけで描くと言うシーンが生まれたんですよね。
許:ハハハ!そうでしたね!
高:それで後から、ジェームズボンドの音楽をBGMに加えることに。
スパイ映画っぽい雰囲気を出そうと!あのシーンは、あなたにとって特別な・・・
とても感慨深いものがあるように窺えましたが。

許:あのシーンについては、あなたとエライ長いこと話し合ったのを覚えていますか?
高:随分長い事・・・
許:なぜなら、あのシーンは、あの時一番の見せ場でしたからね。
とても共感できる内容ですし、皆、師匠から技を学ぼうとする時、
師匠が教えてくれるのは、いつも完璧ではないような、何か言い惜しみしているように、
どこか感じているものですからね。特に、料理人の世界では、
仕上げの調味料は秘密にしていて、95%しか伝授してくれない。残りの5%は隠している。
これは皆分かっている事ですから、共鳴を得られるはずだと。
高:自分が教えた弟子に追い越されるかもしれないですしね
許:だから弟子は、師匠の動作を見て技を盗むしかない。何を加えるべきかと。
それがとても笑えるんですよね。構造に視点を移すと、
一つは共鳴できること。もう一つは、ビジュアルで見せること。
こうやっているように見せかけて、でもそうじゃない。
相手があっちを見ている隙に、私は・・・と言う風に。
時に私がふと考えることなのですが、
もし、あのシーンが私のオリジナルで、それに皆が共感する。
しかもそれは、ビジュアルだけで見せる事ができる。ダイアログは要らない。
そんなシーンが出来た時の事を考えると、私は興奮するんですよ!
じゃあ次にどうするか。このシーンは、どのように組み立てるべきかを
何日も寝ないで考える。あの時も、あなたと一緒に何日も何日も考えましたよね。
付き合ってくれたあなたには感謝していますよ!


高:あともう一つ何日も掛けて考えたシーンがありますね。
後半、ライバル店にネズミを仕込まされると言うシーン。
店の天井のあちこちから、ネズミが落ちてきて、
最後はスタッフが一丸となって、店のピンチを救おうとする。
確か我々が食事をしている時、あなたは食べ終わると、突然思いついたと言って、
シーンを追加撮影することになりましたね。それが、あの衛生検査官が去ろうとした時に、
ネズミが泣き声を出したことで見つかりそうになった後のシーン。
ネズミを即座にお椀で隠すと、他にも幾つかお椀を出して来て、
お椀の位置を動かしながら相手に当てさせると言うアイディア。
さぁ、ネズミが入ったお椀はどれでしょうって!
あなたは食事が済んだ後、突然このアイディアを閃いて、
急遽追加する事になったんですよね。

許:あれは、私が“燒鵝P粉(※1)”を食べに市場へ行った時に、
ある一人の“街頭詐欺”を見かけたんですよ。彼は三枚のカードを並べ位置を何度も変え、
当たりのカードがどれか客に賭けさせると言うヤツです。
でも皆、彼がイカサマをしている事ぐらいは分かり切っているんですよね。
まるで、私が閃いたあのシーンみたいに。それでもいっそのこと、
どのお椀にネズミが入っているか当てさせようと。
でも、当たりのカードを指されても、彼はスリ替えてしまう。このカードですね?と言って、
実は別のカードとスリ替える。客には動きが早いから見えないだけで。
私は市場でこうしたイカサマ師を34人ほど見掛けたんですよ。
だから、私の作品の題材は、いつも日常生活から生まれるんですよ。

1:ガチョウのローストがデンと乗ったライスヌードル

高:だからこんな言葉がありますよね。
アイディアと言うのは、元素(基本の要素)を新たに組み合すことだと。
先程、マイケルが話して下さったエピソードからもお分かり頂けるように、
実は、生活の中に沢山の異なる“元素”が転がっているのです。
そして終いにはそれが、コメディのネタになるわけです!

(日訳:管理人 Baakkei

※動画は⇒こちら

【追記】許冠文的喜劇人生 (下) 

2012.02.04 Sat

前回ご紹介した『明報周刊』のマイケル特集、
許冠文的喜劇人生()』の中から、
本文以外の貴重な秘話をここに補足しておきます。

※『明報周刊第2256期』 P129、P131より

以下訳文になります。


娘の夢、父の一撃でぶち壊される

  『神探朱古力(新Mr.Boo!香港チョココップ)』に纏わる思い出の中で、
梅艷芳(アニタ・ムイ)以外にもう一人、マイケルにとっては忘れられない
“役者”と言えば、間違いなく当時10歳だったマイケルの愛娘、許思行であろう!

「私の娘はずっと、キレイな服を着たスターに憧れていました。
その夢を、まさか実の父親の一撃でブチ壊される事になるとはね!」


  実を言うと、マイケルは娘の演技を評価していた。ただ、
作品を総合的に見るとイマイチ溶け込んでおらず、全体の流れを考慮すると、
残酷ながらも娘の全出演シーンをカットせざるを得なかったのだ。

「私は、娘がメディアに顔を出す事には、これまでずっと反対してきました。
第一に、子供に自由を失って欲しくないから。
第二に、思考力の土台がまだ不十分な時に演技をすると言うのは
とても危険な事ですから。
第三に、物質的満足を得るのは簡単な事ですが、
精神的満足を得るのは、もっと重要な事だからです」

彼が娘の出演を許可したのは、それもまた「教育」に基づいての事だと言う。

「撮影が終わると、私はメモを書いた紙を娘に渡し、プロデューサーに
報酬を貰うようにさせていたんです。日給は、12ドル8セントです。
娘が報酬を受け取ると、私は彼女にこう聞くんです。
“この間買ってあげた玩具は幾らだった?”彼女は、“30ドル”と答えます。
30ドルの物を買うには、何日働かなければならないのかな?”
彼女はちょっと考えてから、こう言います。“二日とちょっと!”」


  当初、マイケルは、自分の教育方法は成功だと思っていた。
ところが思いがけない事に、その後、監督 陳欣健の娘も出演する事になり、
彼女の日給が、なんと120ドルだったのだ!

「ギャラが跳ね上げられたものだから、
私の娘は“ストライキ”騒動を起こしたんですよ!」



通り過ぎた
2大名作

  93年、冼杞然(スティーヴン・シン)が企画監督した『西楚覇王
(項羽と劉邦/その愛と興亡)』は、キャスト選びに難航していた。
最終的には、主役の劉邦役に張豊毅(チャン・フォンイー)が選ばれたのだが、
嘗ては、尊龍と言う話も出ており、ひいては、当初は思いも付かないような、
許冠文の名前も挙がったと言う!

  「当時、私はコメディ以外の作品は断固として撮りたくなかったので、
数多くのチャンスを見送りました。」


マイケルは笑いながら語った。

「『秋天的童話(誰かがあなたを愛してる)』の主役(船頭尺役)、
本来は私にオファーが来ていたんですよ。でも、私は、
自分とヒロイン(鍾楚紅)が真剣に恋愛をする姿を思い描く事ができなくて・・・
だって奇妙でしょう!」


※最終的に、『秋天的童話』の主役は、周潤發(チョウ・ユンファ)に決まった。

もう一つの見送った作品だが、これもまた上手い具合に、
周潤發(チョウ・ユンファ)がキャスティングされることに。

「『賭神(ゴッド・ギャンブラー)』だって、私は断りますよ。
確か、向華強に誘われたんですよ。彼はこう言いました。
“『賭神(ゴッド・ギャンブラー)』で君を選ばずして、他に誰がいるんだ?”
私は言いました。“ギャンブラーだったら、
『鬼馬雙星(Mr.Boo!ギャンブル大将)”』で演じてますよ?”
彼は、ギャンブラーとゴッドギャンブラーは別物だと言うのですが、
私はキャラクターが重複するのはどうしても嫌なので、断ったんですよ。」


