許冠文、網易娛樂のインタビューを受ける【動画】

2011.07.17 Sun

7月17日に広州で開かれた記者会見の場で、
許冠文ことマイケル・ホイ氏は、網易娛樂のインタビューに
普通話(北京語)で答えた。

その時の動画はこちら。



マイケルが話す香港なまりの北京語が、とっても可愛い♪

『Paco的風花歳月』 ゲスト:許冠文 C

2011.06.11 Sat

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動画:
TV00:37:25〜)

看當下 いまを笑って見る

黄:
さて、ここからは、マイケル!あなたのコメディアンとしての本領を発揮して頂きたい
と思います。“嬉ければ笑い、怒りたければ罵しる”と言うスタイルで、
あなたの視点から見た今の香港映画についてお聞かせ下さい。

許:
私は最近、今の映画が益々分からなくなってきましたよ。
ヒットする映画はどれも、何を言いたいのかが分からないんです。
これは香港映画に限ったことではなく、ヒットする映画ほど意味が分からないんです。
それでも何故か観客は、そういう映画を見るのが好きなんですねぇ。
例えば、昨年ヒットした作品の中に、『インセプション』と言うのがありましたよね。
見た人は皆、ヨカッタ!と言うのですが、私はあの映画の意味が分からなくてですね。
身近な人に聞いても、皆分かるって言うんですけど。
それで私は後から、ノーラン監督のインタビュー映像を見たんです。
彼は、こう解説していました。
「私は、あなたの思想を変えたい。そこであなたの夢の中に入り込み、
あなたの潜在意識を変えてしまうのです。私があなたの夢の中に侵入した事が
あなたに気付かれてしまったらどうするか。心配することはない!
その時は、第2階層の夢の中へと入り込めばいいのです。
それでも気付かれてしまったら・・・
黄:
アハハハハ!
許:心配はいりませんよ!その時は、第3階層、第4階層、第5階層・・・と
徐々に進んで行けばいい。あ、ダメだ!そうなれば、自分でも、
自分が今、夢の中にいるのかどうかさえ分からなくなってくる・・・。」

私は、やっぱり意味が理解できなかったので、他の人にも尋ねてみたんです。
皆、理解できると言うばかりで、「面白かったか?」と聞けば、面白いと答える。
つまり、今の映画は変わってしまったんだと私は思います。
もし映画を見て「分からない」と言えば、それは即ち自分がバカだと言う事になるんです。
だから、今の映画は、皆が理解し難いように作れば、或いは、
分かったようで分からないような作品を作れば、それで成功するんですよ。


黄:恐らくあなたも気に掛けていると思いますが、昨今の香港の音楽業界について、
あなたの考えを聞かせて頂けますか?我々にとって、この音楽業界と言うのは
とても大事なものですから。我々は、広東語ポップスを没落させたくない。そうですよね?

許:私が思うに、今の流行の歌には殆ど“情”がありませんね。
以前の歌にはどれも、情緒がありましたし。
最も重要なのは、“情”が込められている事だと思います。
以前なら、“♪心兩牽,萬里阻隔相思愛莫變・・・(※4
なんて、“深い情愛”を感じます。近頃の歌はどうです?例えば、
♪回頭望,伴你走,從來未曾幸福過(※5♪”とか、
“有感情就會一生一世嗎?還在惋惜有用嗎?(※6♪”
いやぁ・・・愛があっても一生涯一緒にはいられないとはねぇ・・・。
これらの歌には“情愛”ってものがないんです。忘れないで欲しいですね!
以前の歌は、“我々が年老いても”、“白髪になっても”・・・って
伴侶に向かって歌うと、どんなにロマンチックだったことか。
ツレに向かって、“心惹かれ合い〜♪”なんて歌ったらとてもいいですよね。
ところが、“振り返ってみれば、君と連れ添って来たけど、一度も幸せだった事はない”
なんて相手に向かって歌えますか?(笑) ケンカ売ってるのか?ってね!

4:心惹かれ合い、どんなに遠く離れても二人の愛は変わらない 『by雙星情歌』
5:振り返ってみれば、君と連れ添って来たけど、一度も幸せだった事はないby 好心分手』
6:愛があれば永遠なのか?いつまでも惜しみ嘆いて意味があるだろうか? 『by 囍帖街』


黄:将来、もっと多くの作詞家、音楽人たちが広東語ポップスをリードしてくれる事を
私も願っています。では続いては、今最も熱い“パパラッチ”、雑誌巻頭のスクープが
芸能界にもたらす影響について、ユーモラスに語ってみたいのですが。

許:これは実は、香港ならではの問題なんです。
香港人は皆、仕事が終わるとこぞってゴシップ誌を買って読むのが好きです。
仮に明日が世界の末日だとしても、彼らの妨げにはならない。そんな事よりも
先ずは今一番ホットで香港全土を賑わすショッキングな記事を読もうとするでしょう。
もし、こういった芸能ニュースがなかったら、香港人は退屈すぎて死んじゃうでしょうからね。
まるで人生の目標を失った人のように。たとえ明日が世界の末日であろうと、
この先世界大戦が起ころうとも、それが何の関係があるんだ?と言う具合にね。
彼らにとって、ゴシップ誌は、最も大事なモノなんです!
つまり、それらは、彼らの心の糧なんです。勿論、世界中どこもそうだと思いますよ。
でも、香港ほど乱れてはいないでしょう。香港はやりすぎです!
大手の主要な新聞でさえもがそのようなゴシップを扱うぐらいですから。
ゴシップは、どこの国にだってある。でも、流石に大手の新聞では見ないでしょう!

黄:あともう一つ!この場を借りて、ぜひとも言っておきたいんです。
私が、一人のマネージャーとして思うことなのですが、
若い人が異性の友達を作る事は、とっても正常なことですよね!
事実、芸能人はスキャンダルがあってこそ売れると言う証拠もありますし。
しかし、友達が一人や二人ちょっと多いだけで、新聞や雑誌はすぐに
遊び人だとか、不道徳だのなんのって書かれてしまう・・・。
許:重要な点は、それらの新聞や雑誌が、あなたについて重点的に書いているかどうか
って事です!もし、あなたにそのようなスキャンダルがなかったとしたら、
あなたの事を知ることもないでしょうからね。
黄:だから我々は、ゴシップを一種の宣伝目的と見なしている。
許:だから、褒められようが貶されようが、気にしないことです!これは皆にとって
必要な娯楽なんです。マジメ過ぎるニュースには、殆どの人が関心が無い。
これがつまり我々香港の特色なんです。またつまりそれは、
我々見る者が、どのような視点から見るかによって決まると言うことです。


黄:確か・・・スタンダップ・コメディの舞台でもあなたが触れていた事ですが。
現在の80年代・90年代生まれの人について、あなたの考えをお聞かせ下さい。

許:
今の80年代生まれの人たちは、我々の頃とは変わりましたね。
彼らは常に希望なんて何もないと思っている。自分には、金もなけりゃ、ルックスも悪い、
また父親には何のコネもないし。でも私の時は、まさにその反対でした。
我々のこの商売は、他の業界の事は分かりませんが、映画の世界に入りたいなら、
以前にも言った事がありますが、最も重要な条件が三つあるんです。
それは、貧乏であること、コネがないこと、顔が悪いことです。
先ず一つに、もしあなたが李澤楷(リチャード・リー、大富豪・李嘉誠の息子)だったら、
この業界に入ろうだなんて思わないはずです。欲しければ、高層ビルの好きな階が買えるし、
働きたいなんて思わないハズですし、また働こうと思わせる原動力がないですしね。
二つ目には、コネなんて絶対に無い方がいいんです!
コネがないからこそ、その世界に入るためになんとかしようとするからです。
以前私が頭を剃ってまで演じた『大軍閥』のようにです。
誰も私だと気付かなかったからよかったんです。或いは、ボスに三ヶ月の準備期間を
与えられたのに、一晩で完成させたことでボスを感動させる、とかね。
自分のためにチャンスを創り出すんです。これこそ人生の輝きでしょうが!
では、なぜこんな事をする必要があるのか?それは、バックアップがないからですよ!
もし、父親が李嘉誠(香港一の大富豪)だったら、
「わが息子を採用したまえ!」と、電話一本で事が済むわけでしょう。
でもそれでは、雇用側はあなたの事を構わないでしょうし、
あなたもまた自分を構わおうとしないハズです。
三つ目は、もしあなたが美男美女だったとしたら、これは益々ダメですよ。
美男美女は皆、自己中心的だからです。
でもそれは、ほんの一瞬の間に過ぎません。年を取れば、実力の無い者は見捨てられます。
つまり、以上三つの条件が備わっていなければ、絶えず進取する事もなければ、
自分が向上するにはどのようにすればよいか絶えず考える事をしなくなるからです。
この三つが、芸能界で成功する条件なんです。
ところが、今の香港の青少年は、大部分が以上の条件を満たしているにも関わらず、
彼ら自身はできないと言うんです。もしあの時、私の父にコネがあったら・・・
毎日ワインを飲んで過ごすんじゃないですか?ハハハ!
でもそれじゃあ、今の私はありませんからね!


黄:それからもう一つ提起しておきたい事があります。
今の80年代・90年代生まれの人は、コミュニケーション不足であると言う事です。
彼らは常に自分の部屋に篭り、インターネットをするばかりで、ネットの世界で、
友達と言葉を交わすのです。この状況は、我々にとってはとても受け入れ難い事ですよ。
家庭内のコミュニケーションが不足しているわけですからね。友達とも・・・。
それでいつもPCの前でキーボードを叩くだけ。これはちょっと改善しなければなりません!
今日、この場でこの問題を提起した事で、戒めとしたいですね。

許:これは、一つの尊重の問題です。若い人は、両親や友達をもう少し敬うべきです。
今は、外で食事をすると言っても、実は単に食事をするだけの
そんな簡単な事ではありませんよね!その他にも、言葉や目で会話をしたりなど。
そうじゃなければ、まるで他人と“相席”しているようものですから。
皆それぞれ自分の端末機の相手に忙しく、
食べ終わると勘定を済ませて解散・・・と言う具合にね。
黄:それに、地下鉄に乗る時もそうですよね!皆忙しく自分の携帯をイジって・・・
許:最近だと、友達を食事に誘う時、私が最も嫌いな言葉にこんなのがあります。
「明日の晩、食事に行かないか!またその時になったら連絡(Call)するから!」
なんて誠意がないんでしょう!この「またCallするよ」の意味はですね、
今から明日の晩の食事の時までの間、もし私よりもっと重要な人からの誘いがなかったら、
その時は一緒に食事に行きましょう!もし、私よりもっと重要な人からの誘いがあったら、
その時は一人で食べてよ!と言う事ですよ!こうなんですよ、今の時代は。
もしあなたが、心から誰かを食事に誘いたいと思うなら、
予め時間と場所を決めておくべきであり、変更してはならないのです。
相手を敬う気持ちがあれば、この世界はもっと美しいものになり、
人と人の間にもっと深い“情”が生まれるのではないでしょうか!


黄:“世界の末日”、この類の言葉は、マスコミによって仕立てられてきた事で、
なんだか現実になったかのようですね。我々は実際に、四川大地震に、日本の大地震を
目の当たりにしましたし・・・。しかし、我々はこのように人生を悲観視するのでしょうか?