  マイケルに体よく断られたその2作品は、どちらも共に、
香港映画史に残る名作となった。彼は、素直にこう語る。

「『賭神(ゴッド・ギャンブラー)』は、それほど惜しいと言う程でもないですよ。
『秋天的童話(誰かがあなたを愛してる)』に関しては、ちょっと残念ですがね。
もし、タイムトンネルがあるのなら、私はオファーを受けますよ。
だって、あの作品は確かに良い作品ですからね。
たとえ私の演技が周潤發(チョウ・ユンファ)には及ばなくても、
まぁ悪いようにはならないでしょう!」

(日訳:管理人Baakkei

許冠文的喜劇人生(下) A

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『摩登保鑣(新Mr.Boo!アヒルの警備保障)』の成功は、意外にも、
ホイ三兄弟が方向性の違いから、それぞれの道を歩む幕開けとなった。
当時、マイケルは、その事を公開の場で素直に認めている。
映画の大ヒットは、彼の心理的負担を更に重くしていた。

「『雙星報喜』から始まり、このパターンで既に10年やってきましたが、
原則的に言って、それは皆同じスタイルのもので、この先も引き続き
このパターンでやっていけば、どれも似たようなものになってしまいます。
有力なアイディアが無ければツマラナイ・・・
Samは、私の考えを尊重してくれました。
根気よく考えればいいと私に言ってくれたんです。
しかし、青春は大変貴重なものです。阿Samはハンサムでまだ若い。
私に付き合って待っていたら、一年、二年・・と
歳月を無駄にしてしまう可能性が大いにあるわけです。だから、
もし他に良いチャンスがあるならば、やってみるように彼に勧めたんですよ。」


  するとちょうど上手い具合に良い時期に当たった。
新藝城(シネマシティ)が、200万ドルの高ギャラを提示して、
Samに『最佳拍檔(悪漢探偵)』への出演を依頼してきたのだ。
一旦撮影が始まれば、途中で止めるわけにはいかなくなる。
一方、マイケルは、自分の新しい道に向って構想を練り始めた。
ラブコメディ風の作品へ転向である。
先ずは、葉蒨文(サリー・イップ)と共演した『鐵板燒(新Mr.Boo!鉄板焼)』、
その次は、鍾楚紅(チェリー・チェン)との『歡樂叮(新Mr.Boo!お熱いのがお好き)』。
しかし、興行収入も評判も記録を破る事はできなかった。

「以前は阿Samがいたので、ヒロインは必ず彼に食われてしまう。
彼がいなくなった今は、私を食ってしまう美人なヒロインが必要になる。
そうなると、ラブストーリーになってしまったと言うわけです。
しかし、観客には、あまり受け入れられなかったようで。
例えば、『半斤八両(Mr.Boo!)』の中には、40ものギャグがあった。
『歡樂叮(新Mr.Boo!お熱いのがお好き)』にも40個のギャグが含まれている。
結果、『半斤・・』は、それら40のギャグ全てがウケたんですよ。
客を本気で笑わせることができたのに。
それが『歡樂・・』になると、一つもウケなかった。これをどう思います?
許冠文の笑いの技術も、たった数年で“大ウケ”から“大コケ”ですよ。
これこそまさに、私が考え直さなければならない課題なのです。」



何も知らずにレコーディングルームへ
黎明を弟代わりにするのは間違っていた

  挫折の経験から教訓を汲み取ったマイケルは、86年、
ついに“ピン”になって初の手応えを得た。『神探朱古力(新Mr.Boo
香港チョココップ)』が2000万ドル以上を売り上げたのだ。
彼は、劇中でパートナーを演じた梅艷芳(アニタ・ムイ)を大絶賛した。

「第一に、美しい歌声を持つ、完璧なるトップクラスの歌姫。
第二に、ステージ上でのパフォーマンスは、バレエダンサーの如く美しい。
大概、歌声が美しく、動作が素晴らしい人は皆、芝居をやらせても上手い!
私は随分前から彼女に目を付けていたんです。
彼女にピッタリの役所があれば、彼女を起用しよう、って」

マイケルとタッグを組む事になったアニタは、
当初、少し戦々恐々としながら彼にこう訊ねた。

「・・・私は・・・、マジメな演技をすべきなのでしょうか?
それとも・・・、アナタみたいに可笑しく演じるべきなのでしょうか?」

マイケルは、彼女に指摘した。

「コメディと言うのは、故意的に面白くしているわけではないんだよ。
こちらからは、ただストーリーを提供するだけで、
君なりに感じるものがあるなら、それをそのまま演じてくれればいい。
もし、笑えると思ったのなら、その可笑しさを表現してくれたらいいしね。
わざと大袈裟にする必要はないんだよ」


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  当時、アニタの音楽プロデューサーをしていた黎小田(マイケル・ライ)にも、
特別な役割があった。黎小田はマイケルに、アニタと一曲デュエットしてほしいと
絶えずラブコールを送っていたのだ。しかし、マイケルはそれを固く拒否した。
『雙星報喜』以来、歌声を公には披露しないと決めた以上、それは破れないと。
口説いては断られ、口説いては断られ・・・終いにはアニタの口から頼む事になり、
打ち上げの席でマイケルの歌声を聴いた時、すごくイイと思ったと言って説得。
アニタと小田は、大した事じゃないと言うような演技をしながら、終には、
マイケルをレコーディングルームに誘い込む事に成功。マイケルには内緒で、
『神探朱古力(新Mr.Boo!香港チョココップ)』の主題歌をレコーディングしたのだ。

「確か、黎小田作曲だったと思います。
歌い終わると、彼にOKと言われ、私は、ダメだと言ったんです。
あまりにも聞くに堪えないヒドイものだから。アニタ・ムイにも、
“怖がらないで、ちょっと遊んでみるようなものじゃない”と言われましたが、
私は、“たとえ遊びでもダメだ”と反対したんです。
こうしてやっとのことでレコーディングを終えたのですが、
結局、世に出る事はなかった・・・」

2003年、アニタがこの世を去ると、マイケルはこの事を後悔するようになる。

「人生は、苦しく儚いものです。
アニタ・ムイと言う才能ある人物とデュエットできるなんて、貴重な事なのに。
あの曲が流行るかどうかなんてどうでもよい事で。
せめて一曲だけでも彼女との曲を残しておくべきでした。
そうすれば、カラオケに行けば必ず、
マイケル・ホイとアニタ・ムイのデュエット曲があったと言うのに!」

少し前にも、当時の歌のマスターテープがまだ残ってはいないかと、
マイケルは黎小田に問い詰めたと言う。
「何とも言えないなぁ。探してみるしかないね」
黎小田は答えた。


  共同事業が上手く行けば、道理から言って続編が作られるのはおかしくない。
マイケルは一度、『神探朱古力』の続編の準備に取り掛かったと言う。
ところが、89年の9月、突然、制作チームの解散を言い渡した。
許氏公司と嘉禾(ゴールデン・ハーベスト)は、長年の付き合いに終止符を打つことに。
当時マイケルは、双方間で配給等の条件に隔たりが生じたためと説明した。
舞台の裏であれ表であれ、嘉禾の人間が少なくない以上、いっそ別れた方がましだと。

「周りから見れば、満足しているように見えるかもしれませんが、
私は依然として、興行成績にも、笑いにも満足していません。
アニタ・ムイと言う共演者がいて、まだ何が不足していると言うのか?
私は先ず、立ち止まらなければならないと思いました。それに、
私は前々からずっと、“続編”はあるべきではないと思っています。
良いモノは、前編で既に撮り終えているんです。
後編を撮るということは、それは純粋に金のためであり、
間違いなく損をする事はない。でも、それは良い事ではない。
もし今、ジェームズ・キャメロンが『アバター2』を撮ると発表したら、
それはつまり、金のため、ビジネスである事は明白ですからね。
私は、こう言う事は尊重できないんです。」

  彼の芸能人生において、唯一『続編』をタイトルに掲げた作品は、
90
年製作の『新半斤八両(フロント・ページ)』である。

「数年もの時を経て、もう一度三兄弟で一花咲かせてもいいなぁと思ったんです。
当時、私と陳欣健(彼もまた『神探朱古力』の監督である)は、
よく一緒に映画作りをしていました。彼は、俗世間にも精通しており、
今の時代に合っていると私は思っていたんです。
それなら彼にもう一度監督をやらせてみようじゃないかって。
しかし、思いもよりませんでしたね。例え同じギャグでも、
自分で考えたものを自分で演じる時は上手くいくのに、
監督が変わると、ちょっと違うだけで、しっくりこない。面白くないんですよ。」

周知のように、ジャッキー・チェンの映画の監督が谷徳昭だろうと、唐季礼だろうと、
成龍作品には、やはりジャッキーの魂が込められている。
マイケルは立派な喜劇王だ。まさか現場で口を出す事ができないとでも?

「私は、監督をとても尊重しています。
映画と言うのは、フィルムを使ってストーリーを“話す”ものです。
では、話し手は誰なのか?それは当然、監督の役目です。
ストーリーの話し手は、一人であるべきです。
話し手が二人もいれば、ストーリーが死んでしまいますよ!間違いなく!」


  これは、三兄弟最後の共演作でもある。
92
年、阿Samが芸能界を華々しく引退。一方、この時マイケルは、
当時勢いのあった黎明(レオン・ライ)を共演者に選び、『神算(マジック・タッチ)』を製作。
これはまさに、阿Samの“衣鉢”をレオンに継がせたことになる。

「映画と言うのは、経典があるわけではありません。
その一冊を歳を取るまで読み続けるわけにはいかないのです。
ならば黎明に、阿Samがこれまでやってきた事がやれるのか?
本来なら、それは不可能な事です。
人は皆、それぞれ異なる特性がありますから。
黎明は、黎明を演じるべきです。
私が『神算(マジック・タッチ)』を監督した時、
もし阿Samがいたら、こうするのになぁ・・・と言う事を常に考えていました。
しかし、黎明だって、阿Samの影をそんなに重ねられても困るわけです。
あいにく、あの脚本は彼に合わせて作られたものではなかった。
だから彼は自分のスタイルを新たに生み出す必要があった。
それは容易い事ではない。ところが、
それは、黎明の演技がすばらしい事を後に実証したのです。
だから私は、彼の得意分野を理解し、うまく利用しただけなんです。
彼に阿Samの代わりをやらせたのではなくて。」


  マイケルは、今もなお“独りぼっちのハンデ”を克服しようと努力し続けている。
彼の誓いは、時間が掛かってもいづれ必ず、再び映画界に返り咲くことだろう。

「歳を取ってまだ主役を演じようとすると、選択肢が少なくなります。
ウディ・アレンのように、ヒロインに自分の情婦を演じさせるのは、
見た目にもあまり気持ちの良いものではないですし。まるで、娘を・・・。
私は今正に考えている所なんです。一旦成功したら、
私の研究データを皆さんにもお見せしますよ!」


(日訳:管理人Baakkei

許冠文的喜劇人生(下) @

『明報周刊』の“集體回憶”と言うコーナーに
二回に渡り許冠文先生のインタビュー記事が掲載されましたが、
今回はその後編です!前編は、こちらをご覧下さい。


◇雑誌名:明報周刊』
◇発売日:201224日(第2256期)
◇内容:P126P131 『許冠文的喜劇人生()

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以下、後編(本文のみ)の訳文になります。


梅艶芳に後悔の念
マイケル・ホイのコメディ人生(下)

コメディに対して、依然として大志を抱く許冠文(マイケル)だが、
今は度重なる苦難のため、彼のような賢者も
現実と向き合わざるを得ないのであった。

「香港市場に活気がなくなり、大陸に頼らなければならなくなった。
そこで色々と模索し始めると、今度はまた別の要因が出てきた。
もう若くない私が主役を続けていくとしたら、それはいったいどんな題材なのか?
おまけに阿Sam(許冠傑)は映画界から離れていき、それだけじゃない!
今となっては、阿英(許冠英)までもが・・・」

ますます困難を極めていく。

「いつか、私が再び映画を撮り始める日が来るとしたら、
それは間違いなく、私の年齢、兄弟がいないこと、
笑い所が必ずしも頻繁ではなくとも十分に堪能できること!
これらの問題を既に克服できたと言う事です」

ツアー客がフリープランでどこにでも入り込める今日だが、
本土らしさを活かすためには、香港にはもっと多くの“桃姐”と、
そして、許冠文兄貴が必要になるのだ。


契約書を盗んだ王羽にひらめく!
文芸映画への出演は幻に・・・
  

  1970
3月、“百萬小生(百万ドルの俳優)”王羽(ジミー・ウォング)は、
直筆で声明文を発表、ショウ・ブラザーズの傘下から既に離脱した事を示すと、
この事が元で、数年間に及ぶ訴訟が繰り広げられる事に・・・。
この一時世間を揺るがした大ニュースは、許冠文のインスピレーションを触発。
その8年後、『賣身契(身売りの契約書)/邦題:Mr.Boo!インベーダー作戦』が
完成したのである。

  「『獨臂刀(邦題:片腕必殺剣)』を撮り終えると、
ショウ・ブラザーズは、
王羽が他会社の作品に出演させないようにした。
憤懣やるかたない彼は、
ある日、人に会うと言う口実を付けて会社に引き返すと、
周囲を欺き契約書を盗み出し、それを粉々に破り捨ててやった・・・・・・。
私もいつも思うのですが、大きな組織と言うのは、タレントをイジメるのが好きですねぇ。
だから、いつか機会があれば、その事を書いてやろうと思っていたんです。
本来ならば、『賣身契(Mr.Boo!インベーダー作戦)』は、映画界で起きた話ですが、
私はTV業界の方が詳しいので、結果変更したんです。」

  何年も経ってから、『明報周刊』の取材を承諾した王羽は、
ショウ・ブラザーズ中文秘書課に二度潜入した事を率直に認めている。
盗み出した契約書は全部で百人分以上になり、
後から太子道にある自宅の屋上で、その全てを燃やしたと言う・・・・・・。
ショウ・ブラザーズは、契約書がいつの間にか無くなっている事については、
一言も言及することはなかった。利口な事に、“昇給”を理由に、
全ての役者に再度新たに契約を結ばせたのである。

  『賣身契(Mr.Boo!インベーダー作戦)』の興行総収入は、香港で800万ドルに迫った。
『半斤八両』の記録(850万超)を破る事はできなかったものの、めでたい事に、
台湾では、5千万台湾元と言う好成績を収めた。これは、マイケルが鋭意研鑚した結果、
どこにでも通用するアクションコメディの方程式がイケる!という事を証明したのだ。

「理論上は、ですけどね!
でもそれを実行するのは容易ではないんですよ。
ストーリーにも合わせないといけませんからね」


この時、目の前にはハリウッド進出のチャンスが幾つも転がっていた。
先ず一つには、文芸的戦争映画で、ピーター・オトゥール、三船敏郎との共演話だ。
何故またアメリカの映画会社の方からお声が掛かったのか聞いてみた所、
当時、マイケルはユーモラスにこう答えたのだった・・・

「恐らく、彼らは“欲張り”なんですよ。 
私のギャラは“高い”でしょう!」


実際の所、脚本に目を通したマイケルは、三人の出番が同じぐらいだった事と、
中国人を蔑むような役柄でもなかった事から、考えてみる気にはなったと言う。

  結果、マイケルが、予定通りこの文芸戦争作品の撮影のために、
アメリカ、そして日本に飛ぶことはなかった。80年製作のジャッキー・チェン、
バート・レイノルズ、ファラ・フォーセット等と共演した、ゴールデン・ハーベストと海外の
合作映画、『炮彈飛車(キャノンボール)』を除いては。

「これは私の人生観ですが、
潜在意識と言うのは悲劇のようなものだと思うんです。
人は、どこから来たのか、またこの世に来て何をするのかも知らない。
将来はどこへ向かうのかなんて、もっと分からない。
このような状況下におかれる事は、とてもやるせない事です。
でも、そうなってしまったからには、どのような態度で人生と向き合えばいいか?
それは勿論エンジョイする事です!こんなに短い時間で、どれだけ笑えるかですよ!
これを大前提として考えると、非コメディに属する作品は何であろうと、
私は撮る気はありません。それは洋画だって例外ではないのです!」