許:
実は皆、賢くなっているんですよ。四川、そして日本の事があってから尚更なのは
言うまでもありません。そして今人々はまた、スティーブ・ジョブズの哲学を学ぶ。
“もし今日が自分の人生最期の日だとしたら、
今日やろうとしている事が、あなたのやりたい事なのか?”
明日が末日だと分かっていれば、自分が今何をすべきか分かるハズなんです。
時間がもう長くないと思えば、自分のすべき事を出来る限りやり遂げるハズなんです。
それも、楽しく、大胆に!これは良いことです。
黄:私は、一秒一秒を大切にしています。だから毎晩思う存分楽しんでいますよ。
ハハハ!これは私の“本来の姿”です。
許:時間のある時は、中医に行くのを忘れないように!ハハハ!
黄:Thank you , Michael


黄:今日は嬉しい事に私のインタビューを受けて頂きまして、大変光栄です。
許:私の方こそお招き頂きまして、とても光栄に思います。
黄:今、ちょうどウイスキーを味わっていますが、
私から特別にあなたへのプレゼントがあるんです。
酒は飲みすぎると健康を害しますからね、亜鉛を補う栄養補助食品を贈ります!
許:それはつまり、肝臓に効くってヤツですね?!
黄:あ、その通りです!ハハハ!
許:私もちょうどヴェニスから帰ってきたばかりなので、あなたにお土産があるんです。
これはですね、我々にとって今後役に立つものですよ!私が先に開封しますね!
ヴェニスにある小さな島があるのですが、そこの手作りのガラス工芸(ベネチアングラス)が
とても素晴らしいと言う事なので、わたしも一つ選んでみたんです。
これはあなたにピッタリの品だと思いますよ!
我々は普通、ワインを開けると語り合いますが、その時、ワインのボトルは、
だいたい開けっ放しの状態ですよね。そこでコルクで蓋をしてもよいのですが、
それではあまりロマンチックではありません。
もし、このキラキラしているガラスのキャップで栓をすれば、灯りに照らされ、
“葡萄美酒夜光杯(7)”になること間違いなしですよ!
黄:ぉお〜!!私はてっきり、飲みすぎないように蓋をしろと言う意味かと思いましたよ!
ハハハハ!Thank you

7:葡萄(ぶどう)の美酒、夜光杯・・・これは、王翰が詠じた有名な詩、
『涼州詞(りょうしゅうし)』の冒頭部分である

【終】 (日訳:管理人Baakkei
『Paco的風花歳月』@2011/6/11

『Paco的風花歳月』 ゲスト:許冠文 B

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動画
TV002245〜)

黄:賞に関して、何か心残りな事はないですか?
最優秀主演男優賞は受賞されていますが、監督や脚本家としての賞はまだありませんよね?

許:
心残りはありません。原因がどこにあるかは分かっていますから。
私の思考が最もムチャクチャで葛藤している時、最後にどの役割の自分が勝つのか?
それは勿論“役者”としての私なんです。役者ってのは一番威勢があるでしょう!
だから、私の心の中で、“監督”と“脚本家”は、“役者”に譲歩するんです。
すべての一番よいものは皆、“役者”と言うこの地位に残しておくんですよ。
時に、“役者”は要求をしますが複雑すぎてはいけない。
私はただ、美しいカットで私とヒロインを撮影するだけです。
“脚本家”も“監督”も何も考える必要はない。こうやって考えていくと、
役者が最も理想的なんです。一番、賞を獲る力を持っているわけです。
だから、“脚本家”と“監督”は悲惨ですよね。
彼らに受賞のチャンスは永遠に巡ってこないわけですから。
黄:じゃあ私も、私なりの考えを述べたいと思います。
今、私は映画界で映画制作に関わっているわけですが、私のキャリアはまだとても短い。
わずか7年足らずです。それでも、私は監督と脚本家と言うこの二つの役割を
とても尊重しているんです。私は絶えず新人監督に、彼らの力が発揮できる場を
チャンスを与え続けてきました。だから、私の映画に関わる全ての仕事は、
私もこの二つの役割からスタートしたんです。でも、よい役者を見つける事も私の希望です。
私の最大の願いは、映画界に新しいパワーを注ぎ込むことですから!
許:皆、あなたが、その大きな難関を突破できる事を期待していますよ。


動画:(002452〜)

“ あなたが笑う時 苦しみは次第に薄れ行くだろう
たとえ死ぬとしても 笑って死のうじゃないか ”


黄:マイケル!まず乾杯しましょう!役者としてのあなただけではなく、
また監督してのあなたを私は賞賛しますよ。
嘗て、大型のショーがあると必ず、
ステージ上でスピーチするあなたの姿を拝見し、
我々観客は手が痛くなるまで拍手したものです!

あなたは、香港におけるスタンダップ・コメディ界の第一人者だと言える、
私は本当にそう思っています。でも、あなたはどうやって観客の心を掴んでいるのですか?
80
年代、一人の男がマイク1本で舞台に立ち、観客は皆、あなたの考えについて来る。
そして休むことなく笑い続ける。

許:私は元々、話す事が好きなんです。80年代のある時、私はニューヨークで、
友人と一緒にスタンダップ・コメディのショーを見た事があるんです。
私は、「あれは何だ?」と友人に聞いたら、「一人で舞台に立ち、
ジョークを言って二時間客を笑わせるショーだ」
と言うんです。
「もし、私が笑わなかったらどうするんだ?君は私の金を受け取ったんだぞ!
笑わなかった時は、返してくれよ!」
と言いながら見てみる事にしたんです。
あの時、ブロードウェイで一人ステージに立ち、2時間、本当に客を笑わせてみせた
あのコメディアンに私は本当に感服させられたんです。
それで、もう2ステージ見てからニューヨークを後にしたのですが、
香港に戻ってくるとすぐに私は、どうやったら彼のようにできるのかを研究し始めたんです。
だからあなたが幸運にも過去にTVで見たと言う・・・私がプレゼンターとして出ていた頃のとか、
もしくは、5分か10分ほどのスピーチをしていたあれはつまり、絶えず試していたんですよ!
2005
年に、正式に香港コロシアムのステージに立つまでずっとです。
一万人以上の観客を前にトークをする事になったのは、あの時が初めてでした。
私は、今随分年ですが、この生涯ずっと、香港映画に何か貢献できたらと願っていますし、
また同時に、言葉による交流など、表現する、伝えると言う面でも貢献したいと思っています。
今の子供は、とても恥ずかしがり屋ですからね。ユーモアのある子なんて殆どいない。
もし、いつの日か、スタンダップ・コメディが主流になった時・・・、
今現在でも、黄子華(ウォン・ジーワー)や、・瑞文、阿Jan(林海峰)と言ったコメディアンたちが
舞台の上で活躍し始めていますが、将来の子供たちが人前で話をする時に、
まるでスタンダップ・コメディのように、度胸を持ってトークができ、またその話はユーモアがあり、
笑いの観点から物事を見る事ができるようになってくれたらいいなぁと思うんです。
将来、セールスマンになった時、客の機嫌を取って笑わせらる事ができたら、
商品もそれだけ売れるでしょうし。女性を口説く時だって、
一晩中笑わせることができたら落とせるでしょう?大統領だってそうですよ。
演説の際にジョークの一つや二つも必要でしょう!じゃなきゃ人気は出ませんよ。
だから私は、全ての人がユーモアのある笑い話ができるように、
皆さんに印象付ける(Mark)事ができたらいいなぁと思うんです。
なにも舞台の上でパフォーマンスをするためだけにと言うのではなく、
普段の生活の中でジョークを言う事が習慣になったらいいなと。
例えば、それはカラオケに行くのと同じような事です。
行った事の無い人は、勿論、人前で歌う度胸なんて無いでしょうから!
今、香港の若い人たちは、昔に比べてずっと歌が上手いんですからね・・・
黄:それは、彼らが自分でそう思っているだけですよ。ハハハ!
許:アハハハハ!


黄:それはさておき、あなたが先ほど名前を挙げたスダンダップ・コメディの
パフォーマーたちについてですが、普通のお客さんたちは、往々にして、
“辛らつな皮肉を言う事”こそがスタンダップ・コメディのスタイルであると
認識しているように私は思うのですが、しかし、あなたのスタンダップ・コメディは、
相対的に見て、もっと教育的要素があると私は思うんです。
なぜなら、あなたは沢山の比喩を用いますが、観客たちは聞いた後で、
「あ、言われてみればそうだな!」と、これは事実なんだと思えるからです。

許:“ギャグ”の良し悪しを見分けるポイントですが、恐らく、両者とも
人を笑わせる事はできると思いますが、良いギャグと言うのは、人が笑った後にも
面白いなぁと改めて思えることです。意味のある面白さと言うか、
少なからず道理のある話が含まれていると言うか。
そういうギャグであれば、みんな納得してくれるはずです。
例えば、“ビスケットを顔にブツケル”とか。これはまぁ普通におかしな事です。
黄:アハハ!
許:それから、“放射能を恐れて、一時は皆争って塩を買いだめした事”も!
これは明らかに大バカな行為ですよね!
「塩を多目に舐めれば、効果があるのでしょうか?」
私に聞いて来る人もいらっしゃいましたが、私はこう言ってやったんです。
「違いますよ!今はもう“塩”ではなく、“ゴキブリ”なんですよ!」
黄:
アハハハハ!
許:これが本当ならいいんですけどね!香港中のゴキブリが全滅するわけですから。


黄:あなたは喜劇役者でありながら、またスタンダップ・コメディもおやりになるわけですが、
どのようにして、そのバランスを保っているのですか?
あなたが役者をやれば、演技力を十分に発揮することができるし、
あなたのスタンダップ・コメディには、教育的要素が備わっている。
このように複数の“役割”を両立するには、
どのように上手にバランスを保っているのですか?

許:偶然ですよ!私にとっては、それがとても自然で普通の事なんですよ。
例えば、ビン・ラーディンが発見された時、私は直感的に思ったんです。
10
年が経ち、ついに我慢できずiPadを買うためにカードを使っちゃったんだなぁと。
黄:アハハハハ!
許:彼には4人の奥さんがいますから、iPad4台必要です。
所持金が足りなかったんでしょう。だからカードで払ってしまい、
その後発見された・・・。これは、私がテキトーに考えた想像の世界なんですよ!
こういう事って、日常生活の中に沢山あるんです。 
以前は、このように小さい虫が一匹飛んでいるのを見ても、私は気にしませんでした。
でも、今はハイビジョンカメラで撮影するでしょう!虫も見えちゃうんですよ!
もし、あなたがこの一杯を飲んでも、私は声を上げませんよ。
なぜなら、アナタには見えていないって事を私は知っていますから!ハハハ
でも、観客には見えちゃうんですよ!
黄:私は、怖くありませんよ!そうと分かっていてもやはり飲んじゃいます!
ひょっとしたら、彼(虫)の方が先に酔っぱらっちゃうかもしれませんしね!ハハハ
許:つまりは、ハイビジョンカメラで撮影するからなんですよね!
芸能人になるなら気をつけた方がいいぞって私はよく言うんです。
「ハハハッ!」って、口を開けて笑えば、どれだけヒドイ虫歯があるのかだって
観客には見えてしまうんですからね。世間からは、ケチ臭いわねぇって言われる事でしょう。
「ちっ!こんなになっても治さないのか!」と。最近は、歯医者に行くのは、
歯が痛いからではなく、人に見られたら困るからなんですよ!ハハハハハ!
例えばこういうのだって、私がテキトーに話している事なんです。

黄:コメディアンがスタンダップ・コメディをやるってのは、イケるものなんですか?
許:大前提としては、イケますよ。原則的に見れば、両者は異なるものですがね。
スタンダップ・コメディと、パフォーマーの話術にはとても関係があります。
演技が上手い事も必要です。サイレント劇を演じれば、動作が面白くなるような。
しかし、話をしなければ、観客を笑わせることはできないのです。
私は先ず、黄子華(ウォン・ジーワー)を賞賛したいと思います。
“棟篤笑(スタンダップ・コメディの香港での呼称)”と言うネーミングは、彼が考えたものなんです。
彼は随分前から、舞台の上でスタンダップ・コメディをやってきました。
その当時は、まだ広東語のネーミングがなく、“Stand up Comedy”と呼んでいたので、
私が彼に中国語のネーミングを考えさせた所、「“棟篤笑”なんてどうですか?」
提案してきたんです。“棟篤笑”は、広東を代表できる、とても意義深い言葉です。
香港オリジナルと言える、我々を代表できる言葉であるから、よし!じゃあこれにしよう!
と言って決まったんです。そうでなければずっと“Stand up Comedy”と呼ぶことになったでしょう。
黄子華は、演技も素晴らしいですし、話術もイケます!彼の演じるコメディは普通、
ボディランゲージを通して表現するものです。彼は、特に話術を強調したりはしない。
彼のこのスタイルは変えられないんですよ。
だから、スタンダップ・コメディをやるには、必ずしも成功するとは限らない。
でも、その多くは成功することができると私は思うんです。