初代金像奨影帝を受賞拒否
美人ヒロインとの初共演で記録破れず


  80年代に突入しても、許氏兄弟は依然として栄華を謳歌していた。
第一弾『摩登保鑣(新Mr.Boo!アヒルの警備保障)』は爆笑を誘い、物凄い勢いで
興行収入1700万を叩き出し、再び新記録を樹立、旧正月の目玉作品となった。

80年代は、確かそれまでと比べると穏やかではなく、
一日中強盗事件のニュースを耳にし、街中の至る所では
警備車両を見かけるようになりました。
この世はどんどん危険になっていくような気がして、
我々を守るべき人間はいったい誰なんだろう?って。
現金輸送車に座り、手には銃を構え、この危険な世の中から守ってくれる
許冠傑の姿を想像してみて下さい。こうして生まれたのが、
『摩登保鑣(新Mr.Boo!アヒルの警備保障)』です。」


  富も名誉も両方手にしたこの作品で、マイケルは初代香港電影金像奨
(香港版アカデミー)の最優秀主演男優賞を獲得した。しかし、彼自身は
授賞式に出席することはなく、代わりに弟の許冠英が賞を受け取ることに。

「私はずっとあらゆる賞に対して・・・
例えそれがオスカーであっても、認めていませんでした。
芸術家と言うのは、競い合うべきではないと思っていたのです。
5
3なら53だと言う球技とは違うのですから、
何を以って私が周潤發に勝っていると言うんです? 
そうじゃない、ちょっとしたお遊びじゃないかと言う人もいますがね。
あなたには、4人の大統領をそこに立たせて、“最優秀大統領は・・・オバマ!”
なんて言える度胸があるんですか?
負けてしまった三人は、その場を気まずい感じで退散するのですか? 
いや、それはダメだと言うんでしょう!尊重しない事になるからと。
え?じゃあ大統領は尊重するのに、私のような芸能人には尊重なんて必要ないと?
これだって、私にとっては一生の仕事で、とても真剣な事なんですよ。
誰が遊びでやるもんですか?」


  時代が変われば風俗も変わるもの。彼の考え方にも少し変化が現れたようだ。

「金像奨は間違いなく映画事業を推進していると言えます。
もし、金像奨でさえも相手にしないようになれば、恐らく皆、
映画と言う業界さえも益々軽視するようになるでしょうから。
もし、それを宣伝の道具として見るならば、私は考えを改め支持しますよ!」


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VDONext『紅場』 高志森×許冠文A【動画】

2012.01.29 Sun

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※画像:『紅場 VDONext』より

許冠文先生にインタビューした番組制作者側の一言。
「マイケルって、こんなにも辛抱強くて、
こんなにも礼儀正しい方だとは知らなかった!
60708090歳になった時には見習いたいわ」


あの頃、私はTVBで・・・

高:テレビ局の仕事については、別の見方をすれば、
以前の方が大変だったと言えます。
私がテレビ局にいた頃は、何日も家に帰らない日がありましたから。
役者だって、スタジオに入ったら、毎日毎日昼夜兼行で撮影が行われるんです。
それも、疲れきって地面に倒れるまでですよ!
それで漸く家に帰って休む事ができるんですが、
こうして頑張って来たからこそ、我々は成就する事が出来たんです。
周潤發、張國榮、劉徳華と言った役者が、梁朝偉もそうです。
皆、倒れるまで撮影を続けたものです。

許:私がTVBにいた三年間は、一度だってクリスマスを祝った事もなければ、
正月も過ごした事もありませんでしたね。休みがなかったのは、
そう言う特別な日に、『歡樂今宵』と言う番組をお届けしなければならないので。
だからその三年間は、元旦も、大晦日も祝った事がないんです。
バレンタインデーなんてあるわけがない!番組はこう言う風にして生まれたんです。
その代わり、以前のテレビ局の現場は、単純でしたけどね。
皆、心を一つにして作業をしたものです。
「キミは頭がいいから、これをやってみたらどうか!」とか、
「分からないなら、ちょっと待ってて!悪いわね!」とか、
「分からなかったら、分かる事をすればいいから」
と言う風に、とっても自由でしたね!
一方、今はとても“政治的”ですね。たとえ才能があったとしても、
誰かに就かなければ仕事にありつけない。
自ら進んで行動しないと、誰からも声を掛けて貰えない。
8年契約を結ばないなら仕事は来ない。
でも、もし売れて別の会社に移籍すると、誰かが痛い目に遭う・・・


あの頃の正月映画は面白かった

許:私が過去に撮影した映画は、殆どが正月映画ではないんですよね!
正月映画だったような印象があるかもしれませんが、
『鬼馬雙星(Mr.Boo!ギャンブル大将)』は9月公開でしたし、
『半斤八兩(Mr.Boo!ミスター・ブー)』は、8月の終わりでなければ、
どこかの終わりでしたし、『摩登保鑣(新Mr.Boo!アヒルの警備保障)』になると、
まさにお正月でしたね。でもそれ一回キリだったと思います!

高:実を言うと、私にとって強く印象に残っているのは、間違いなく、
『富貴逼人(It's a Mad Mad Mad World)』シリーズの第一弾なんです。
あの脚本は、新藝城(シネマシティ)にいた頃、2年間説得しましたが、
そんな庶民的で地味な映画は誰も見ない、今観客が求めているのは、
林青霞(ブリジット・リン)や、林子祥(ジョージ・ラム)なんだ!
美男美女揃いで、衣装も風景も美しい映画なんだと
否定され続けた思い出でありますから。
それで私は、コ寶電影公司(D&Bフィルム)に話を持ちかけた所、
会長の潘迪生(ディクソン・ プーン)は文句一つ言わず、
「このストーリーはとても興味深い!
もっとおバカな映画だって撮るヤツがいるんだから、撮ってみなさい!」
と言ってくれたんです。
そんな『富貴逼人』は、新藝城(シネマシティ)の超大作『衛斯理傳奇
(飛竜伝説 オメガクエスト)』と上映が重なることに。
それは役者から衣装、ロケ地まで、「わ〜」まさに何もかもが美しい映画でしたね。
でも、興行成績は、大差をつけて『富貴逼人』が『衛斯理傳奇』に勝ったんですよ!

許:以前は、映画を見終わらないと、新年のあいさつに出かけなかったものです。
今では、映画の途中でも時間が来たら・・・。本当に見るに及ばないんですよ。
つまり一言で言うなら、「ツマラナイ!」って事です。
面白い映画なら、どんな状況でも最後まで見たいと思いますからね。
例えば、新年の映画を幾つか上げるなら、
『葉問(イップ・マン)』とか、『無間道(インファナル・アフェア)』とか・・・。
これらの映画は、必ず最後まで見るハズです。
「新年を迎えたかどうかなんて関係ない、とりあえず最後まで見てからにしましょう!」って。
また、香港の観客は不思議なものです。
今年はこれを見ようとか、あれを見ようとか、決まった映画がない限り香港人は、
ある“二つの地域”の映画は観るもんかと宣言した事があるのに。
一つは、台湾映画、もう一つは、インド映画。特にインド映画にとってはオメデタイですよね。
今年の興行成績は、インド映画と台湾映画が記録を更新しましたから(1)。
高:ンフフ(笑)
許:それだけ香港人は頭がよくなったんですよ。
その映画が良い作品かどうかには、気をとめなくなるほどね!
ただ面白ければそれでいいんですよ!

1.インド映画『3 IDIOTS』は、2000万香港ドルに近づく勢いを見せ、初の快挙達成。
また、台湾の青春映画 『あの頃、君を追いかけた』に至っては、
華語電影の中でこれまでトップを守っていた、シンチーの『カンフーハッスル』を抜き、
香港映画歴代興行収入トップに躍り出たと言う。


7人の女性に慰められて

許:環境を変えられないなら、自分の見方を変えればいい、
そうした方が楽しくなるハズ。
これは、私がスタンダップ・コメディの題材を探す時の方法なんです!
昨晩なんて、リモコンが壊れましてね、そのメーカーを探していた所、
あ、名前は公開しないでおきますよ!
そのメーカーのメンテナンス部門を見つけまして、
それがあるビルの18階に入っていると言うので、
実際に行って問い合わせてみる事にしたんです。
聞きたい事は一つなのですが。
リモコンのボタンを何度も押すものの、10回に1回しか反応しないんです。
それは「壊れていると言う事なのかな?」と言う問題です。
実際に中に入ってみると、まず番号札を取らないといけないんですね。
私の番号は200番で、その時はまだ150番でした・・・。
順番待ちしている方が随〜分と沢山いましたねぇ。
だいたい一人に掛かる時間は10分程度と言った所。
私の問題は、たった一つだけなんです!
「私は、あなたの所の製品を買ったのですが、これは壊れているのか?」と。
それだけのために、4時間も待たなければならんのです!
その間、誰も相手にしてくれません。
売り場ではね、10数人もの店員がお客を囲んで、
「はいはい、こっちへどうぞ〜!」と一生懸命なのに、
メンテナンスになると、“・・・。”」
基本的に、このような世界では、どうしたら楽しさを見出す事ができるのでしょう?
高:んフフ(笑)
許:7脚ののデスクに、7名の女性がいます。
皆、社員ですが、7人ともとってもキレイなんです!
私は、一人一人鑑賞することにしました。
一人一人また違ったタイプでね、どの女性もとってもキレイなんです!
ずっと見ていましたら、時間もあっと言う間に過ぎて30分が経ちました。
恐らくあれは、観賞用としてキレイな女性を置いているのでしょうな。
あんなにきれいな女性社員を揃えられる会社は、大したものですよ。
リモコンではなくて!ハハハ! ・・・。(苦笑)

(日訳:管理人 Baakkei

動画
はこちら@A

VDONext “紅場” 高志森×許冠文@

つい先日、許冠文先生と高志森先生が二人揃って、
VDONextV壹網)』の芸能・文化番組、
“紅場”のインタビューを受けました。

チャリティー・トークショーの宣伝から、
テレビ局時代のエピソード、そして最近の自身の出来事や
時事ネタをマイケル節で風刺したジョークまで、
盛り沢山の内容です!

◆『紅場』 VDONextV壹網)
ゲスト:許冠文(マイケルホイ)、高志森(クリフトン・コウ)
収録日:2012年119
放送日:2012年1月
23日(春節)

以下、訳文になります。



■許冠文(マイケル・ホイ)
1942年、広東省番禺生まれ。香港中文大学卒業。
68年に香港初の地上波テレビ局 『無線電視(TVB)』に入社、
『歡樂今宵』等のテレビ番組の司会を務める。
1970年代からは映画界にも進出し、監督、俳優、脚本を手がけるようになる。
お得意のジャンルは、コメディ映画。
71年、実弟許冠傑と共にバラエティ番組『雙星報喜』のホストを務め、
72年、映画デビュー作となる『大軍閥』で主役を務め大ヒット!
400万香港ドルに及ぶ興行収入を記録。以降、
「冷面笑匠(笑わないコメディアン)」と呼ばれるようになる。
その後も、誰しもに親しまれる映画を数多く世に送り出し、
1回香港電影金像奨で『最優秀主演男優賞』を獲得。
また、香港演藝人協會(香港芸能人協会)の終身名誉会長でもある。

■高志森(クリフトン・コウ)
1958年生まれの廣東中山人
17歳の時に『麗的電視(aTV亞洲電視の前身)』に入社、脚本を担当。
嘗て、『鱷魚(クロコダイル・ティアーズ)』、『變色龍』といった
テレビドラマの脚本に関わり、26歳の若さで映画監督を務める。
皆の良く知る作品は、『開心鬼(ハッピー・キョンシー)』、『富貴逼人』等。
90年代からは、舞台に進出。名作『南海十三郎』や『我和春天有個約會』は、
彼が手がけた作品である。また、舞台劇がキッカケで、現在の彼女“焦媛”と知り合う。


スタンダップ・コメディで自殺防止?

高:私は映画制作で何作品か許冠文とご一緒した事がありますが、
彼は、昔からずっと私のアイドルであり、先生でもあり、
彼から沢山の事を学ばせて頂いているんです。
マイケルのスタンダップ・コメディですが、彼独特のスタイルがあります。
それは、彼がやっているのは、最も伝統的なスタイルだからです。
本当に何の小道具も使わず、一人マイク片手に、2時間話し続けるんです。
こういうスタイルは、とても魅力的で、それをやられているマイケルの姿からは、
特に惹かれるものを感じるんです。
それで、一緒に舞台をやってみないかと彼に声を掛けたんですよ。

許:誘って頂いて、私も大変光栄に思っていますよ。
最初、「生命熱線」のために、我々にも何か協力することはできないだろうか?」
と彼に聞かれたんです。「生命熱線」とは何だ?と私が訊ねると、
香港には、“いのちのホットライン”と言うボランティア団体があり、
電話一本で、自殺を考えている人からの電話を受け、話を聞くことで、
自殺を防ぐ事ができると言う仕組みらしいのです。
「そんなにスゴイ仕事があるのかぁ!」と私も見学に行ってみた所、大変感動しましてね。
「そうなのよ!少しは気分が楽になりましたか?」と言うふうに、
皆さん電話に耳を傾けているのですが、
何が素晴らしいって、全員ボランティアの方たちなんですよ!
「電話だけで必ず救い出す事ができるんですか?」と聞くと、
「出来る限りの事をしています。少しでも多く話を聞いてあげる事ですね」
なんでも話を聞いてあげる事で、90%自殺を防ぐ事ができるそうです。
つまり、人が自ら命を立つ原因は、話を聞いて貰えない事なんですよ!
「どうして身内に相談しないんですか?」
「身内には相談できませんよ。身内は逆効果なんです。
余計に心配しますからね」
「じゃあ、友達に相談したらいいのでは?」
「友達に話すとメンツに関わりますからね。
こういう事は、絶対に赤の他人に打ち明ける事が重要なんです」
と言うんです。興味深い話ですよ。
だから今回のショーは、私も、とても気分がいいんです。

 カッコつけて座礁なんてアリエナイ!

許:皆に聞かれるんですよ。
「こんなに長い間どうして映画を撮らないんだ」と。
理由は、簡単なことなんです。私が映画を撮る目的は、
この世界のデタラメな一面をスクリーンに映して、
多くの人に笑いを届けたいからです!
ただ、昨今の現実を見ていて、私はある事に気づいたんです。
新聞をめくって目にする記事が、私の脚本よりもデタラメな事に!(笑)
高:ハハハ!
許:私の書く脚本だってそれなりにデタラメでスゴイんですけどね!
我々香港人は、憤りを感じているはずです。
例えば、D&Gが写真撮影を阻止した事件(1)。ホントにヒドイ話ですよ。
適当に記事を一つ取り上げてみた所で、どれも嫌になっちゃいますね。
でも、こんな時こそ、笑いの要素が必要だと思うんです。
また私なんて、こう言う事件をジョークにして、
ステージの上で披露するのが大好きですしね!ハハハハ
腹が立っているからこそなんです!
だから、笑いが必要なんです。こんな時こそ特に。

1:香港D&G事件をご存知ない方は、こちらをご覧下さい。

高:こういうアリエナイ事件が起きた時に脚本を考えると、
アリエナイ事が浮かんだりしますけどね。ハハハ
許:特にコメディは!
あの事件だってそうですよ!どうすればあんなに大きな豪華客船(※2)が・・・。
船長が「は〜い!」なんて手を振って挨拶なんてしたがために、
バ〜ン!って・・・。
もし私がこんな映画を撮ったら、誰も信じないでしょうね。
それどころか、アホか!って言われるでしょうね。クレイジーだって!(笑)
高:こんな事まで思いつくのか!ってね。
許:豪華客船が岸に近づき、ヒーローのように「は〜い!」と挨拶したら、
美女がキャ〜・・・なんて、バカですねぇ。でも、この世はまさにこうなんですよ!
だからコメディ映画を撮るのは難しいんです!
現実に起こる事が、あまりにも行き過ぎていますからね。
私の脚本より、行き過ぎているんですもの!

2:イタリアで起きた、例のコスタ・コンコルディア号の事故


二者択一で即答せよ!