黄:私は、分からない事がいくつかあるのですが、以前“無厘頭文化(3)”と言う言葉が
ありましたよね。一時、香港の映画市場を風靡し、優れた人材をも生み出した。
私は、この“無厘頭文化”と言うものが、なぜこんなに世間に受け入れられたのかが
理解できないのです。

3:無厘頭文化とは、香港で1990年代に現れたサブカルチャー。
“無厘頭”は、香港映画の中から広まった言葉であり、ひいては、
映画のスタイルや、社会的意識形態を表す言葉としても使われる。
この文化の特色は、会話の中の言葉を大袈裟に表現したり、
テーマとは全く関係のない言葉を発したり、時には大袈裟な体の動きや顔芸を伴うこともある。
周星馳(チャウ・シンチー)は、無厘頭文化に大きな影響をもたらした一人である。

許:私は、この世には“無厘頭”と言う言葉はないものと思っています。
どのコメディアンも皆、デビューしたての頃と言うのは、観客から“無厘頭”だと
言われるものだからです。それはまるで、以前私が父に叱られたように。
「オマエが今やっている・・・なんだこの雙星報喜ってのは!
出てくるヤツは、なんだか悪賢そうで、変な格好しやがって。
昔の我々の時代のものと比べるとなんて面白みが無いんだ。ちっとも哲学的じゃないしな!
許冠傑の頭なんて、長くてまるでユニコーンのようだ・・・」
いつの時代のコメディだって、最初の内は“無厘頭(ワケがわからない)”と言われ、
皆ツマラナイと思うものなんです。でも、時間が経ち、コメディアンが自分の
“スタイル”を作り出すと、皆「彼もなかなかヤルじゃないか!」とか、
「以前とは違うわね」と思うようになるんです。私の父も後になってから、
だいたい亡くなる前の何年かですけど、その頃になって漸く言ったんです。
「お前の映画は、確かに少しは面白みがあるようだな!」と。
黄:アハハハハ!
許:許冠傑に対しても父は同じような事を言っていましたよ。
「お前の歌詞も、ちっとは意味があるんだな!大部分の歌はそうは思わないが、
中には幾つか、いい歌もあるじゃyないか!」

20
年以上も経ってやっと、父はこのような考え方を抱くようになったんです。
当初は阿Samに向かって、「“無厘頭(ワケがわからない)”!
なんちゅう歌を作ってるんだお前は!白雪仙の『帝女花』に比べたら、
お前の歌はまるで“ゴミ”にも及ばないよ」
と怒鳴って文句を言ったものです。
でも随分後になってから、許冠傑の歌については、「まぁよかろう!」
評価するようになったんです。彼も、このような過程を踏んでいるんです。


黄:私は今、あるコメディ映画を計画をしているのですが、あなたがいいと思う
オススメの若手はいますか?例えば、近頃だと王祖藍(ウォン・チョーラム)や、
李思捷(ジョンソン・リー)・・・等、どう思います?私でも彼らにチャンスを与えられますかね?

許:
王祖藍(ウォン・チョーラム)は、演芸学院を出ているので、正統な育成訓練を受けています。
最近の芸能界に、このような訓練を受けている人はとても少ないですからね。
彼は女装しても素晴らしいし、演技も一流ですよ。
李思捷(ジョンソン・リー)は、ものまねだけでも素晴らしいですからね!ある時、
『鬼馬雙星(Mr.Boo!ギャンブル大将)』の中の私のキャラを彼が真似していたのですが、
あれは本当に笑い転げましたよ。だって、私のマネって難しいでしょう!
私なんて大して特色がないのに、彼はマネてしまうんですからね。本当に凄い事ですよ!
実際、、『福忽諱xはお三方とも(阮兆祥、王祖藍、李思捷)素晴らしいですよ。
中でも特に、そのお二人がね!


黄:それからもう一つ、『鐵塔凌雲』もそうですね。この歌は当時、広東語ポップスに
新たな方向性を見出しただけでなく、私自身をも変えたのですから。
それまで私は“広東式”の歌が嫌いで、洋楽ばかり聴いていたんです。
しかし、まさか『鐵塔凌雲』と言う曲一つで香港中の人たちの心を動かすことができるとは。
嘗てあの曲が、広東語ポップスに新たな歴史的な変化をもたらしたと言うことを
あなたはご存知ですか?

許:確か・・・あの時は海外旅行から戻ってきた所でした。
それまでずっと、外の世界はとても美しいと思っていたのに、旅を終えると、
実際は何て事のない、一番いい所は香港だと言うに気付かされるなんてね・・・。
あの日の夜、ふと筆を手にした私は、部屋で詩をしたためたんです。
あれは世界一周旅行でしたからね!パリのエッフェル塔に、ニューヨークの自由の女神像、
ハワイ、それから日本の富士山を回って、そして香港に戻ってきた。
ちょうど一つの円を描くように。
“♪香港の漁灯にどうして及ぶだろうか・・・・♪” 
あの“なんて事はなかった”と言う気持ち・・・
言うまでも無いですが、香港が最も美しい所なんです。
海外に行きたがる人が多いですが、最も素晴らしい所は、実は我々のすぐ傍にあるものなんです。
これは、我々の思想に対しても言えることですよね。他人の事は良く見えるものですが、

自分にとって一番大切な人は、実はすぐ傍にいるものなんです!
他人の畑の方が良いだなんて思ってはいけない。そう思うのは間違いです。
どんなに良くても、自分の身近な人には及ばないものです。
あれから多くの人に聞かれましたよ。なぜあれ以来、詩を書かないのか?って。
黄:そうですよ!私もそれについてお伺いしたかったんです!
許:先ず、基本的に、私は作詞については理解がないからです。
それに、私はそれほど作詞が好きではありませんからね。
あの時は単に、とても強烈に感じるものあって、私をそうさせただけなんです。
その後、許冠傑が私の書いた詩を見て一言、
「曲は書けないんだね・・・」 (笑)
黄:アハハハハハハ!
許:「じゃあ、お前がなんとかしてくれよ!ちょっとした遊びのつもりでいいからさ!」
と私が言った所、その週の『雙星報喜』で、サミュエルがギターを奏で始めたんです。
それを見た父は何て言ったか!
「何が言いたいのか分からん!」
ですよ。(笑)
黄:アハハハハハ!
許:それも24年後になって漸く、「この歌は、なかなか意味のある歌じゃないか」・・・ですよ
黄:あの時、私はまだ音楽業界には関わってませんでしたからね。
もし、当時私が音楽のプロデューサーをしていたら、
間違いなくあなたと契約したのに!(笑)

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『Paco的風花歳月』 ゲスト:許冠文 A

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動画:
TV001137〜)

“ 香港の映画人がやるべきことは、
我々の真の文化を失わない事だ ”

黄:マイケル!あなたがワイン好きだと言うのは存じておりますが、
今回私はどうしてもこの“シングルモルトウィスキー”をおススメしたい
この18年もののウイスキーには、ちょっとした飲み方がありまして、
それは、ウイスキーを常温の水と11で割るんです。そうすることで、
ウイスキーの風味を損なわずに本来の香りを楽しみながら味わう事ができるんです。
よかったら我々も試しに一杯頂いてみましょうよ!
許:どうして水は常温でなければならないんです?
黄:冷たい水では、飲むピッチを上げるだけだからです。
それに常温の水で割る飲み方と言うのはですね、風邪を治す効果があるんですよ。
そこにスライスしたレモンを一切れ入れると、もうパーフェクトですね!
さぁ、先ずは一杯!どうぞご自分の舌でテイスティングしてみて下さい。
許:私も今ではもうだいぶ(自分の適量が)分かってきましたよ。
と言っても、私の飲む量はあなたには及びませんけどね。
あなたがまだデキ上がる前に、我々は既に酔っ払っていますから。
知らぬ間にグーグー寝てしまうんです。30分か20分ぐらいですかね。
本来ならまだ何本か飲めたのに、グーグー寝てしまったので皆帰ってしまう。
黄:アハハハハ!
許:でも、もし目が覚めた時、皆がまだ帰らずに残っていたら、それこそ最悪ですね。
私は、酔っ払うわけにはいかないんです。酔っ払うといつも醜態を晒しちゃうので!
黄:アハハハハ!
許:醜態ってのは、声高らかに歌い始める事です。
黄:ア〜ハハハハ!
許:自分では、私の歌もなかなかのものじゃないかと思っていたのですが、
周りの話しではヒドイものだと。だから酒を飲む時は、
自分の限界は超えないようにしているんです。


黄:では映画の話に戻るとしましょう!
あなたは、近頃の役者についてどのような考えをお持ちですか?
私は、ぜひ若い役者さんには、このインタビューを通して、
あなたを見習い、映画に対する態度と言うものを学んで欲しいんです。
なぜなら、ちょっと聞いたのですが、随分昔に出られた映画で、
名前は『大軍閥』と言う作品ですが、当時、監督(李翰祥)は迷っていたそうですね。
主役をアナタにするかどうかで!
でもその時、あなたは既に行動に移していた事があったとか!
いったい何をやったのか、話して頂けませんか?

許:当時、私は彼に聞かれたんです。
「キミは、この“大軍閥”と言う役柄を演じる事ができるのかね?」と。
私は逆に聞き返したんです。「軍閥とは何ですか?」と。
大軍閥とはつまり、50過ぎで、頭は丸刈りで、人を殺害する時には、
手で頭をなでながら、「バンッ!」の一声で銃殺すると言う人物だと。
邵逸夫(ランラン・ショウ)は、私に役が務まるのかと監督に尋ねたそうです。
その時、彼らが私の事で相談していたと言う事は知っていましたが、
話し合いで私を採用することになったかどうかまでは、定かではありません。
そんなある日、私は頭を丸刈りにして監督に会いに行ったんです。
そしたら、それはすごい声を上げて、「他媽的(FUCK)・・・」って!
彼は、その時私が誰だか分からなかったそうですよ。
黄:アハハ!
許:「私は、あなたが役者に使おうか悩んでいるあの許冠文ですよ!」って
監督に教えて差し上げた所、あ゛っ?って、たいそう驚いていましてね。
その後、腰を下ろしコーヒーを一杯飲むと契約成立。こうしてキマったんです。

黄:
だから、これがとっても大事な事で、若い役者さんにも見習って欲しい所なのです。
決意を固めると言う事は、とても重要なことですから。役を勝ち取りたかったから、
一番望ましいのは、あなたのように実際に行動で示すべきだと言う事です。
許:今の若い人には、欠けているモノが一つあると私は思うんです。
つまり、自分が自分自身に与える“原動力”が足りないなぁと。
それは、当時私がTVB(無綫電視)に入った時のように!
学生時代、学費を払うお金がなかった私は、ある日TVBの社長を訪ねました。
その時、社長からこう言い渡されたんです。
キミには、“学校対抗クイズ大会”の企画書が作れるかい?
できますとも!私は嘗て教師をしていましたので
じゃあ3ヶ月の時間をやろう”
それで早速その晩に、私は友達(今の奥様)にも手伝って貰い
徹夜で8090ページに及ぶ企画書を作り上げると、
その翌朝、一睡もしないまま社長を訪ねたんです。
彼は私を見るなりこう言いましたよ。
「何しに来たんだ?キミには、企画書を書くようにと言ったハズだが!」
「ここに、問題内容と出場校一覧、形式内容、得点に関するルールなどが・・・」
「だから三ヶ月、時間を与えると言ったじゃないか?」
「そうですね!でも、私はお金に困っておりまして・・・」

彼は、一瞬ポカンとしてから、私に社長室に入るように指示しました。
その後、パラパラと企画書に目を通した彼は、どこかに電話を掛けると、
何か一言二言話してから私にこう言ったんです。
「一ヶ月5千元で足りるかな?昨日からということにしよう」
その当時、私が夜間学校で教えていた時の給料が月400元足らずでしたので、
私はすぐに答えましたよ。
「ん〜まぁ・・・なんとか足りますかね」って。(笑)
黄:アハハハハ!
許:今はですね、私が脚本家に原稿を依頼する場合、
「お手数ですが、できるだけ早くお願いしたい。
あらすじが書き上がるのにどれくらい掛かります?」
と聞くでしょう。
「一ヶ月ぐらいですね」って言うんです。
ところがですよ!一ヵ月経って、どうなったか聞いてみると、
「まだですよ!まだ数ページ書いただけですもん!
僕だって、まさかアナタがこんなに急いでいるなんて知らなかったし」
って答えがが返ってくるんです。「ちょっと頼むよ〜!」って。
黄:アハハハハ!
許:私は、この業界の人にどうしてこうなるのか聞いてみたんです。そしたら、
「当然ですよ!あなたが提示した原稿料は、
決して多いわけではないですし、完成するまで催促に行かなかったからです。
催促しないといけないんです。借金の取り立てのようにです!
そうでなければ、彼らには相手にされませんよ」
黄:
これはまさに態度の問題ですね。
現実に私が直面した問題を、あなたがズバリ言ってくれたわけです!