■Q: “舞台” or “映画”
高:舞台
許:映画

■Q.: “林海峰” or “子華”
許:黄子華
高:黄子華 

■Q.: “利舞台” or “香港コロシアム”
高:利舞台
許:利舞台

■Q.: “マクドナルド” or “茶餐廳”
許:茶餐廳!
高:茶餐廳

■Q.: “TVB(無線電視)” or ATV(亜洲電視)”
高:ATV(笑)
許:ATV

■Q.: “台湾or “大陸”
高:台湾
許:大陸

■Q.: “周星馳” or “孟達
高:呉孟達!
許:周星馳

■Q.: “監督” or “脚本”
高:監督
許:脚本

■Q.: “クリストファー・パッテン” or “曽蔭権”
高:クリストファー・パッテン
許:クリストファー・パッテン

■Q.: “半斤八兩(Mr.Boo!)” or “家有喜事”
高:許:家有喜事!!
高:アハハハハ!
許:(笑)


今の若者は首を吊るのを待っているようなもの

高:私が思うに、70年代であれ、80年代であれ、
とにかく90年代初頭までは、
香港人は皆、生きる希望を持っていたように思います!

許:たとえ今若者が起業しようと試みた所で、それは無理な話です。
香港は今、本当に深刻な問題を抱えています。
どのぐらい深刻かと言うと、若者を叱ったりなんてとても出来ないほどです。
我々が若い頃は、魚蛋(魚のつみれボール)を売って商売をするなら、
出来る限り見栄えをキレイにすれば、店が大きくなり、店舗数が増え、
ついには、30年後には魚蛋大王になる事だってできたんですよ。
ところが、今はそう言うわけにはいきません!
場所を借りて魚蛋で商売をする場合、せっかく苦労して客を増やしても、
明日にはまた賃料が値上がりし、その次の日にはまた値上がり・・と言う風に、
(商売が繁盛するに従って)毎回なんとか死なない程度まで、
賃料が吊り上げられるんですからね!

高:私も同感です!例えば、茶餐廳(香港式カフェレストラン)で、
一杯40香港ドルの飯を食べたとします。しかし、40香港ドルの内、
2030香港ドルは賃料なんですよ!

許:40香港ドルの飯なら、そうですね!
私も30香港ドルは、賃料のせいだと思いますよ!
高:ですよね!
許:これでどうやってやって行けと言うんでしょう
高:やって行けるワケがない
許:仮にもし店長が、精一杯妥協して安くマケてあげるよと言えば、
知ってますよ、最後は自殺の道を選ぶことになるんです。
そりゃ仕方ないですよ。何もかもが高くてやって行けないんですから!
死ぬまで賃料に苦しめられるんです。
だから、今の若者がなぜこんなにも憤慨しているのかと言うと、
頑張っても意味がないからですよ!・・・。

(日訳:管理人 Baakkei

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高志森微博 第一回ゲスト:許冠文A

2012.01.22 Sun


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高:構想を練る上ではどうですか?映画の脚本を書く時は起承転結がありますし、
キャラクターの性格の衝突もあるでしょう。でも、スタンダップ・コメディはそうではない。
それは、あなたをそのものであって、あなたの見解を述べるわけですからね。

許:映画の方が難しいですね。映画の脚本は、その構造自体がずっと複雑ですからね!
物語の内容だけでなく、起承転結にも注意を払わなければならない。
またそれでいて、そう簡単には予測できない展開でなければならない!
高:予想外のね!
許:予想外の展開を考える他に、登場する多くの人物のキャラクターについても、
その性格が突出していなければなりませんからね。一方今の私は、
自分にだけ注意を払えばいいので、何を言ってもいいわけです。
見て感じた事を、そのまま言えばよいので、アレコレ配慮する必要もない。
だから全然違いますよね。


高:以前、あなたが香港コロシアムでショーをした時、
私の印象に深く残っているのが、あなたの最後の結論です。
それは奥様との付き合い方に関する事で・・・
許:はい
高:行きつく所まで行ったら、相手の過失を深くとがめずに大目に見てやり、
過ぎ去った事はもう追求しない。これはある程度、
男女関係に対するあなたなりの一つの総括なのですか?
許:スタンダップ・コメディのショーは、とても長いですからね。
もし数分間程度のトークでしたら、Barで酒を飲みながら語り合うような内容で構いませんが、
二時間に渡るショーともなると、やはりそこに一つの総括が必要であるべきだと
私は思うんですよ。ただ、その総括と言うのは、その時その段階でと言う事です。
香港のお客さんんとは一〜二年ほどお無沙汰していますが、
今、スタンダップ・コメディを披露するとしたら、最後の総括と言うのは、ショー全体を含むので、
私のこの世界に対する今の見方がこうだと言う事であって、
おととしや昨年の見方とは異なるかもしれません!でも、今年、今の考えはこうなんです!
一方、男女関係についてですが、私の妻は、私が一生彼女を騙し続けているに違いないと、
よく文句を言うのですが、「そんなに言いなさんな!」と私は妻に言ってるんです。
時はあっと言う間に過ぎ去り、私ももう70になるだぞと。
しかも私はこの一生を掛けて君を騙し続けるんだから、君も満足だろう!と。
高:アハハ!
許:こうやって言うと、妻も何も言えなくなって・・・。
高:アハハ!
許:私は、これはとても道理に適っていると思うんですよ。
人は皆、完璧ではないわけでしょうが!
高:はい
許:一生を掛けて騙そうと言うんですよ!たとえあなたを騙していたとしても、
私にはこの一生しかありませんから、それを使ってあなたを騙そうと言うんですよ。
高:反論の余地はありませんね
許:将来、私はこの方面についてのスタンダップ・コメディをやりたいんです。
テーマは、この方面に関するもので、つまり、男女関係と言うのは、実にデリケートな問題です。
永遠に矛盾し合っても、永遠に争いが耐えなくても、それでも最後は皆こう思うんです。
こんなにも長い年月が過ぎたんだから、
例え君を騙したとしても、逆に騙していなかったとしても、
或いは、ほんのちょっぴり騙した事があったとしても、全てが嘘だったとしても、
一生を掛けて騙し続けるんだから。それに、他の人ではなく、どうして君だけを騙すのか、
それがどういう意味だと思う?私が思うに、それは君が好きだからに決まってるだろう!
それなのに、まだあれこれ考える必要があるだろうかって。
この観点を以って考えてみると、夫婦であろうが、恋人であろうが、
ある程度の時間を共にした仲なら、お互いに気に入るモノがあるハズでしょう!
お互いに気に入る部分がある、縁と言うのは玄妙なものですよ!
それが分かれば、それ以上のものなんてないと思えるはずです。
これこそが、私の婚姻、愛情に対する哲学なんですよ。
トークショーの方向性も、この哲学を基にしたものです。

高:男女にまつわる話が殆どですか?
許:唐英年もそうだったように!唐英年が公開の場で過ちを認めた時、
彼の奥様は微笑みながら、彼を許したそうです。
こう言う夫婦間の情けは深いですね。完璧な人なんていないのですから、
どうして完璧な人を求めようとするのですか!
高:だから彼のあだ名は、『缺失男(欠点男?)』と言うんですよ!
許:ア〜ハハハハ!
高:彼には失敗がありますからね
許:(笑)


高:若い人の中には、自分の恋愛の体験談を公の場で分かち合いたい
と思う者が多いですが、でも、マイケルぐらいのレベルに達した者が愛について語ってこそ、
刺激があると言うか、議論の価値があると思うんですよね!
許:(笑)
高:経験の数が違いますからね。それに、私が思うに、マイケルの面白い所は、
あなたが出演する哲学的な談話や、インタビュー番組、或いは、
友達と集まって話をする時、あなたは一言目にはいつも奥様の話を持ち出しますよね。
許:ハハハハハ!

高:どうしてそれほどまでに奥様の話をするのが好きなのですか?
後で奥様に恨まれたりしないのですか?
許:ありましたよ!
高:え?じゃあ怒られたんですか?
許:最初の頃は、妻の事をネタにしないでくれと言われましたね。
私の母にしてもそうです。それも時間が経つと、私がなぜ彼女の事をネタにするのか
理解してくれましたが。私がネタにするのは、だいたいキマっているんですよ。
他人の事を持ち出したりはしません。たいてい、妻か、許冠英か、
時には、娘の事を持ち出す事だってありますよ。少ないですが。
でも、他人をネタにしたりはしません!

高:OK!では、そのコダワリとはいったい・・・
許:それは、私の話には、皮肉が多いからですよ!
でもそれは、その人一人の事を指しているのではなく、
実は、多くの人がそうなんだと言う事なんです。
iPhoneを持つ事で得意気になる人が沢山いますが、
iPhoneだって、単なる携帯に過ぎないんですよね。
それなのに、iPhoneを取り出す度に見せびらかしたり、
そのためには、夜中に並ぶのも価値があると思う人が沢山いる。
高:アハハハ!
許:我々は皆誰しもそう言う所があるんですよ。ただ、私の場合は、
許冠英がiPhoneを買った後、それを機に彼を代表としてネタにしたワケで!(笑)
私の妻が購入すると、使わない時はテーブルの上に置いておくだけなのですが、
特にホワイトのiPhoneだと、コップの隣に置いてあるとよく映えるんですよね。(笑)
だからホワイトのiPhoneじゃないと恥ずかしくて電話を掛けられなかったりとか。
実は、多くの人がそうだったりするんですよ。
でも、他の人の事をネタにすると、彼らから反感を買うでしょう。
文句を言われるのは恐いので、必ず身内の事しかネタにしないようにしているんです。
妻ならひどく責められる心配はないですからね!
高:まだ家の中で告発された方がマシだと!(笑)
許:以前は、許冠英のことをよくネタにしてからかったりしたものですが、
実は、必ずしも許冠英の事を言っているわけではないんですよ。
彼は、普通の人を代表しているだけで。それに許冠英だったら、
ネタにされても怒ったりしませんからね。単なるジョークに過ぎないって知ってますから。
だから、この話になると・・・・・・許冠英はもういませんから、とてもツライんですよ。
今後は一緒に舞台に立てないだけでなく、皮肉を言える相手が一人減ったわけですからね!
ハハハ!
高:(笑)ちょいと拝借できる相手が一人減ったわけですね!
許:そう拝借!(笑)

高:娘さんは?娘さんをネタにするのは、またどうしてですか?
許:彼女の年齢ですよ!もし男性だったら許冠英を用いますし、
年配の女性だったら妻を使い、もし若い女性が必要だったら、私の娘を使うんですよ!
高:イマドキの香港女性の代表ってわけですね!
許:そうです!イマドキの!もし少し若い男性が必要ならば、アナタを使いますよ!アハハ(笑)
高:・・OK!いいですよ!私は構いませんから!(笑)

許:これは私だけではありませんよ。
全世界のスタンダップ・コメディのパフォーマーたちは皆、
普通こう言う手法を使っているんですよ。第一人称の発言の方が真実味がありますし、
また、ネタにする相手の名前を言わないと生き生きしませんし。
「私の代わりにご飯を用意してくれる人が作った料理は、とてもショッパイんですよ!」
と言う風に言ったとしても、説得力に欠けるでしょう!
それを、「私の妻が作る料理はショッパイんですよ」と言ったとしたら、
高:あぁ〜!
許:妻の名前を出しただけで、説得力が違うでしょう!


高:スタンダップ・コメディには、何種類かのスタイルがあるそうですが、
あなたが尊重しているのは、中でもある意味一番純粋な、
最もシンプルなスタイルみたいですね!つまり、変わった事をしない、
ただ立ったまま話すだけだから、トークの内容とパフォーマンスの腕に掛かってくる。
ひいては、大掛かりなセットがあるわけでもなく、それでいて万人が入る大きな会場は好まず、
二千人ぐらいのコジンマリとした所が好きときた。
今後も、あなたののスタンダップ・コメディは、このスタイルで進化させていくつもりですか?

許:まず、私はこれまでに自分のスタイルを変えた事はありません。
なぜなら、私が一番尊重しているのが一番伝統的なスタイルだからです。
スタンダップ・コメディの意味は、一人で登場し・・・
高:何の小道具も使わず
許:スタンダップ・コメディとは何か!それは、こうしてずっと立ちっぱなしで、
衣装を変えるわけでもなければ、小道具も持たず、
要するに、マイク一つで立ったまま笑いが取れることです。
私は、この伝統的なスタイルが好きなんですよ。
それだけ難易度は高くなりますが、真実味がありますし。
私のように、物事を観察してから自分の意見を伝えると言うタイプには、
メイクする必要もありませんしね。自分が見た事を話すだけですから。
例えば、私の妻が携帯を手に取ろうとする時によく見かける光景なのですが、
バッグの中に入っている携帯を取ろうとしても、なかなか見つからないんですよ。
なぜなら、女性のバッグは、大き過ぎて全く“理屈”にに合ってませんからね。
高:(笑)
許:何度もバッグをひっくり返しては探してみるものの、何分経っても見つかりやしない。
また、やっと見つかった時には着信が切れてしまい、相手に文句を言ったりね。
「こんなに早く切っちゃうなんて!」って。
「何を言ってるんだ、三分も探していたのは誰だ!」って私は言うんですけどね。
高:アハハハハ!
許:全てが私がこの目で見た事なんです。女装して話す必要なんてないでしょう!
私は、黄子華のスタイルと少し似ている部分があるのですが、嬉しいですね。
香港にも沢山のスタンダップ・コメディの達人が出てきたわけですから。
ただ皆それぞれスタイルが違うだけで。例えば、林海峰は唱を歌うのが好きで、
宙返りして見せたり、スタイルがいいですからね。かと思えば、
張達明(チョン・ダッミン)の場合は、一人芝居が好きだったり。
高:そうそう!
許:ちょっとした小舞台なのですが。
高:私は彼の舞台をプロデュースをしたことがありますから
許:一人芝居にしても、身体を張ったクンフーであったり、ダンスであったり、
私は何だっていいと思うんです。マジックだっていいんですよ。
別に純粋なトークだけでのスタイルでなくてもです!

高:きっと皆さんも期待していると思いますが、映画の次回作だけでなく、
許冠文の今後のスタンダップコメディにも引き続き注目しましょう!

(日訳:管理人
Baakkei

※動画はこちら⇒ @A (firefoxでは視聴できないかも!
youtubeにも一部だけ?アップされています!

高志森微博 第一回ゲスト:許冠文@

◆高志森微博(第一集)
第一部ゲスト:許冠文(マイケル・ホイ
案内役:高志森(クリフトン・コウ)
収録日:20111222
放送日:2012年 1月 1

1時間の番組ですが、

許冠文先生が出演したのは最初のコーナーで

時間にすると正味15分と言った所。

とは言え、質問を受けるなり

間髪を容れず早口で喋りたおすマイケル。

時間の割りに濃い内容に感じました。(笑)


トークの話題は終始、スタンダップ・コメディの話!

マイケルが考えるスタンダップ・コメディの定義について、
貴重なエピソードを交えながら詳しく解説。

以前こちらで紹介した新聞記事によると、
『雞同鴨講』と『合家歡』制作中のエピソードを
高志森が語ってくれるとの事でしたが、今回の放送では、
それには触れられていませんでした。


以下は、許冠文
vs高志森の対談を
日本語に訳したものです。



高:本日の“芸術鑑賞ガイド”のコーナーには、嬉しいことに
嘗て私も何本か映画でご一緒させて頂き、共に映画制作にあたった
許冠文(マイケル・ホイ)先生が来てくれました!
この業界において、許先生と言えばかなりの大御所になりますが、
今日どうしてマイケルをお呼びしたのかと言うと・・・

マイケル!私はこれまでに何作品か映画であなたとご一緒した事があるので
存じているのですが、アナタの趣味嗜好と言うと、
不思議な事にこれがまた“笑い”と関係があるんですよね。
ただ、あなたはスタンダップ・コメディをやられています。
それもあなたは、スタンダップ・コメディが大好きときた!
なぜスタンダップ・コメディに対してそれほどまでに特別な想いを抱いているのです?