黄:実は、最優秀主演男優賞というのは、率直に言うと
コメディを演じるのではなかなか獲得できない賞なんですよね。
過去の歴史を振り返ってみても非常に少ない。
許:実を言うとね、私もマグレのようなものなんですよ!(笑)
黄:アハハハハ!
許:普通、観客が映画を見る時と言うのは、とてもシリアス(真剣)なんです。
コメディは、単に観客を笑わせるだけですから。
私は、決してそれほど難しく、厳しい事だとは考えていません。
ただ、後にそれは変わってしまったんです。
黄:私の考えですが、現在のコメディは、文化の違いによるものがとても大きいと思います。
今の若い世代の人たちが考えている思想や文化に関しては、私は全く分かりません。
だから私は今、彼らと同じぐらいの年頃の脚本家に脚本を書かせることで、
若い観客との共通点を得るようにしているんです。
そしてやっと今、その効果が現れてきたと私は思っています。ハハハ!
許:今のコメディは、相対的に言って少し表面的ですよねぇ。時代を追うと言うか。
本質は悪くないのですが、一番大切なのはそう言う事じゃない。
今の若者は皆、「昇呢!(シンレイ)」、「昇呢!(シンレイ)」と言う言葉を使うようにね!
だから、“昇呢!(1)”じゃないのに!
コメディってのは、ストーリーが興味深いものでなくてはいけません。
それでいて観客に面白いと思わせる事ができたら、それで十分です。

1
 
“昇呢”と言うのは若者の間で流行っている、所謂香港の流行語であり、
正しくは“昇級・昇格”のことを指す。“昇呢”は、ゲーム用語から来ているようで、
“呢(レイ)”は、英語の“LEVEL”の略語だそうな。
確か、中華圏の人は、LEVELを“レイボー”と発音する。
“呢”の正しい発音は「nei(ネイ)」だが、皆さんご存知の通り、
香港人はNLの発音が曖昧だからそうなったのだとか・・・。
また、こういう間違った広東語が流行する若者言葉は教育に悪いと、
今香港では問題になっているのだと言う。


黄:ちょっとお聞きしたいのですが、“ギャグ”と“演技”には何か違いがあるのでしょうか?
ギャグがどう言うものかは分かるのですが、演技についてとなると
そんなに理解があるわけではないので。あなたの視点から見て、
あなたは“演技”と言うものについて、どのようにお考えですか?

許:
普通、観客を笑わせるのが上手な凄いコメディアンってのは皆、
演技力が優れていると私は思っています。ギャグだって、本来は芝居ですからねぇ!
ただ、観客が見た時に、芝居をしていると思わせるのではなくて、
純粋に面白いと思わせる事ができる。それでイイんですよ。
多くの人は、素晴らしい演技力を持っているけれど、それほど面白くない!
黄:私の考えはですね。ずっとあなたの映画を見ていて思うのですが、
あなたはずっと芝居をしながら、その上、面白い事もやっている。
同時にこの二つが混ざり合っていて一体となっていると感じたんです。
知っていますよ!あなたは嘗て、良い映画を撮るためにはと、
殆ど“スパイ”に近いような事をやったそうですね!
とある深センの“団体ツアー”に参加したアナタは、観光客を装って潜入調査したとか。
あの時、何があなたにそうさせたのですか?
確か2003年の事だったと記憶していますが。

許:
脚本を書く場合、どんな映画であろうとも、トレンドが大事でしょうが!
観客が共鳴できるものでなきゃね!だから常に周囲の環境に注意しなければならない。
たとえそこが、売春・博打・麻薬などが行われている所だろうと、
その情景を“濃縮還元”ではなく、“そのままストレート”にコピーしなければならない。
特に、私は役者兼監督ですから!ただ問題は、私だとバレないかと言うのが心配で、
もし私だと気付かれたら、ハッキリとした真相を掴むことはできませんからね。
だから私は、潜入操作をする時はいつもメイクを施すんですよ!
黄:アハハハハ!
許:先ほどあなたが言ったあの時はですね、深圳(シンセン)の旅行代理店が募集していた、
所謂、『零団費(ゼロ円ツアー)2』というヤツです!
つまり、ツアー費は無料で、旅行に連れてってくれると言うものです。
でも実際は、そのツアーには観光スポットなんて一つもないんですよ。
あれを買え、これを買えと終始ショッピングですよ。
もし、何も買わないようであれば、ドアを閉められ出して貰えない。
私は、どうしてもその一部始終を見届けてみたかったんです。
でもそれはとても危険なことです。もし誰かが私だと気付いたら、もっと悲惨ですし。
それであの時は、私の他に二人のシナリオライターを連れて行ったんです。
ケンカになった時、一人でも人手で多い方がいいでしょう!(笑)

2
零団費旅行団、直訳すると“ゼロ円ツアー”という感じだろうか。
日本では、格安観光ツアーとも呼ばれているようですが、
その名の通り、格安の料金、或いはタダでツアーに参加できるもので、
ツアー客に買い物を強要し、マージンを稼ぐ手法。
2003
年、大陸で広まったもので、香港・マカオ・タイなどへの
ゼロ円ツアーが流行したと言う。


許:
とても不思議だったのは、今回イタリアの映画祭に行った時です。
多くの国外の映画評論家が私に言うんです。
「ホイさん、ご存知ですか?我々が如何なる理由であなたをリスペクトしているのかを!
あなたは、我々映画界で最も崇拝に値する人です!
なぜなら、脚本、監督、役者を一人でこなしていらっしゃる。
そしてあなたは一人の創造者だからです!
あなたが創り出す作品の中の、あらゆる一切のものがこんなにも完璧であり、
それら全てが、アナタのモノだからです!
これこそが、我々がアナタを賞賛する理由なんです」

私はもう驚きましたよ!私のこういう部分を評価してくれていたなんて!
黄:これもまた・・・タイミング!世の成り行きと言うものですね!(笑)
許:Author”ですよ!彼らは、私の事を“Author(創造主)”だと言ったんです。
本当に全てが私に属するものだと。彼らは、このようなものを崇拝しているんですよ。

黄:
あなたの話は、まさに良いポイントをついていますね!
私は今、“万能”の人材を探し求めているんです。刮目して待っていて下さい!
縁があって出会えたらいいんですけどねぇ。
才能のある人材に出会えるなんて、こんな素晴らしい事はないですから!
許:でも実際、とても難しい事なんですよ。幾つか例を挙げましょう!
私が一人で自作自演を務めている時と言うのは、私みたいな人間はそういませんからね。
私が覚えているのは、ある時、あるシーンを撮っていた時です!
それは、鍾楚紅(チェリー・チェン)を抱きしめてキスをしようとしていた所で。
・・・とまぁこのようにカンタンな動作なんですけどね。
一旦撮った後で、助監督が言うんですよ。
「ホイ監督!先ほど、あなたが彼女を抱きしめていた時、あなたのもう片方の手が
パタパタ動いていましたけど・・・あれは何をやっていらしたんですか?」
って。
「何もヤッテないぞ!」って私が言ったら、
「ヤッテました!ウソだと思うなら、ご自分で確認してみてください!」 って。
そしたら、本当にやってたんですよ!それはなぜか!
実はね、私がキスをしようとした時、もう片方の例の手は、
「カメラの準備はいいか、よーいアクション!」と言う合図をしていたんです!
監督と役者を同時にやっていると、こういう動きをしてしまうんですよ。
言ってみれば、演技に集中できていないって事ですよ!(笑)
黄:アハハハハ!
許:ある時は、こう言われたんです。
「あなたが一人で四つの役割を担うと、どうして四種類のセリフが出てくるんです?
最初は“おはよう”と言うセリフだったのに、後から“こんにちは!”と言ったり、
いったいどっちなんです?」
って。
私は脚本担当でもあるわけですよ!
カメラが回ってから、私は“こんにちは”と言った。
監督は、カット!もう一回!と言う。
役者は、“こんにちは”ってのもあんまりよくないなぁと考えた。
それで、“おはよう”に変更される。と、こう言う事なんですよ!
じゃあ、“監督”はどうかと言うと、彼だって“許冠文”私自身じゃないですか!
彼の好きにしたらいいさ、ですよ。
でも、“脚本家”許冠文はまた、色々と意見があるわけですよ。
だから時に私の考えは、興味深くもあり、且つ、ムチャクチャだったりするんです。

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『Paco的風花歳月』 ゲスト:許冠文 @

香港芸能界初の伝奇的な人物であり、また、
『金牌経理人(ゴールド・マネ−ジャー)』として知られる
香港の著名マネージャーPacoこと、黄柏高(パコ・ウォン)がホストを務める
TVB
のインタビュー番組、『Paco的風花歳月』に
2011
年、許冠文(マイケル・ホイ)先生がゲスト出演した。


以下は、許冠文vs Pacoの対談の内容になります。

※広東のマイケルファンが北京語に訳したもの
(所々敢えて意訳した所もあるそうな)を基に日本語に訳してみました。
よって、ご本人たちの発言と一字一句同じと言うわけにはいきませんが、
参考までに! また、約一時間番組で訳文がかなり長いため、
4
回に分けて投稿します。


Paco的風花歳
ゲスト:許冠文(マイケル・ホイ)
ホスト:黄柏高(Paco
収録日:2011531
放送日:2011611
動画:TV


オープニングメッセージ ―

“この世は悲しい” なんて言いたくない
皆、とっくに分かっていることだから

それでも私は、この世界をしっかり見つめながら
“この世は悲しい でもそれが全てではない”
と言う事を伝えたい

人々の記憶の中に、
すべての物事においてコメディ要素を見出せるような
私はそんなコメディアンになりたいんだ

許冠文(マイケル・ホイ)


看人生 (笑いに見る人生) by許冠文

観客が皆人間でありさえすれば、聞こえるはずだ
我々の発する同じ声が・・・ハハハって


黄:
マイケル、我々のインタビューに応じてくれて有難う 本当に光栄です。
許:私の方こそ、光栄だよ
黄:まず最初に、おめでとうって言わないといけませんね!
5
1日にイタリアで行われたウーディネ極東映画祭で“終身功労賞”に
輝いたわけですからね。シャンパンでも開けてお祝いといきましょうよ。
まずは、私から乾杯! ポンッ!
許:
・・・!!!
黄:ワ〜!
許:(笑)どうもありがとう!

許:
あの賞を頂いてから、私は考えていたんです。
“終身功労賞”ってのは、恐らくは、“ここまで”と言う意味でしょう。
私、言ったんです。功績なら、これからだって沢山ありますよ!
そんな賞を何もこんなに早く私にくれなくてもいいでしょうが!って。
黄:アハハハ
許:そしたら、こう言われました。
「私の年齢から考えると先に渡しておいた方がいいと思った。
保険を買ったようなものだ」
って。
黄:アハハハ
許:「もし将来新しい功績を残した時には、その賞杯に刻めばいいじゃないか」って。
黄:私もあなたとの共同制作で、もっと大きな功績が残せる事を願いますよ。
許:勿論ですとも!
でも、今回とても感動させられたんですよ。あのイタリア人たちなんですが、意外にも、
あらゆる香港映画に関する資料を何冊も収集していて、どの本もとても分厚いものなんです。
特にコメディとなると全部で34冊あったと思いますが、どれもこんなに分厚いんですよ!
すべてのコメディ映画が、私のも含めてです。登場人物や、ストーリー、またそれは
どのようにして生まれたのか、そして興行成績に至るまで全てが書き記されているんです。
今回の映画祭では、わたくし許冠文の映画を振り返ろうと言うことで34日間ほど
全部でだいたい8作品くらいが上映されたのですが、
イタリア人は皆広東語なんて分からないのに、ものすごく笑うんです。
だから今後もこのまま撮り続けていけば、我々香港の映画は世界の市場を狙えると思いましたね。
彼らに何度も聞かれましたよ。
「最近は、どうして香港のコメディ映画がこんなにも少ないのか?
もう少し沢山撮ってほしい。僕たちは香港のコメディ映画にとても注目しているんだ。
恐らく、大陸の市場に迎合しているのでしょう。あなたたちの映画は、
以前ほど活気が感じられない・・・」


黄:
彼らにとってアナタは、例えるならつまり、“コメディ界のブルース・リー”って所でしょうか!
そんな風に私には感じられます。それは全世界を震撼させる!違います?
許:以前は、香港のコメディ映画と言えば皆、伝統的なコメディ劇ばかりでした。
ダイアログとストーリーが主となり、アクションやケンカと言ったシーンは殆ど出てこない。
それが、アクションを使って表現するようになったのも、私の『半斤八兩(Mr.Boo!)』や、
『摩登保鏢(アヒルの警備保障)』からでしょう。例えば、『半斤八兩(Mr.Boo!)』の中の、
ソーセージを振り回すシーンは、その後の香港のカンフーコメディや、
現代アクションコメディにも影響を与えた。ダイアログよりビジュアル重視で、
観客は、耳よりも目を使って観賞するようになった。
恐らく、彼らイタリア人は、この影響がとても大きいと思ったのでしょう。


黄:ウーディネ映画祭では、『鬼馬雙星(Mr.Boo!ギャンブル大将)』『半斤八兩(Mr.Boo!)』、
『鶏同鴨講(ホンコン・フライド・ムービー)』の3作品が上映されたそうですが、
これらを選んだのには、それぞれ何か特別な意味があるのでしょうか?

許:
私も彼らに訊ねたことがあります。どうしてこの3作品で、他のは選らばれなかったのかって。
彼らが言うには、この3作品は特に国際的な市場あるのだとか!
彼らの言う意味は恐らく、“外国人が見ても伝えたい事が分かる”と言う意味なんでしょう。
例えば、んっ・・・『半斤八兩(Mr.Boo!)』・・・ヒック!(シャックリが出ちゃった) (笑)
黄:アハハハハハハ
許:
あ、(笑)・・・あれは階級の矛盾を描いた話ですから。
労働者はいつだって、ボスに搾取される事についてグチをこぼす。
このような事は、実はどの社会でも起こり得ることですからね。
『鶏同鴨講(ホンコン・フライド・ムービー)』で描いているのは、アメリカの飲食文化、
マクドナルドやケンタッキーがアジアを“侵略”すると言う事。アジアだけではないですね。
普通のレストランの隣にもマクドナルドがあって。でも彼らは、自国の主流(本質)が、
アメリカの飲食文化に“侵略されるわけがない”と自負している。
それが却って、彼らイタリア人の興味を引かせることになったのでしょう。
我々の国がなぜ彼らに“侵略”され、彼らがアジア市場に進出できたのかと。
昔、我々が食べていた魚蛋粉(魚のつみれ入りスープビーフン)や牛雑(牛のモツ煮)
といった食べ物は減少していく一方で、逆に外国から入ってきたファーストフードが
増加していくばかり。若者は皆、西洋のファーストフード店へは行くが、
我々が旨いと思う中国式レストランへは行かない。
これらの問題について、私は実際マジメにリサーチしたんですよ。
現在の問題は、単なる飲食文化だけに留まらず複雑です。
今の若者は、流行を追い求めます。レストランの店内では今流行りのミュージックが流れ、
雰囲気もいい。カップルはそこに5時間だって座っていられる。でもそれが、もし
燒鵝P粉(ガチョウのローストがデンと乗ったライスヌードル)の店だとしたら、
そんなに長くは座っていられないでしょう。
ファーストフード店の環境は良く、BGMもあって、現代の・・・
黄:それらは上辺だけの外観に過ぎないものなんですけどね。


黄:私は当時、『雙星報喜(TVBのバラエティ番組』をいつも見ていました。
その中のあるコントなのですが、何十年も経つのに未だに私の印象に深く残っているんです。
毎回思い返して見る度に笑ってしまう。何度見てもやっぱり面白い。
なぜなら、実際私にとっても身に覚えのある出来事だからです。

VTR観賞−
(マイケルが日本人のタクシー運転手に扮するネタby雙星報喜)

黄:このコントの中で、あなたは日本人のタクシー運転手に扮している。
一方、許冠傑はある場所へ向かうため、あなたのタクシーに乗り込む。
許冠傑は右のドアから乗車。するとアナタは何事もなかったかのように左側に周り、
ドアを開けてこう言った。「着きましたよ!ここがそうです!」って。アハハハハ!
実際、私も嘗て知らない国へ行った時、似たような事を経験した事があるんです。
あそこまでヒドくはないですけど・・・でも、私の時もちょっと歩けば済むような事で・・・。
マイケル、あなたの人生経験はこのように豊富ですが、
あなたの作品の中でどの作品が・・・、とにかく観客にウケなかったと言う例はありますか?
あなたは最もどうにかなる人でしょう!才能が枯れるなんて事、あるんですか?

許:基本、3人の私がいるんです。それぞれ、脚本、監督、役者と言う風に。
監督としての私はと言うと、いつもこの世の暗黒な一面を描き出す、
救世主のような人物だと思っています。
脚本家としての私が最も重要としている事は、十分な意外性を持った、
観客がこれまでに目にした事のないストーリーが書き上げられるかどうかと言う事です。
一番の理想としては、最初から観客に「分からない」と言う潜在意識を
植え付ける事ができたら一番よいのですが。
役者としての許冠文ですが、一番重要視しているのはルックスです!
ヒロインだってキレイでなければならない。
『秋天的童話(誰かがあなたを愛してる)』に出ていた女性のように!
この三人の“許冠文”たちの間では、常に衝突が起きるんです。
それはつまり、面白くないシーンがある時はいつも、
“役者マイケル”は、心の中で“脚本家マイケル”を怒鳴りつけるんです。
「何を考えてるんだ!こんなモノを私に演じさせやがって!」って。
すると、“脚本家マイケル”は、
「俺が言ってるのは、今笑えって意味じゃないんだよ!」と言う。
そして“監督マイケル”はこう言います。
「サスペンス性はあるが、社会的な警戒心が無い。
階級間の闘争が無いじゃないか!脚本家さんよ!」
続いて“脚本家マイケル”はこう言います。
「階級闘争なんて、私の知ったこっちゃないですよ!私が欲しいのは、
誰もが思いつかない意外性だけなんですよ!」

この三つの人格が、常に私の心の中で葛藤しているんです。
だから、先ほど言ったようなことですよ。面白くないシーンがある時はいつも、
“役者”はイライラする。しかし彼は自分の演技が悪いとは思わない。
あんなストーリーを考えるから悪いんだ!頭が干からびたんじゃないかと
“脚本家”のせいにしかしないんです。先ほどのあなたの質問ですが、
脚本をしていてアイディアに詰まる事はないか、と言う問題でしたよね。
“脚本家のマイケル”は、勿論「そんな事ない」と答えるでしょう。
でも、“役者マイケル”は、脚本家は最悪だと文句を言います。
自分の演技については反省しないクセにです。これは、私の複雑な心理闘争なんです。
こんなに長い間、未だに一本の映画も撮れないでいる。あっと言う間に10年ですよ。
その間、私が出演した幾つかの作品はどれも、ちょっと頼まれたからちょっと出てみた
と言うような役です。そう言うのは、別の監督の指示通りに演じただけですから、
私自身を発揮できる余地はそんなにありません。
しかし、自分が書いた脚本となると、私の心の中の三つの人格によって、
議論を闘わせるわけですから、“脚本家”が良いと思うものは、当然、
“役者”にとっては不満で・・・と、このような事の繰り返しなんです。
論議がひと段落すると、漸く面白いと思えるものが出来上がる。
ところが、翌年監督を務めるヤツが今度は、「面白くない」と言うんです。
ひいては、嘗て私がゴールデン・ハーベストを離れて独立してからは、
私の心の中には、もう一つの人格が生まれ、四人になりましたから。
後から加わったボスと言う人格が、“監督”、“脚本家”、“役者”の三人が
面白いと思っているのに、“ボス”は制作費がトンデモナイって・・・

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許冠文・身上話

2011.04.16 Sat

※マレーシアで行われたスタンダップコメディ2記者会見の際に
『星洲日報』が取材した許冠文先生の独占インタビュー記事です。

星洲日報/娯楽】 日付:2011520 

許冠文・我的
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写真:星洲日報

許冠文(マイケル・ホイ)は、奥様の鄭潔英と結婚して38年。
芸能界公認のオシドリ夫婦である。大学時代に知り合ったと言う二人。
お喋り好きな彼と、聞き上手な彼女は、ステキな恋を育んだのである。

「妻は、私の話を聞くのが好きなのは勿論のこと、
同時に私の事をよく励ましてくれるんです。
舞台に立つ事を恐れないでと言ってくれたのも彼女です。
客席にはいつだって、どんな時も、少なくとも一人の客は居るのだから。
それがつまり彼女で・・・。だから私は、毎回ステージに上がる前に、
彼女が励ましてくれた言葉、そして彼女の笑顔を思い出すようにしているんです。
そして舞台に上がってからは、ステージ下にいる観客全ての顔を、
私の妻の笑顔だと思い込むようにしているんです。」

許冠文は、高血圧と糖尿病の持病があり、薬を服用している。
奥様は、マイケルが糖尿病を患ってからと言うもの、
“至れり尽くせり”と言える看病をしてきた。
ひいては、彼の病状に合わせて彼女も野菜中心の食事にするなど、
一緒になって食事制限に付き合ってきたと言う。

「私は糖尿病持ちなので、色々と食事制限があるんです。
一方、妻はそんな必要ありません。健康なので何だって食べられるわけですよ!
まぁ一食や二食ぐらいなら、何てことないかもしれませんが、問題は、
彼女が私のためにそんな食生活を一生続けなければならないと言う事です!」

マイケルが子供たちと食事を共にする時、子供たちもまた
出来る限り野菜をオーダーするなどして彼に付き合ってくれるのだと言う。
彼は感慨深そうにこう言った。

「私のように何かしら持病がある患者を持つ家族、
そしてそのパートナーは立派ですよ。
そのために自分を犠牲にするわけですから。
このような愛情は、非常に偉大だと思います!」


子供もまた父親の良き聴衆である

許冠文は、良き夫であり、また良き父親でもある。
彼には、愛する妻がいて、また彼を尊敬している息子と娘がいる。
妻と子供に対するマイケルの愛は、ある意味“離れ難い”と言える程のもので、
または、“一途”と言う二文字で表すこともできるだろう。

子供が成人し、結婚して独り立ちする。
これは親なら誰しもが必ず通るであろう道だ。
しかし彼の場合、娘が嫁いで行った事が原因でうつ病になり、
また息子の結婚に関しても、彼は寂しさと恐怖感を覚えたのだと言う。
ここからも、彼と子供たちとの絆の深さが窺い知れる。

マイケルと子供との関係は、友達のようなものだそうな。
彼は、子供たちと腹を割って会話をする事をとても重視しており、
子供の教育に最も大事なのは、コミュニケーションだと考える。

「子供たちとの会話の中で、彼らの様々な価値観を知る事ができますし、
またそこから少しずつ彼らの世界を覗き見ることができるんです。」

彼の考える教育方式とは何か。

「色々な所で、親の助けや、アドバイスが必要になるんです」
そうすることで、最終的には、子供たちの心を開かせる事ができるようになり、
次第に、実は父親とだって心の悩みについて話し合える事に気付くのだ。
そしてある日、子供たちが困難にあった時には、逆に父親の所に訊ねてくるようになる。
“パパなら、どう思う?”と。この言葉は、子供が父親に
“心から打ち明けようとしている”事の証明になるのだと言う。

普通、子供と言うのは、父親の話を聞きたがらないものである。
父親の口から出てくる話と言うのは、たいてい、子供たちにとってはどれも
耳に入れたくない不合理なものだからである。
しかし、許冠文の子供たちは、その“普通”とは異なる。
彼らは母親の話を聞くように、父親(マイケル)の話を聞くのが好きだと言う。