許:なぜスタンダップ・コメディが好きか、それは私が小さい頃からずっと
話をする事が大好きだからですよ。その後映画を撮ることになり、
映画では主に脚本、監督、役者を手がけました。ただ、脚本、監督、役者をやっても、
話をする機会はさほどないでしょう。特に演技に関しては。
演技に求められるのは、表情じゃないですか!私は話をする事が好きですから!
それがある時、偶々アメリカでスタンダップ・コメディのパフォーマンスを目にしたんです。
何かと思ったら、なんと映画館で高いお金を取って、映画のチケットよりも高いんですよ!
2時間ジョークをすると言うではないですか。それで私は聞いてみたんです。
「もし私が笑わなかったとしたら、どうなるんです?お金返して貰えます?」って。(笑)
すると、アメリカ人は言いました。「それはないね!あなたは絶対に笑いますから!」
「そんなの信じられますか!私が偶々機嫌が悪い時で、笑える気分じゃなかったら?」
「いいや、絶対に笑っちゃいますよ!」
そこまで言うのならと中に入ってみたんですよ。そしたら、本当にまぁ最初から最後まで
笑っちゃったわけですよ。でも、こんなのが毎晩も続いたら、そう上手くはいかないだろうと思い、
その翌晩、また同じ人物のショーを観に行ったんです。ところが、これが笑えるんですねぇ!
トークをするだけでも難しいのに、二時間客を笑いっぱなしにさせるなんて、
もう信じられませんでしたね。私はぜひそのコツを学んでみたくなったんです。
それで、本を買って読んでみたり、何人かの達人に就いて勉強したんです。
因みにそれはもう何十年も前の話です。
数十年前、皆さんが初めて私のトークしている姿を目にしたのは、
時々授賞式で二分間のトークを披露するぐらいのものだったと思います。
『雙星報喜(TVのバラエティ番組)』をやっていた時にも、
ちょっとしたトークショーを披露できないかと試みた事があるのですが、
滑稽な扮装をしたりせずに、今こうやって話す時みたいに普通に話すと言うのは、
とっても難しいんですよ。道具を使ってもいけない、何もないわけですから。
それでも何度も試していく内に、授賞式や、公の場、または募金を募るイベントだったりと、
パフォーマンスの時間も少しずつ延びていき、10分程度は話せるまでになったんです。
勿論、その時のトークはお遊び程度だったのですが。

高:初めて香港コロシアムの舞台に立ち、一万人の客を相手に
休むことなくトークを披露したのは、許冠傑のコンサートになるのですか?
それとも、それ以前に既に似たようなパフォーマンスをやった事があるとか?

許:実を言うと、それ以前にも大学ではよく・・・中文大学や香港大学など、
特に中文大学や、大きなパーティーなどでは、30分程度のトークは試した事があって、
手応えはまずまずでした!そしてとうとうある日、2005年、香港コロシアムで試したら
どうなるのだろう?私にデキるだろうかと思ったんです。
あんな規模の大きな所で成功したら、ついに私の夢が叶う事になるのではないかと!
“もし一万人以上の人の前で、自分の話すジョークで人を笑わす事ができて、
それも2時間笑いっぱなしにさせる事ができたなら、それは成功したも同然だろう!”
私は、自分自身に対してこのような条件を掲げたんです。ただ、この条件を思いついてから、
2005年のあの日を迎えるまでに何年も掛かったわけですが。
許冠傑が40回以上に渡るコンサートを香港コロシアムで行なっていた時、
私も毎晩会場にいました。舞台の上で実際にトークしてみると、“これならイケる”
と思ったんですよ。それでその日から本格的に試してみる事にしたんです。
勿論、その連夜のショーで、トークの楽しさを味う事もできました。
また幾つかの理論に気づいたのです。
その一つは、キモチさえあれば、人を感動させる事ができる。
10人相手にするのも、一万人も変わらないんだと。
問題は、環境によって感動が少し違ってくると言う事です。
例えば、一万人を相手にする時は、確かな手応えを掴み難いんですよね。
客席が遠いわけですから。あんなに高い所から見下ろした場合、私なんて蟻みたいで
よく見えないでしょうしね。だから、これは私が常に考えている事なのですが、もし将来、
収容人数が1万人に及ばないぐらいの、それが実際に何人ぐらいになるのかは知りませんが、
私は舞台の事は詳しくないですから。ただ、一番遠い客席までまぁまぁ確認できる程度で、
「どうですか?もしもし、聞こえます?あなたの意見はどうです?あなたは?」と言うように、
観客とインタラクティブにやりとりができるような環境があれば最高だな、と思うんです!

高:それでしたら、恐らく劇場タイプになりますね!
許:そうそう!劇場タイプ!
高:二千人以内でしょうね
許:でも、毎回二千人以内となると、スポンサーの多くがいい顔しませんからね
高:お話にならないってね
許:彼らは、そんな少ないチケット数じゃ、利益が少なすぎる。
多くの人の生活が掛かっているんですから!と言うんですよね。
だから毎回香港コロシアムでやってくれると最高だと。
でも、香港コロシアムでのショーは、私にとっては理想ではないわけです。
だから、もし機会があればあなたと組むかして、
“文化館”でショーができないかなぁと思っていたんですよ。
高:文化センターですね!
許:だいたい2千人程度だったら、その場の雰囲気をコントロールしやすいんですよ。
たとえマイクを通さなくても、大声で話せばなんとか聞こえる程度の、
そして観客一人一人の表情が見える・・・近くからも遠くからでも。
こういう環境で出来るなら一番理想ですね。
高:元々生ライブで一番の理想は、観客とインタラクティブなやりとりができる事ですからね。
舞台の上で何かパフォーマンスをすれば、舞台下の観客が沸くと言うような。
もしくは、観客に問題提起してみたり、会話のキャッチボールができるような。
ただ、体育館のように距離があると、それは難しいですからね。

許:あの夜、トークショーが始まって私の身に何が起きたのかお話しますね。
観客からは、私の様子はとても自然に見えたかもしれませんが、
実際、私から観客席は見えていないんですよ。
四方に身体の向きを変え、ずっと回転している時なんて、
照明が太陽のようにまぶしくて、目の前が真っ白なんですよ!
つまり私は、二時間以上も“真っ白のモノ”に向かって話をしていたんです。
高:ハハハハハ!
許:時に大きな喚声が聞こえ、会場中が「ワ〜」となった時は、
その“声”に向かって話をすると言う感じなんです。
でも、その時も目の前はやっぱり銀色で、何の反応もないんです。
高:四方八方から照明を照らされていると言う状況ですね!
許:香港コロシアムは、トークショーをするのには、あまりよい環境ではないんです。


高:
これまでずっと映画の中では役があり、あなたはその役を演じてきたわけですが、
スタンダップ・コメディのあなたは、あなた自身になりますよね。
では、ネタの内容もあなた自身が考えるのですか?
許:そうです
高:それは、許冠文を表しているのですか?
許:そうです
高:では、どのようにしてこの二つの立場を使い分けているのですか?
役作りをする時と、あなた自身を演じる時とでは、何が違うのでしょう?
許:それは全て私個人の見方です。実は、スタンダップ・コメディと言うのは、
私のこの世界に対する考え方なんですよ。皆世界観はそれぞれ異なるでしょう。
と言っても、皆さんもご覧になられたように、衛生局長周一嶽の歌に関しては・・・(笑)
高:ハハハハ!
許:それでも、皆それぞれ物事に対する感じ方は異なるわけですから、
ま、今回ばかりは皆さん同じ意見だと思いますが、アハハ(笑)
高:それでも中には好きな人もいれば(笑)、あまり好きでない人もいる。
許:だから私は、誰かが既に取り上げた話題であっても、
それを再び自分のネタとして扱うことに抵抗はありません。気にする事ないですからね。
だって、私の視点で語るわけですから。分かります?
或いは、あなたは彼が音痴だと思っているかもしれませんが、
私は、彼が音痴だからイイと思うかもしれませんしね。

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高志森微博@2011/12/22
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