「子供たちが言うには、私の話は興味深いんだそうです。
普通の父親みたいに、
耳障りな事を言わないからと。
だから私の話を聞くのが好きなんですって。」


マイケルは、これまでに一度も子供を怒鳴った事がないと言う。
どんな時も、筋道を立てて議論すると言う方法で、彼らを教育してきたのだ。

「話しをする時には、ユーモア感があった方がいいですね。
ストレートに叱るのでは効果がありませんから。・・・もし、時には笑ったり、
気楽な雰囲気で話し合う事ができて、それで彼ら自身に、
自分のした事が正しいかどうかを考えさせることができたら、
それに越したことはないでしょう?」

彼の経験から言うと、子供を教育する時、非難するのと、賞賛するのだったら、
責め立ててばかりいるよりは、よく褒めてやる方が、
その効果は、何十倍も良くなるにキマッテいると。

許冠文の父親と言うのは、伝統的思想を持った中国人で、
彼も様々な方面でそんな父親の影響を深く受けて育ったと言う。
ただ、父親と違って男尊女卑の考えは持っていないが。
ホイ家には、全部で五人の兄妹がいる。
許冠文が生まれた時、父親は既に“文、武、英、傑”と言う四つの文字を
それぞれ息子の名前に当てようと考えていた。
この点からも、父親の伝統的思想が窺えるだろう。
結果もまた父親の計画通りとなり、続けて4人の男の子が誕生した後、
漸く出番が回って来たかのように一番最後に女の子が誕生したのである。


写真:星洲日報


スタンダップ・コメディは、客の反応がストレート

『スダンダップ・コメディ2“最終警告”』は、第一弾から5年振りとなる、
内容も全て一新されて登場する許冠文のトークショー第二弾である。
今年の2月、香港ではチャリティー・トークショーとして1ステージのみ上演されたが、
あれは、奥様の誕生日を祝うためだけに開いたものだそうで、
また、ショーを通じてチャリティーに貢献することで、マイケルから奥様に贈る
貴重、且つ意義のある特別なバースデー・プレゼントのつもりだったのだと言う。

香港で1ステージのみの上演が終わるとすぐに、
セカンド・ステージの舞台をマレーシアに移したわけだが、
これは決して、香港で需要がなかったからではない。
マイケルのパフォーマンス会場に対する要求がとても高いからである。
スタンダップ・コメディは、1万人収容の大きな会場で上演するには不向だとマイケルは考える。
彼は、ステージと客席の距離が近く、
観客と触れ合える環境が好きなのだ。
それでこそ、観客一人一人の表情を観察する事ができるからである。
そんな彼の一番の理想は、数百人足らずの小さな会場で、ひいては、
マイクなしでもイケるぐらいの、まるで皆でお喋りしているような環境で
一緒に二時間トークをする事である。
しかし、昨今の香港では、このような会場はとても少ないようだ。

「私は、スタンダップ・コメディが大好きなんです。トークの内容を考える事は、
映画のストーリーを組み立てるのにとても大きな助けになっているんですよ。
皆さんのために、沢山の新しいコメディのネタを生み出す事ができますからね。
以前は、シナリオを書く時は決まって家に篭って考えていたんです。
でも、映画が出来上がってから、漸く気付かされるんですよ。
自分では面白いと思っていた事が、観客にはそれほどウケなかった事にです。
その点、スタンダップ・コメディは違います。その場で観客が笑っているのが確認でき、
観客の反応が早くて直接的で、ハッキリ明確に見て取る事ができますから。」


壱に映画、弐に笑い、参に釣り

許冠文は、芸能界に入ってもう数十年になる。
自分の好きな事をやっている時が一番楽しい時であり、その楽しさこそが、
この業界でずっとやってこられた最も重要な原動力になっているのだと言う。

「私は大好きな事が幾つかありまして、
“壱に映画、弐に笑い、参に釣り”なんです。

もし引退後、自分の好きな事をするとしたら・・・
それはやはり、一に映画、
二に・・やはり釣り、
そして三つ目もやっぱりジョークを言う事でしょうね!」


彼は、自分はとてもラッキーな人間だと言う。
自分が好きな事で食べて行くことができるからだと。


「暇さえあれば、筆を手に取り、ジョークをメモするんです。
それから、皆さんの前でそのジョークを披露して一緒に笑い合う。
こういう事をしている時は、すごくエンジョイできるんです。
恐らく私は、こんな生活を、これから先も続けていくでしょう。
目を閉じるその瞬間までずっとです!」


許冠文の辞書の中に、“引退”と言う文字は無いようである。
現在の彼のスタンスは、“半隠居状態”とも言えるが、
彼は今でもずっと自分の好きな事をやり続けている。

「もし、私が100まで生きたとして、まだ動けるのであれば、その後も、
恐らく・・・大掛かりな・・・大勢の人材が関わる映画は撮れないと思いますが、
もう一度スタンダップ・コメディの舞台に立ちたいんです。
たとえ車椅子に乗っていたとしても、皆さんと共に笑い合う事はできますからね!」

広東語には、『死剩把口(直訳:死んでも口だけは残る)1』と言う言葉があるが、
これがまさに彼の情景を物語っているのかもしれない。

1 色々な解釈の仕方があるようですが、意訳すると次のようになります。
「何の取り得もなくなってしまったとしても、口さえあればまだ何とか腕前を披露することができる」


写真:星洲日報

許冠文にとって“釣り”と言うのは、映画とジョーク以外の
非エンターテインメントの中で最も興味のある出来事なのだとか。
やる気と活力に満ち溢れていた若い頃、
大海原に夢中になった彼は、例えば釣りやダイビングなど、
海の上のスポーツは何でも好きなのだと言う。

マイケルが釣りを愛する理由だが、
きっと心に安らぎを求めるためなんだろう・・・なんて思ってはいけない。
釣りをしている時だって、彼の脳は実は休んでいる暇なんて少しもないのだ!

「普段から、私の脳は常に色々な事を考えています。
どのようなネタを作ろうかとか、脳は一日中フル回転しているんです。
でも、釣りをしている時は、その脳全体を使って一つの事だけを考えるんですよ。
それはつまり、どうやって魚を釣り上げるかって事ですよ!」

釣りの話になると、彼は更にトークに拍車が掛かり止まらくなる。

「エビ餌をハリにさして水の中に沈めた時から、
私は水中の全体の様子を想像し始めるんです。
魚たちが、ハリにささっているあのエビ餌を見て、どのような反応をするか?
もしいくら経ってもアタリが見られないようなら、釣り糸をちょっと引っ張ってみる。
それでも反応がないならば、餌が合っていない証拠なんです。
こういう時は、すぐに作戦を変更する必要があります。それから今使っている釣り糸、
ダンゴ餌は適しているだろうか?釣りをしている場所には、石があるかどうか、
そして水流の方向などまで、全てに注意を払わなければなりません。
だから、釣りをしている時ってのはとても忙しいんですよ。
ここではアタリが出ないから、よしあっちの方へ行ってみよう。
それでもダメなら、また別の方角へ行ってみよう。
また、釣れる絶好のタイミングってのがあるんです。
潮が満ちてくる黄昏時か、或いは明け方頃なんですけど・・・・・・
基本、釣りと言うのはですね、私の場合、毎回魚との暗闘なんですよ!」

釣りが、こんなにも深い学問だったとは知らなかった!


マイケルは、自分で釣った魚を食べるのが好きだと言う。
格別に美味しく感じられるからだ。例え調味料なんてなくても、
極々シンプルな調理を施すだけで、十分美味しく頂けるのだと。

「時には、たとえ小さい魚が数匹しか釣れなかったとしても、
やっぱり嬉しいもので、
友人を家に呼んで一緒に魚を味わうんです。
それがものすごく楽しいんですよ。

自分で釣って来た魚を友人に振舞うことができるんですからね。
こんな鼻高々なことってないでしょう!」

ダイビングと言うのは、マスクを通して水底世界を覗くことができる。
そのもう一つの全く違う世界を見ることで、
現実世界の中で起こる悩みをキレイさっぱり忘れることができ、
本当の意味での安らぎと静けさが感じられるその瞬間を楽しむのだと。

「深く深く、海底の世界へとどんどん潜って行くと、
心も体も完全にリラックスした状態になるんです。そして、
色彩のカラフルな魚たちが、私のすぐ傍で泳ぎまわっている光景を見ると、
本当に興奮しますよ。まるでドラッグをやっているような・・・
考え事をするにしても、とっても研ぎ澄まされた感覚になるんです。」

“釣り”が大好きな許冠文ではあるが、同時に、
海底で魚と戯れるひと時もまたとても楽しいものだと言う。

「魚にやる餌を少しばかり持って行くのですが、
餌をあげると魚たちは
私の周りを囲むようにしてグルグルと泳ぎ始めるんです。
本当に気持ちがイイもので、そうしていると一時間なんてあっと言う間に過ぎて行きます。
・・・我々が居る世界は複雑過ぎます。
だから時々、こういう時間を過ごして
心を落ち着かせることが必要になるんです。
そうして再びこの世界を見直した時、
見えてくるものや、見方は
間違いなくまた違ったものになるハズです」


(日訳:管理人Baakkei

「Mr.Boo」こと、許冠文が、笑いの極致をアナタに!

2009.12.01 Tue

香港青年協会のオンラインラジオ『uChannel(HP)』の
“青年會客室”と言う番組にゲスト出演した
許冠文(マイケル・ホイ)先生。

収録日についての記載がないのだが、
恐らく、2009年の冬に収録されたものだと思う。

ラジオの内容はダウンロードして聞く事ができます。

《青年會客室》010集 許冠文先生

Part 1 - 歡笑看世事,以電影「傳笑」⇒Download
Part 2 - 分享昔日求職趣事,喻青年積極把握機會⇒Download

下の画像は、
ラジオ番組のサイトに載っていた
ゲスト許冠文の紹介文。



広東語はサッパリなので、ラジオの内容は分かりませんが、
紹介文の部分だけ、日本語に訳してみました。


Mr.Boo」こと、許冠文が、笑いの極致をアナタに!

Mr.Boo」と言うのは、別にそう言う日本語があるのではなく、
日本人がマイケル・ホイの事を「Mr.Boo」と称するのは、
その発音が人を愉快にさせ許冠文(マイケル・ホイ)の映画のように
楽しい雰囲気をもたらしてくれるからである。
(資料提供:michaelhui.com.hk

『人は、「ハハ!」と声に出して笑う時、
身体から自然に特有のホルモンが放出され、
ストレスを軽減し、心をリラックスさせてくれる』

幼い頃、ダイヤモンドヒルの木造バラックで育った許冠文。
生活が苦しかったためか、些細な事でも楽しさを見出し、
どんな小さな事にでも満足できるような楽天的な性格が養われたと言う。
貧しさとひもじさの中で得られる「楽しさ」は、
彼の少年時代を豊かなものにし、
更には、彼自身の“中心思想”に影響を与えたのである。

「私は幼い頃から、
人生は悲惨だからこそ、映画で人に笑いを与えるんだ!
と言う志を持っていましたね」

その後、彼は、『鬼馬雙星(Mr.Boo!ギャンブル大将)』、
『半斤八兩(Mr.Boo!ミスター・ブー)』、『合家歡(ミスター・ココナッツ)』と言った
今では誰もが知るコメディ映画を次々と世に送り出した。
映画を通して、当時の社会情況を“お気楽ジョーク”によって表現することで、
観客は、将来に対して落胆しつつも、
また同時にそんな鬱憤を笑い飛ばしたのである。

「結局ね、楽しいと思うかどうかは主観であり、
物事を見る角度を一転させてやれば、事態は変わってくると言う事ですよ。」

もう十年もコメディ映画を撮っていないのは、
なかなか良いシナリオができないからだとコメディの巨匠は言う。
私はこれを聞いてぬか喜びさせられると同時に、心の中では、
単に技量が落ちたからではないかと彼を疑った・・・
ちょうどその時!
彼はこんな事を言った。

「それにしても、政治上で問題になった
毓民(ヨックマン)のバナナ攻撃はヒドイ!
ただ、角度を変えて考えれば、これは笑い話ですな!
だってね、あれだけ何度も投げて当たらないんですからね。
私はいつも、今度こそは狙いを定めてくれよと期待しているんですけど。」

私は思わず、その場で吹き出してしまった。
マイケルの言う“特有のホルモン”が身体中に湧き出るのを実感したのだ。

(日訳:管理人Baakkei

※補足説明※
黄毓民(ウォン・ヨックマン)・・・元ラジオのパーソナリティであり、
政治評論家だったが、今は香港の過激派国会議員。
その昔・・・立法会で議論中に不満が爆発、
行政長官にバナナを投げつけ話題になったらしい。(笑)

Home Sweet Home 許冠文F【完】

2009.05.02 Sat

前へ戻る⇒【E

【エンディング】

阿旦の物語

ある二人の兄弟が、海外へバカンスに行った。
彼らは高層ホテル45階のスイートルームを予約していた。
ある晩のこと、エレベーターに故障が生じ、
従業員は二人にロビーで寝るよう手配したが、

彼らは相談した結果、階段を使って部屋まで戻る事にした。
また、二人は次のようなルールを決めていた。
階段を登る途中は交互にジョーク言ったり、歌を歌ったり、
物語を話すなどして、少しでも疲れを軽くするために。
ジョークも言ったし、歌も歌い終わり、やっとのことで
34
階まで辿り着いた時には、二人とも精根尽き果てていた。
兄は弟に言った。
「お前、何か面白い話でもしろよ。」
弟は言った。
「いいよ。ただこれは、そんなに長い話じゃないんだけど、

強烈に悲しくなる話なんだ。その話ってのはね、
僕たち、部屋の鍵を忘れてきたって事!ロビーにね!」

阿旦の言葉:
人生と言うのは、苦しみに満ち溢れているもの!
だから我々には、ユーモアが必要なのだ!
我々がユーモアを持てば、人は幸せになれる!


編集でカットされた部分

許:私は全く知りませんでしたよ。
母が毎日8粒もの錠剤を飲んでいたなんて。
今やハンセン指数(1)は、30000ポイントなんてありません。
たったの10000ポイントですよ。面白くもなんともないので、
私は母の手伝いでもしようと思って、代わりに薬を整理していたんです。
そしたら母ったら、『必理痛(鎮痛剤)』を心臓の薬として、
毎日服用していたんですよ!服用して暫く経つと思います。
わ〜〜〜〜〜。もうビックリしましたよ!
母は、私を見てこう言ったんです。
「おや?あぁ、最近ハンセン指数が大暴落でもしたんだろう!」
「どうして分かったんです?」
「以前は、1ヶ月に一回しか会いに来なかったじゃないの。
それがあなた、今月は既に34回は来てるわよ!(笑)大暴落でもしたの?」
私が「そんな事ないですよ。ちょっと下がっただけ」って言ったら、
「それはそれは、お心遣いありがとう」ですって。
ハハハハハハ(笑)

1:香港株式市場の相場動向を表す代表的な指数。恒生指数とも書く


許:彼女(奥様)は、私の事をとても評価してくれているんです。
なぜか知りませんが、特に芝居だったり、トークショーだったり。
どこでショーが行われようと、彼女はいつも一番に駆けつけてくれるんです。
一度も欠かしたことはありません。彼女は、必ずそこに座って観ているんです。
その感覚と言うのは・・・、一万3千人の観客よりも、
ある一人がいてくれさえすれば・・・と言う感じなんです。
その人(妻)は、本当に興奮するんです。あそこの席で待機しているでしょう。
私が出てくると、(目を輝かせて嬉しそうに見つめながら)“あーー!!”って。
私はいつも、そんな彼女の表情をちょっと思い出してから、ステージへ上がるんです。
彼女が私にくれるのは、賞賛と激励なんです。

【完】

(日訳:管理人
Baakkei

Home Sweet Home 許冠文E

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鄭:あなたは、奥様とどのように知り合ったのですか?
許:我々は同じクラスだったんです。
鄭:同じクラスって、中文大学の?
許:中大、はい。中大の同級生です。事のあらましは、
私が大学に通っていた頃は働きながらでしたから、
しょっちゅうあちこち飛び回っていて、クラスメートと接する機会さえも
無かったんですよ。ましてや、恋愛するなんて絶対に不可能で!
私が大学に通っていた時は、同時にテレビ局でも働いていましから。
鄭:そうですね。
許:その上、夜間学校で講師のバイトをしないと生活できなくて。
私は長男なので、家族を養わないといけませんからね。それに、
学校の授業もいつもサボっていたので…恋愛する時間なんてあるわけがない。
そのせいで、女性と出会う機会もとても僅かでした。
だから彼女が私に近づいてきたんですよ。アプローチも、彼女の方からなんです。
私には、ゆっくりと恋愛している時間がありませんでしたから。
鄭:こんなに長々と説明したのも要は、“彼女の方からだった”
と言う事が言いたかったんですよね!(笑)
許:(笑) ま、そう言う事です。私は当時、学校内でも注目の的だったんです。
私は、学生自治会の会長でしたから!夜のダンスパーティーで、
ギターを弾いたり、歌を歌うのも、全て私の仕事だったんです。
学生弁論大会だって私の担当で…
鄭:忙しくて時間がなかった…って言ってませんでしたっけ?
どうやったらギターを弾いたり、ダンスパーティーに行ったり、会長ができるんです?
道理で、クラスの女子があなたを好きになるわけだ!
許:これらは単なる表面上はって事ですよ!モテなかったら何にもなりませんから…。
勿論、私の妻はクラスの女子の中では一番でしたけどね。
よかったら、私から今の女性に言っておきたい事があるんです。
私が思うに…、あ、これは、私の娘にも教えた事なんですけどね。
男性を追い求めたいなら、男性の方から近づいて来るのを待たない事です!
もし男性から告白されて、それから答えを選ぶなんてバカですよ!
同時期に何人かの男性たちから告白されたとして、
あなたには、どれだけの選択肢があるでしょう?
4
人が同時にやってきたら、あなたには、4つの選択肢しかないんですよ。
でも、あなたから男性を追い求めるなら、選択肢は無限にあるわけでしょうが!
鄭:(笑)
許:つまり、あなたが気に入った男性がイチバンだって事です。
あなたの全ての条件を満たしているハズですから。
問題は、相手があなたの事を好きになってくれるとは限らないって事。
だから当然、あなたの方から彼にアタックしなければならない!
女性は絶対に…積極的でなければ
鄭:積極的?
許:積極的に動けば、必ず有利になります。勿論、積極に動くと言うのは、
必ずしも本当に女性の方から告白すると言う事ではありませんよ。
相手に、そう仕向けるんです。相手に告白させるようにね。
これが、“やり方”ってもんです!相手に選んで貰うのを待ってたらダメです!
鄭:奥様があなたと結婚した後、彼女には自分の仕事があったのですか?
出産する前は、奥様には自分の理想を持っていたのでしょうか?
許:彼女の理想は、私をサポートする事でした。これが彼女の全てです。
それも、ちょうどいい具合にね。我々が結婚した時…、
私が映画を撮り始めた時に結婚したんですよ。
だから1本目を撮っていた時に、彼女は既に第一子を出産していました。
彼女が私にしてくれた最大の支えは、私が毎日仕事で疲れて帰ってきた時に、
彼女が子供たちをキチント世話してくれているのが見えた時です。
誠心誠意尽くしてくれて、こんなに上手くやってくれて。これが妻の私への最大の支えです。
大学時代、彼女は私に“タグ”をプレゼントしてくれた事があって、
彼女は今でも、その“タグ”には効き目があると思っているようで。
それには『World's Greatest Fan』、彼女は私の最大の支持者だって。
彼女は、私の才能をとても買ってくれているんですよ。
なぜだか分かりませんが、特に芝居に関してだったり・・・。
夫婦道…、夫婦の間で最も重要なのは、所謂愛情です。
それが何かは知りませんが、実際問題、お互いに譲り合うキモチが必要で、
譲歩する事はとても重要な事なんです。
夫婦の絆を育むのに最も重要なのは、やはり評価する事。
お互い相手の事を評価し合う。相手がイチバンだと思う事です。(笑)
相手の事をホントにスゴイと思う。そして数十年後もやっぱり変わらずスゴイなぁって。
こう思える事が最も大事なんです。こう言う思想を育む事です。

鄭:彼女はあなたの“World's Greatest Fan”!ならばあなたは彼女の何なんですか?
もし、あなたが彼女に“タグ”を贈るとしたら、あなたは何て?
許:もし私が妻に贈るとしたら、私も同じような言葉を書きますよ。
ただ私のは中国語で、『世界で一番魅力的な人』って。(笑)
私も妻を評価していますからね。彼女のする事全てを。
子供の世話の仕方にしても、その一つ一つの細かいことを、
沢山の参考書を読んだり、多くの人に聞いたりして。
どんなミルクを買おうか決める事から始まって、どの学校が一番良いかなど、
私は何も心配しなくてよかったんです。彼女は一人で完璧に子育てしてくれました。
私が困難にぶつかると、必要があれば彼女はどんな事でも力になってくれました。
特に財務に関する事は、私は全くダメなので。
お金を管理する事に関して、私はメチャクチャなんですよ。
だから幾ら金を稼げても意味無いんです。お金の管理は、彼女に任せているんです。
彼女が自然とうまくやってくれますから。ひいては投資まで!
鄭:ケンカする事は?
許:ありません
鄭:ない?
許:だって、彼女が一番偉いのですから!そうしろって言ったら、そうしますよ。
まぁでも、お酒を飲みながら話をする事があれば、その時はいつもの方法を使います。
私の機嫌がよければ、分析が始まるんです。
鄭:物事を細かく見ていくわけですね
許:そうです!私は、こうすべきだと思っているのだが、お前はどう思う?とか、
お前は、どうしてそうしようと考えるんだ?と。そうしていく内に、次第に
夫婦間でコンセンサスを得られるわけです。合意が得られれば、
ケンカする必要はありませんからね。ただ、テーマによってはね・・・。
私の創作に関する事でなければ、一般的な小さな事だったら、
私は彼女の考えが正しいと言う事にしていますよ。
そうでなければ、何十年も一緒にやっていけませんからね。
実際問題、是であれ、非であれ、人間には絶対なんてありませんから。
鄭:はい!
許:今あなたに、一生を共に生きる、朝夕を一緒に過ごす人がいるとします。
そんな機会があるのに、相手を誉めると言う事をしない手はないでしょう。
だからですね、人ってのはとっても簡単なんですよ。
相手を悪く言ったら終わりなんです。「お前なぁ…!」…終わりですよ。
何を言っても無駄なんです。「お前なぁ…」を言っちゃった後はね。
…ハハハハハ…終わりですよ。
鄭:(笑)


マイケルが思う HomeSweet Homeの定義﹒﹒﹒

許:こうして聞くと、夫婦の付き合い方って簡単そうに聞こえますが、
実は、この道理を実行する事がとても重要なんですよ。
Home Sweet Home
、私が思うに、最も重要なのはお互いが・・・(指をグーとしてみせる)。
これで、この何十年自然とラブラブでいられるんですよ。
鄭:お互い誉め合うんですね!
許:そうでしょう!あなたが誉めるんです。彼女を褒めなければならないんです。
忘れてはなりませんよ。Home Sweet Homeは、夫婦二人が何十年も付き合って
築かれるものなんです。最も大切な事は、あなたが相手を誉める事です。
他の人は別にいいんです。彼女にとって大事なのは、あなたなんです!
あなたからも誉められないってのはヤバイですぞ!(笑)
他人は関係なくても、あなたの賞賛は大事でしょう。
日夜、あなたの傍にいる。そのずっと傍にいる存在からも誉められなかったら、
それはかなり深刻な問題になりますよ。気が滅入っちゃいますからね!
ですからこのHome Sweet Homeのために大事なのは、
先ずはお互いを誉め合い、お互いを尊敬し合う事です!

鄭:何かメッセージは・・・ぜひ娘さんに一言!
許:全ての人に対しても、この言葉になるのですが、
それはつまり、私はこの一生を掛けて彼らを愛するって事です。
もし来世があるのなら、私は本当にもう一度彼らと一緒になりたいと思います。
ただ、過ちも幾つかありますから、私が改善するのを除いて、
もう一度、同じ人たちと一生を送りたい!
私は心からそう思います。(笑)

鄭:今日は本当にありがとうございましたぁ。
許:どうもどうも(笑)
鄭:今日は沢山のことを悟りました。
(カメラに向って)俺はわかったよ!妻よ、キミは本当にデキルヤツだ、ね!(笑)
(マイケルの方を見て)誉めなきゃね!でしょ!(笑)
許:(マイケルもカメラを覗く) ハハハハ
鄭:ハハハハThank you
許:Thank you

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Home Sweet Home 許冠文D

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許:
だからですね、一年半ぐらいは外に出て広告の仕事をしていました。
新しい事をやってみようって思ったんです。
ところが、私の遺伝子の中にも芸能人のDNAが含まれているなんて、
誰が想像したでしょう!どの仕事も私には合わなかったんですよ。
そんな時に偶々この機会に出会ったんです。私が(本当に)芸能界を去ろうとしていた、
その前に作ったのが『雙星報喜』だったんです。
『雙星報喜』は大変人気のある番組で、ボスは言いました。
「わ〜こいつはスゴイやつだ!引き続きもう1年やってくれないか!」
そこでもう1年『雙星報喜』をやった所、ある日、
ショウブラザースから一本の電話が掛かってきたんですよ。
「もしもし!大物監督・李翰祥(リー・ハンシャン)が『大軍閥』と言う
新作を撮るんだが、その主役を・・・とっても重要な主役だぞ、
キミにお願いしたいんだ!」って。
鄭:ハハハ
許:(笑)・・・私は言いました。「やってみましょう」って。
それで『大軍閥』を撮る事になり、髪を全部剃り落とすと、
意外にも売れっ子スターになっちゃったんです。
李翰祥は、私にとてもよくして下さいましたよ。
この巨匠と私は毎晩夜食を共にしたり、酒の席にお伴したりして。
明日撮るのはこう言うシーンだ・・・と、彼はツイデにシナリオの書き方を
教えてくれましたよ。彼は自分で脚本を書いていたんです。
「なぜこの人物を描く必要があるのか!この人物にはイケない所が
沢山あると思うんだ。この大軍閥はこうやって人々を騙しているんだよ。
国家に対してもそうだ。当時は・・・。だから明日の撮影ではね
『大軍閥』をこのように描こうと考えているんだ。」って。
この時、突然私は分かったんです!・・・映画と言うのは、
単に人を笑わせたるとか、そんな単純なものじゃないのだと。
そうではなくて、自分の思想を秩序正しく組み立てて行き、
それをフィルムに焼き付けると、あの大きなスクリーン上に映し出す。
そして何百万人もの観客に見せる事で、全世界に影響を及ぼす事もできるんだ!と。
この事に、私はとても興味を覚えました。それから注意深く観察するようになりました。
編集の仕方だったり、脚本の書き方だったり、どのように照明を当てるか・・・
その他沢山の事について。この映画が完成した後、私は自分自身に言ったんです。
それから妻にもね。「これは、私の一生の仕事になると思うんだ!」
妻は言いましたよ。「そう?」って。


大胆不敵なマイケル『鬼馬雙星』を撮る

許:その当時、嘉禾(ゴールデン・ハーベスト)が設立したばかりの時で、
私は嘉禾に提案したんです。「私の弟は、あなたの所と既に契約していますが、
この23年全く出演の話がないようですね。もしなんでしたら、
私が弟と組んでみると言うのはどうでしょう。監督は私が務めます。」
アハハハハ!(笑) 鄒文懷(レイモンド・チョウ)は私に言いましたよ。
「おまえに分かるのか?・・・」
「一応分かってますよ!」
「一応分かってる?」
偶然にも、その時彼らはある監督を雇っていて、その監督がちょうど
映画を撮り終えた時だったんですよ。それで、その監督さんの協力の下、
『鬼馬雙星(Mr.BOO! ギャンブル大将)』を撮る事になったんです。
その監督と言うのは、宇森(ジョン・ウー)の事ですよ!
鄭:そう!宇森!
許:この『鬼馬雙星』を撮り終え、公開されるやいなや香港の記録を塗り替える事に。
鄭:そうでしたね!私もあなたのファンとして気付いた事があるのですが、
あなたの弟さんの歌からあなたの映画に至るまで、ひいては『雙星報喜』の頃から
ずっと社会を題材にしたものを作っていますが、何があなたにそうさせているのですか?
あなたの映画の方向性もそのようですが。
許:私は、李翰祥氏に感動させられたんですよ!
彼は、いつも自分の喜怒哀楽を、この世の見方と言うものについての喜怒哀楽を、
彼自身の物語の中に取り込み、作品にしていたなんて!
私も、自分が見た社会の現状について憤慨する・・・そう言った感情を、
不条理な状況についてを、キャラクターを使って吐き出したい!
と言う考えからです。


父は阿Samバンド活動に反対

鄭:あなたの幼少時代の事から映画の事まで話をしてきましたが、
さて、お次はあなたの4兄弟についてお聞きしたいのですが。
兄弟仲はどうなんですか?あなたは弟さんたちを可愛がっていました?
やはり彼らも、多少なりともあなたの影響を受けたのでしょう!
全員がこの世界で生きていますからね!
許:我々兄弟がこの世界に入ったのも、父と母の影響だと思いますよ。
小さい頃から、自分の両親の姿を見ていたわけですから。
父はバイオリンを弾き、母は広東オペラを歌う姿をね。
ダイヤモンドヒルに住んでいた頃は何にもありませんでしたが、
父と母は、家の入り口で小さい腰掛に座って音楽を奏で、
私たちは腰掛に座ってそれを鑑賞していました。
恐らく、一番最初に芸能界に入ったのは許冠傑でしょう。
彼は小さい頃からギターを弾き始め、バンドを組んで稼いでいましたからね。
鄭:あなたは先ほど仰いましたよね。お父様は、あなた方がこの世界に入る事を
よく思っていなかったと。でも許冠傑は、若い頃から不良少年だったんですね。
バンドを組んでいたと言うことは、その時もう不良だった・・・
(あの時代)バンドをやっているなんて、それはやっぱり不良でしょう?
許:まったくそうですね。
鄭:ですよね!立派なね!あなたのお父様は叱り付けたりしなかったのですか?
許:毎日のように怒鳴ってましたよ。毎日夜遅くに帰って来るものだから、
戸を閉めて家には入れないようにして。「出て行け!」って叫んでいましたよ。
その時は、既に蘇屋邨(公営住宅)に移り住んでいたので、廊下で寝なさいって。
そしてある晩のこと、最もドラマチックな事が起きたんです。
父はハサミを手にすると、彼が寝たのを見計らって、その隙に、
許冠傑の髪を切り落とすと地面にバンと投げ捨てたんですよ。
彼は泣きながら家を飛び出そうとすると・・・
鄭:ヒャッヒャッヒャッ
許:それを母が引き止めようとするんです。「そんな事しないのぉ!」って
こんな感じなんですよ。
鄭:まるでお芝居しているみたいだ!(笑)
許:本当に芝居みたいでしたよ!父は、しょっちゅう彼のを事を、
「馬鹿者!」と怒鳴りつけてました。「そんな事するなと言ったハズだぞ!」って。
「どうしてもやると言うなら・・・」って、本当に芝居しているみたいでしたね。
勿論、だいぶ後になって、許冠傑が人気者になると、
父は二度とそんな風には言わなくなりましたけどね。
例えば、作詞について!初期の頃、許冠傑がまだそれほど売れていない時、
父は相変わらず文句を言ってましたよ。
「他人を見習ったらどうだ。ワケの分からんものを書きおって。
勉強もできなけりゃ、才能も無い。唐滌生の歌詞を見なさい。
それに比べて何だ!お前の書いているモノと来たら・・・
何なんだ、まるでデタラメじゃないか・・・」って。
それが『鬼馬雙星』の後、売れっ子となり、彼の楽曲が大ヒットすると、
「お前の文学的素養もなかなかのものなんだな!」って言うようになったんです。
鄭:ハハハ!物言いを改めたわけですね。
許:そうなんです!改めたんです。「幸い、私の言う通りにしていたからな・・・」って。
Samは父の事をとても尊敬しているんです。広東語の読み方だったり、
言い回しだったり、初期の頃はしょっちゅう父に教わっていましたよ。
息子のこれほどまでの成功を目の当たりにして、父も思ったハズです・・・
恐らく、こんなにも成功した芸人を見た事はなかったでしょうから。
香港中の大人がこぞって、とりわけこの曲を歌うんですから。
鄭:そうですよ!
許:わ〜さぞかし大儲けできた事でしょう?!父にとっては初めて見る光景だったハズです。
一人の芸人が、そんなに稼いでしまうなんて・・・(笑)
鄭:(笑)
許:それからですね。父は、母もそうですが、少しずつ考えを改めるように・・・
鄭:芸能人に対する見方が、完全に変わったんですね。
許:(両親だけではなく)また香港人も、その時から芸能人に対する見方が
変わったように私は感じました。

鄭:先ほどあなたは、お父様が許冠傑の髪を切り落としたと仰いましたよね。
それで家を飛び出して行こうとしたとか何とか・・・。
それって本当にグレる事への伏線ですよ。
彼の場合その可能性がとても高い・・・だって不良だったのですから!
もしかしたら、別の道に踏み外して、堕落していたかも?
なにか転換期が?それとも…。彼はどうして道を踏み外さなかったのですか?
許:これは、両親の教育と大いに関係していると私は思いますよ。本当に!
先ず、私の父母は、特に父親の方は、ある事にこだわっていて・・・
それは、何が何でも、とにかく学業だけは終了させなければならない
と言う教えが小さい頃からの習慣になっていたんです。勉強が最も大事だと!
私の父は、いつも傲慢でした。私は知識人なんだ!って。
我々は教養がある人間なんだ、そこら辺の体中銭臭い、貪欲な連中とは違うんだ!
お前の父は詩が分かるんだからな!(笑)
鄭:それにバイオリンも弾けますしね(笑)
許:我々兄弟も既に習慣になっていたんですよ。
素晴らしい人物になるには、学問と思想が必要なんだって。
我々はこの事を重要視していたので、例え不良であろうが、
他とは違う、異質の不良だったんですよ!(笑)自制心のあるね!
鄭:教養のある不良!(笑)
許:薬物乱用はダメだって事はよく分かっていますからね。
それに、努力してこそ得られるものがあるって事もね!

鄭:あなたが『雙星報喜』で阿Samと共演する前、
兄弟間の親密さは、どれ程のものだったのですか?
許:私が芸能界に入ってからも、弟たちは皆とても…
実際はそれぞれが自分の仕事に励んでいました。
ただ、映画を撮るとなると、ある一定の長い時間を共に過ごすわけですし、
映画を撮っている時は、皆とても協力的ですからね。
たいていは、私の言う事を聞いてくれましたよ。
私が言っているのは、“映画について”と言う意味ですよ!
音楽に関する事は、全て阿Samに任せていましたから。
全部彼の言う通りにしていました。兄弟間の心の絆も悪く無かったですよ。
例えば、許冠英!
鄭:はい
許:私は機会があれば、出来る限り彼を連れて、
少しでも多く芝居のチャンスを与えるようにしていました。

+ + +

鄭:当時、あなたは仕事でとても苦労したわけですが、
今、あなたは既に次の世代を抱えています。
あなたは、彼らに苦労させたくないと思う派ですか?
許:その点については、私と妻の間で矛盾があるんです。
妻の考えは、私の世代はとても苦労した。でも今、彼らの世代は、
そう言う環境ではありませんから、そんな苦労させる必要はないと言うものです。
鄭:そうですよ!
許:でも、私の考えは違うんです。苦労させてこそ分別がつくわけですし、
そうしてこそ自分の身を守る事ができるようになると思うんです。
私は娘に尋ねた事があるんです。
「お金を稼ぐと言う事がどれだけ大変な事か分かるか?」って。
その時彼女はまだ小さくて、わずか10歳ちょっとでしたが、
「そうね」って答えたんです。(笑)私は常に妻に言ってました。
少しでも辛い目に合わせないと、将来、事の分別が付かない人間になってしまうって。

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